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2015 05,18 08:55 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.008 2015.05.18号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 声優山寺宏一さんは声優界の第一人者で、その声は七色の声といわれるとか。七色の発声法!これは気になります。 山寺宏一さんといえば「山ちゃん」の愛称で知られ、若者から老人、シリアスからコメディ、二枚目から三枚目、熱血漢でも悪役でもと、実に多くの役の声を演じ分け、人気声優100人が選んだ本当にスゴイ声優ランキングでも第一位になったとか。役でいえば、アンパンマンのめいけんチーズからドナルドダック、エディー・マーフィーからブラッド・ピットまでという幅の広さ。業界では「困った時の山寺宏一」と言われるという話もあるそうです。 さてどうやってそんなに色々な声を出しているんでしょうか。 それについてはご本人が述べていらっしゃいます。山寺さんによると、声のこもりと息、そして高低の割合で出し分けているとのこと。つまり、声のこもり度合いをX軸、息の混じり度合いをY軸、声の高低をZ軸にして三次元グラフを描き、そのどこに位置するかで若者や老人、シリアス、コメディ、二枚目、三枚目などを出し分けているということでした。発声という捉えどころのないものを三次元グラフという数学的発想で視覚化して捉え直しているところがとっても面白く、さすがと思いました。山寺さんは同じ作品の中で何役もされることがあるそうですが、この三次元グラフが頭にあれば、正反対に位置する声などすぐにイメージできて、大変便利なことでしょう。 さて解剖学的に言うと、声がこもるのは口腔から喉頭に至る声道の狭さになります。息が混じるのは声帯の弛緩度合いです。声の高いのも声帯の過緊張度合いで決まりますから、だいたい声道と声帯の緊張・弛緩で声を出し分けていることになります。 山寺さんの理論を色々な役に当てはめて考えてみましょう。例えば高めの声を出すと若者という印象になりますが、これはまだ喉頭が成長途中で成人ほど大きくなっていないので必然的に若者は声が高めになるためです。一方息混じりでこもる感じにすると老人ぽくなりますが、これは声帯にシワが寄ってぴったり閉じなくなり息混じりになるためと、舌や口の筋力が衰え大きく動かなくなって声道が狭くなるためです。声を低めにして息混じりにするとどうでしょうか。どちらも喉頭や声帯の弛緩状態によるものですから、緊張していない=落ち着いて安定している、もしくは動じない人・余裕のある人という感じです。さしずめ二枚目といったところですね。これの息混じりを減らすとやや緊張感が増してシリアスな役どころになりそうです。反対に声を高めに息混じりもなしにすれば喉頭や声帯の緊張状態ということでテンションの高い感じになり、コメディっぽい印象になりますね。あとはそれぞれの人物像にあわせてはきはきしゃべったり、ゆっくりしゃべったり、大きい声でしゃべったりと味付けをするのでしょう。こうしてみると年齢やシリアス・コメディ、二枚目・三枚目など、このグラフで確かに出し分けられそうです。 しかし演じる役柄というのはこれだけでなく、おとなしい人、活発な人、ずる賢い人、のんびりした人などもっと多種多様あり、それらも演じ分けられていることから、実はもっと軸があるのではないでしょうか。抑揚の大小とか発話速度とか発音の正確さとか。これらも加味して考えてみるともっともっと新たな発見がありそうです。 それにしても声優さんというのは面白い仕事だと思います。顔だしの俳優さんは見た目があるので、さすがに全く違う役柄、例えば女性が男性を演じたり子供を演じたりは演出ならともかく、通常は無理があってできない場合が多いと思います。しかし声優さんは声の出し方次第で年齢・性別・国籍・種や生物無生物まで越えて演じられるのです。そう考えるととても幅の広いお仕事です。今、声優は憧れの職業ランキングの上位だそうですが、それもわかる気がします。その第一人者である山寺宏一さんはこれからどんな声を聴かせてくれるのでしょうか。 山寺宏一さんの今後の七色の発声法がとても気になります。 PR |
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