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2015 03,02 06:00 |
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気になるボイスコラム◆ vol.003 2015.03.02号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆
ビブラートが気になります。
ビブラートという用語はご存知でしょうか? 歌の中で声を長く伸ばす時にみられる声の揺れのことです。プロの歌手とか声楽家の方たちは大体これを意図的に入れることができるようです。オペラ歌手の方たちの場合は特に目立ちますね。そしてビブラートが入れられることが歌がうまいことのひとつの条件になっているみたいです。私たちもなんとなくそう認識しています。
そもそもビブラートってどうやってやるのでしょう。
ビブラートの厳密な定義は特にないようなのですが、音声生理学の新美成二先生が東京大学教授時代にされた御研究の喉頭ビデオをみたところでは、ビブラートを入れる方法には概ね三つあるように思います。第一は呼気によるコントロール。息を断続的に強く弱く強く弱く、と出すと声が揺れます。難しそうですが、実は息を一杯に吐いたあとさらに吐くと呼気筋が痙攣するように収縮するので、ちょっと練習するとできるようになります。腕に力を思い切り入れるとワナワナと震えますがあの感じですね。横隔膜ビブラートといわれたりするようですが、横隔膜を使わなくともできます。
第二は舌根の沈下。本格的なビブラートは喉頭前庭という声帯の上の空間を素早く広くしたり狭くすることで音に変化をつけているようです。そのためには喉頭蓋という喉の蓋のような部分を動かします。喉頭蓋は自身では動かないのですが、舌の根元を沈下させ、開いている喉頭蓋を押して少し閉じさせるようにします。少し閉じたところで舌の根元に力を入れると痙攣して喉頭蓋が振動しビブラートがかかります。舌の沈下は舌をぐっと下に下げるとできます。
第三は喉頭の下降。同じく喉頭蓋を使いますが、舌を下げるのではなく喉頭を下げ力をいれると喉頭が痙攣し喉頭前庭が振動します。あと第二と第三は下咽頭収縮筋も使っていると思いますが、ちょっと練習が難しそうなのでここでは割愛します。とはいってもどれもやっぱり練習が必要ですし、得手不得手もあると思います。私は第一と第二はできます。第三は喉頭下降まではできるのですが振動がうまくできません。
ところでビブラートは歌にとってどんな意味を持っているのでしょう?ビブラートができると歌の聞こえ方が良くなるのでしょうか?
音の揺れが耳にとって心地よいという聴覚心理学的な実験結果があるのかどうかはよくわかりませんでした。ただ確かにバイオリンなどの弦楽器でも、ハーモニカやフルートなど吹奏楽器でも音の揺れを出すようなテクニックがあります。ヒトは単調な刺激が続くとその刺激を情報として受け取らなくなってしまうそうです。これは認知心理学でも確かめられています。単にメロディをなぞるだけでは聴こえ方が単調で飽き足らないのかも知れません。そこからするとビブラートは聴こえ方に変化を持たせ聴く人を飽きさせないための良い方法ということになります。ビブラートには普通と違う発声だから珍しくて価値があるなどの単純な理由でない何か魅力があるのでしょう。
では当の歌手の方々はビブラートをどう捉えているのでしょうか。入れるものだと思ってとりあえず入れているのか、入れると歌にアクセントがつくと思って入れているのか、みんなに上手だと思われたくて入れているのか。まあおそらくは色々あるのでしょう。使えるが使わない信念の方もいらっしゃるという話です。
どの方法を使っているかはよく見ると実はわかったりします。注目すべきは喉仏の位置です。デビュー時からの入れ方の変遷を追って行けたら面白いかもしれません。歌によって方法を変えていたらなかなかのテクニシャンですね。これもひとつの歌の見どころではないでしょうか。歌手の方が何を考えて歌っているか想像を巡らせると尽きません。歌手の方のビブラートがとっても気になります。
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