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2015 09,07 11:32 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.015 2015.09.07号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ こぶしが気になります。 bこぶしとっても拳じゃありません。演歌で使われる歌唱法であるこぶしの方です。「こぶしを回す」というように使われますが、漢字で書くと「小節」になるようです。 こぶしというのはポップスとか他の種類の歌ではまずみられませんし、これを聴くとああ演歌だって印象づけられる独特の歌唱法です。 そもそもこぶしってどういうものなんでしょうか。こぶしはどのように出来上がったものなんでしょうか。似たようなものにビブラートがありますがどう違うんでしょうか。 この辺り気になります。 まずこぶしってどういうものでしょう。こぶしとは、音階と音階の間に楽譜上にはない細かなメロディを入れて歌う技法です。 例えばドーミの音階の場合、これをド―レファ―ミと歌ったり、ド―シレド―ミのように歌ったりします。 もちろんメロディ変化をするといってもリズムを崩すわけにはいきませんから、この変化はごく短い時間で素早く行なわねばなりません。 変化の仕方は特に決まったものはなく、低音に下げても高音にあげても力んでもよく、ファルセットにする出し方もよく使われるようです。 その変化の仕方は歌い手に任されているので、どのように出すかがその歌手の個性になるわけです。他に2小節以上伸ばす所では2小節目から入れることが多いようです。 また、こぶしはもともと長唄や民謡などで昔から用いられてきた歌唱法で、演歌がそれを取り入れたということのようです。 そもそも演歌の成立は、諸説ありますが概ね戦後の昭和20〜30年代頃と比較的新しいのです。しかも当初は演歌=こぶしではありませんでした。 それが長唄や民謡出身の歌手たちが演歌にこぶしを取り入れ始め、それが定番となり今のこぶし=演歌として定着したもののようです。 こぶしは演歌など日本独特のものと思われがちですが、実は西洋音楽にもあります。 メリスマ (melisma) と呼ばれるものがそうで、歌詞の1音節に対して、いくつかの音符を当てはめるような曲付けの仕方、あるいは、もともと1音節対1音符で作曲されている部分(シラブル様式)に、2つ以上の音符を用いて歌うことを言います。 これはグレゴリオ聖歌などのミサ曲やヨーデルによくみられます。 こぶしとビブラートは混同しやすいのですが、ビブラートは音量や高さを振動のように細かく変化させることで響きに変化をつける技法です。 両者は喉頭の動きも全く異なりますし、注意して聴き取れば区別できます。 どうして演歌にこぶしが定着したんでしょうか。演歌には情緒的な心情を歌い上げる歌が多いようです。 こぶしの音の変化はちょっと穿った見方かもしれませんが嗚咽に似ているような気がします。泣いているように聴こえる歌い方が、演歌の歌詞や曲調とぴったりだったのではないでしょうか。 こぶしが演歌の感情や情緒を表現するのに丁度良かったのかもしれません。 しかし今演歌はあまり元気がないようです。もう多くの日本人には飽きられてしまったのかもしれません。 今後、演歌は詩吟や長唄のように伝統芸能になってしまうのでしょうか。こぶしも伝統技に組み入れられてしまうのでしょうか。こぶしの今後が気になります。 PR |
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