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2015 04,06 05:55 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.005 2015.04.06号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆
癒やし声が気になります。
最近よく癒し系なんていい方、聞きますね。で「『癒し系ボイス』のカーナビが出た」という記事を見ました。声にも癒し系があるんですね。癒し系ボイス、すなわち癒し声っていうからにはその声を聞くと心がホッとして癒されるってことでしょうか。そもそもどんな声が癒し声なんでしょうか。
調べるとその「癒し系ボイス」のカーナビの音声は皆口裕子さんという声優さんが務めていました。代表的な役柄はアニメ「Yawara!」の主人公猪熊柔とか「セーラームーンS」のセーラーサターンとかだそうですが、サンプル音声は残念ながら聴けませんでした。それで試しに「癒し声」でネット検索してみると早見沙織さんとか能登麻美子さんという声優さんの名前がありました。それぞれ聴いてみると、声の始まりが際立って柔らかく、音をよく響かせている発声法、という感じでした。
始まりが柔らかい声は軟起声といいますが、これはどんな仕組みかと言うと、声を出す時には左右の声帯をぴったり閉じて息を出し振動させるわけですが、声帯を端からゆっくり少しずつ閉じていくようにすると声が小さい音から徐々に出始めます。テレビのボリュームを徐々に大きくするような感じですね。さて、聴いている側の気持ちになって考えてみましょう。急に音が聴こえる状況と徐々に聴こえる状況とどちらが気持ちいいでしょうか。急に音が鳴るとびっくりしますよね。耳というのは危険察知のための重要な器官で、生体の防御システム上、急な音にはびくっとするようにできています。モロー反射と言いますが。ですから恐らく徐々に聞こえた方が気持ちいいと思います。つまり私たちは徐々に聴こえる声だと安心するんですね。
ちなみにこれと反対に左右の声帯をどんとぶつけて声を出すと硬起声という発声になります。これは怖い声とかきつい声という印象を与えるのですが、これも急な音にびくっとする生体の防御システムのなせる技というわけです。
もうひとつの特徴と思われる「音をよく響かせている感じ」というのは、口腔の奥の鼻咽腔という空間を広げて声を出すとできます。がらんどうの建物内で音を出すと音が反響して響きますね。あれは同じ音が周波数を変えて何度も跳ね返ってくるのですが、そうすると和音のように音が何重にもきこえます。だからひとつの音が、たくさんの音に聴こえる。エコーがかかったようなものですね。これを建物の中でなく口の中でやることができます。そうすると響く声になります。舌を押し下げ軟口蓋を上げて、あと咽頭壁も後退させるとさらにいいのですが、ちょっと実施するにはトレーニングが必要でしょう。
というわけで生理的に聴き手に危機感を抱かせず、かつ和音のような多重音になる発声法が癒し声になる、といえそうです。ただ多重音が生物学的にどうして心地よいかは今のところちょっとわかりません。また考えてみたいと思います。
ところで癒し声の持ち主の方、早見沙織さんとか能登麻美子さんは声以外の他の面はどうなんでしょうか。声帯をどんとぶつけたりせず柔らかく使う、ということからして、物事や他人にもどんとぶつかったりしないで、柔らかくあたるんでしょうか。発想もパッパッと考えるのではなく、落ち着いてゆっくりと考えるんでしょうか。そうなると癒し声というのは発声法とか癒そうとしている、というわけではなく、行動パターンということになりますね。果たしてこの推理は当たっているでしょうか。
というわけで癒し声の持ち主が気になります。 PR |
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