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2016 07,18 06:20 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.036 2016.07.18号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ リップロールが気になります。 リップロール、といってもピンとこない方が多いかも知れません。唇を合わせた状態で息を吹いて、唇をブルブル振動させるあれです。 子どもの頃に意味もなく面白がってやっていた記憶がありますが、これが発声練習にとても良い、という話があります。 本当なんでしょうか。 リップロールと発声は関係するんでしょうか。 さてリップロールについて調べてみると、驚くほどいろいろなボイス・トレーニングの本で推奨されています。どうやらかなりポピュラーな方法のようです。 実施方法には特に変わったところはありません。唇を軽く閉じて少し尖らせてブルブルと長く一定になるように震わせるだけです。 ただし大体の場合、ただ震わせるだけでなく、一緒に声も乗せています。 高い声から低い声までいろいろ出してもちゃんと唇が同じように震えるようにコントロールできるようにすることが求められます。 あとはちょっと唇を「お」のように少し縦に開いた形にして震わせるやり方もあるようです。これを発声前のウォームアップとしてやろうということです。 その効果にはどのようなものがあるかというと、大きく4種類ぐらいが言われているようです。 第一は唇や表情筋がリラックスするというもの、第二は音程が正しく取れるようになるというもの、 第三は裏声がきれいに出るようになるとか、裏声と地声の境が滑らかになるというもの、第四は喉を開く練習になるというもの。 第一の唇がリラックスするというのは、これは間違いないと思います。唇つまり口輪筋ですが、これが過緊張であるとブルブルはできません。 筋緊張をコントロールしてリラックスさせるのに分かりやすい良い方法です。表情筋までリラックスできるかどうかは人によるでしょう。 ただ口輪筋のリラックスは発声とはほぼ関係ないと思います。 口輪筋だけリラックスさせることができない人がとりあえず全身の力を抜くというあまり器用でない対応をとることで喉頭の力も抜けて発声が良くなる、ということならありそうです。 第二の音程が正しく取れるようになるというのは、ちょっとどうでしょう。正直リップロールそのものとあまり関係ないように思います。 音程は輪状甲状筋などで声帯の長さをコントロールすることで調整しますので、口輪筋とは全然別のコントロールです。 ただこれも上と同じ理由で喉頭の力を抜けば輪状甲状筋をコントロールしやすくはなります。 さらに言えばリップロールしながら音程の上げ下げをするというのは、同時に2つの器官を動かすのでダブルタスクとなります。 ダブルタスクは運動指令が難しくなりますので、これはむしろ脳トレとしていいという感じになります。 脳が活性化すれば色々な活動もうまくいきやすくなるので、随分遠回りですが、結果として効かないこともない、という感じでしょう。 第三の裏声がきれいに出るようになる、裏声と地声の境が滑らかになるというのは、さらに微妙ですが、 リップロールはある程度の強さの呼気が続かないとできないので、地声よりも強い呼気が必要な裏声発声には確かにやや良いかもしれません。 でも裏声は息の強さだけで出すわけではありませんし、リップロールだけでは強さの強化は足りません。やらないよりはいいというところでしょうか。 第四の喉を開く練習になるというのは、唇を「お」の形にするリップロールをした場合のことのようですが、 唇を「お」の形にすると下顎を少し下げるので口腔の空間が広くなるのは当然のことで、リップロールだろうとなかろうと同じことです。 上と同じように全身の力を抜くという対応をした場合以外では、リップロールと喉の開きは関係ないと思います。もっと別の喉を開く練習をした方が効率良いでしょう。 ということで、こうして理屈から考えてみると、リップロールは全く声に影響しないわけではありませんが、 大体の場合は偶然良い効果が出た、というような程度のことになるようです。従ってやっても声になんの変化もない人もいることでしょう。 ただ練習としては面白いですし、指導者や本人が理屈を分かった上で工夫して取り入れれば、効率がもう少し良くなるかもしれません。 リップロールの今後が気になります。 PR |
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