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2018 04,02 07:08 |
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◆声本時評 vol.055より
「サピエンス全史 上巻」 ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)、 河出書房新社、2016、¥2,052 【目次】 第1部 認知革命 第1章 唯一生き延びた人類種 第2章 虚構が協力を可能にした 第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし 第4章 史上最も危険な種 第2部 農業革命 第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇 第6章 神話による社会の拡大 第7章 書記体系の発明 第8章 想像上のヒエラルキーと差別 第3部 人類の統一 第9章 統一へ向かう世界 第10章 最強の征服者、貨幣 第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン ビジネス書大賞2017大賞受賞、 ビジネス書グランプリ2017リベラルアーツ部門第1位という 世界的ベストセラーです。 著者はイスラエル人歴史学者。 ただの歴史本じゃなくて、 生物学と歴史学の両面から 人類の歩みを解いた、 という点が新しいところ。 注目すべきは、 著者が言う人類躍進の3つのキーポイント。 それは、認知革命、農業革命、科学革命。 そのうちの認知革命は7万年前に起きた遺伝子の突然変異。 この認知革命で、 人類は柔軟な言語を持てるようになり、 それで架空の事物を語る力が生まれ、 国家、法律、貨幣、宗教が成立した、 だとか。 言語って、 ただのコミュニケーション手段じゃないんですね。 存在しない抽象的なものに名前をつけると、 突然存在することになる。 そのために出来上がったものが、 いかに多いか。 人類の発展はこれなくしてはなかった。 なかなか面白いですねえ。 ただ難点は、 字ばっかりでちょっと読みにくいとこですねえ。 頑張れそうな方はぜひ。 PR |
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2018 01,08 11:25 |
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◆声本時評 vol.054より
「生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた」 神足 裕司, 神足 明子 (著) 主婦の友社 (2014) 神足裕司さんといえば、往年の人気コラムニスト。 80年代に流行語になった「マル金・マルビ」は第1回流行語大賞。 西原理恵子さんとの共著『恨ミシュラン』はベストセラー。 グルメでも有名。 コメンテーター、TV、ラジオと、 露出もとっても多かった。 私も、神足さんのラジオのリスナーでした。 それが2011年、 くも膜下出血を発症。 左片麻痺と高次脳機能障害で要介護5の車椅子生活。 この本は、その後の神足さんの、 食を巡るご本人と奥様によるコラムです。 グルメだった神足さん、 病後急に甘いものに反応するようになったとか、 キザミ食がどうしても進まないとか、 水分摂取が捗らず、特別な豆のコーヒーで誘ったとか、 食が関わる病状の実にリアルなエピソードが満載。 これを読むと、神足さんの回復に、 食がとても重要な役割を果たしたことがよく分かります。 日常この手のことを生業にしてる自分としては、 実にリアルで興味深い本でした。 ところで神足さん、 病後ほとんど喋れなくなってしまったとのこと。 話しかけても、 聴いてるのか聴いてないのかといった感じで、 反応がないか、ニコニコしているか、 とにかくほとんどそんな様子だそうです。 失語症ではないようです。 時折、ボソッとちゃんと長い文章を喋るそうですから、 失語症ではありえません。 なによりペンを持たせると、 思っていることを 書けるそうです。 『西原とは神保町のカニ鍋』 みたいに。 さすが文筆業。 というか珍しいです。 なかなかそんな方はいらっしゃいません。 ただ何を書くかは本人次第。 この本のコラムもそうやってできてます。 本人によると、 なぜ喋れないか、自分でもよく分からないそう。 しゃべれないというと、 まず失語症か、もしくは発声障害、 あるいは前頭葉障害による自発性低下あたりが相場ですが、 どうも神足さんはどれも違うようです。 たぶん、言語性限局の自発性低下、 あるいは前頭葉性mutismかなと。 ここまでの方は滅多にありませんが、ないこともない。 どうでしょう。 いずれにしろ要介護5にも関わらず、 ご本人の興味・特技を伸ばし、 できる形で社会復帰を果たしていらっしゃる。 とっても素晴らしいです。 ご家族とご友人の支援があったればのことでしょう。 西原理恵子さんのイラストも絶妙でした。 ただリハビリが。 もうちょっと活躍して欲しいなあ。 |
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2017 11,14 06:45 |
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◆声本時評 vol.053より
iOSアプリ『のどスキャン』 ¥240(税込) アプリ内課金あり 今回はスマホアプリです。 アプリ『のどスキャン』は、 声の状態を自動チェックするツール。 方法は、表示された文章を音読・録音。 で、自動チェック。 チェックは、 「即時チェック」と「専門医チェック」の2種類。 日々の手軽なチェックは「即時チェック」。 気になって詳細にチェックしたい時は「専門医チェック」。 専門医に実際に音声を聴いてもらえる、というもの。 「即時チェック」は何度でも無料。 「専門医チェック」は1回240円(税込)。 「声帯の炎症」「声帯ポリープ」「声帯結節」など診断できます。 さらに受診可能な専門医と病院リストも出てきます。 これは便利ですねえ。 耳鼻科はだいたいどこも混んでますし、 受診ってなかなかハードル高いです。 「専門医チェック」で受診の必要ありってなれば、 間違いなく背中を押してくれる効果はあるでしょう。 放っておいて悪化、 は最悪パターンですからね。 監修は、慶應大学耳鼻咽喉科 小川郁教授、 共同開発は東京ボイスクリニック。 こちらもバッチリ、手放しでおススメです。 できたら無料体験版、欲しいですけどね。 |
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2017 10,01 07:32 |
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◆声本時評 vol.052より
西山耕一郎 (著)『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』 飛鳥新社 ¥1,200 (Kindle版¥890税込) 2017/05刊 第1章 「最近、よくムセる」は老化のサインだった! 第2章 「のど」を鍛えれば、寿命は10年のびる! 第3章 飲み込み力がアップする8つの「のど体操」 第4章 誤嚥を防ぐ「食べる」ルール 九か条 第5章 「のど」の大問題・小問題 お悩み解決Q&A 第6章 人間は「のど」から衰え、「のど」からよみがえる! これ声本じゃないですが、 「のど体操」として、 バッチリ、トレーニングが書いてあるので取り上げました。 肺炎は日本人の死因の第3位。 大部分は高齢者の誤嚥性肺炎です。 それを防ぐには口腔ケアをやれ、 というのがいままでの常識。 それだけじゃ足りない、 「のど体操」でのどを鍛えろ、 というのがこの本です。 「のど体操」は8つ。 1)ごっくんトレーニング 2)シャキア・トレーニング 3)ペットボトル体操 4)風船ふくらまし&吹き戻し 5)吹き矢 6)口すぼめ呼吸 7)ハイトーンボイス・カラオケ 8)のど仏スクワット これ、1)2)6)は呼吸・嚥下リハビリで標準的に使われる方法、 3)は上野式発声法などでおなじみのトレーニング法、 4)はよくある呼吸トレーニング、 そして5)はうちのストローブローイングとほぼ同じトレーニング。 8)もうちのピッチストレッチとそっくりです。 かぶってますね。 それだけ的を射たトレーニングということです。 確かにこれをやれば誤嚥性肺炎は防げるでしょう。 それぞれのトレーニングは既知ですが、 専門職の専売特許だった技術を、 一般向けにわかりやすく示した点、 呼吸と発声のトレーニングを明示した点、 それがこの本の最大の特徴です。 どっちもこれまでなかったことです。 著者は耳鼻科医。なるほど、さすがです。 というか、自分も同じことを前から考えてました。 こんなこと言うと、後出しジャンケンみたいで、 カッコ悪いことこの上ないですが、 一応サイトにも、この本が出るずっと前から その主旨のことは載せてました。 ので、嘘ではないです。ホントです。 実は出版社にほぼ同じような企画書を出してたんですが、 これは声の本の次にしましょう、 なんて言われて、 先送りになってました。 自分もそっちはおまけ的な気分だったので、 そうか、という感じだったのですが、 この本がAmazonでベストセラーになってたり、 週刊新潮に取り上げられてたりすると、 思わず、悔しいなあ、と呟いちゃったりして。 まあ、こういうのは早いもの勝ちですから、 ぐち言ってもしょうがないんですけどね。 誰が書こうが、誤嚥性肺炎が減ればいいんです。 でもくだんの某出版社、せっかくの儲け口、逃したなあ。 だってやっぱり、そう思いますよねえ。 |
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2017 09,04 07:22 |
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「 最高の声を手に入れるボイストレーニング フースラーメソード入門<DVD付>」
武田梵声 著 ¥1,944(税込) 2017.02 刊 第1章 間違いだらけのボイストレーニング 第2章 はじめてのフースラーメソード 第3章 フースラー式・かんたんボイストレーニング入門 第4章 歌が上手になるボイストレーニング 第5章 話し声・話し方を鍛えるボイストレーニング 第6章 真ミックスボイスを身につける 第7章 身体性とメンタルを整える 西洋式の発声法、ベル・カント唱法。 ところが定義が曖昧で、いろんな人がいろんなことを言ってます。 「フースラーメソード」は、フレデリック・フースラーが唱えたベル・カント唱法。 まあとにかく、ボヤンと抽象的にやってた発声トレーニング法を、 科学的なものに近づけた、 そう思っとけばいいでしょう。 ただしベル・カントの練習法は、「アンザッツ」っていう7つの声パターン、 これをマネるってやり方になってます。 この本の特徴は、そのフースラーメソードを現代風にアレンジしたところ。 どの辺が現代風かというと、筋肉名をポップにしちゃってます。 声門閉鎖筋を「閉鎖くん」、声門開大筋を「開大くん」、喉頭挙上筋を「ケンスイ四郎くん」 なんて名づけてます。 「ケンスイくんを徹底的に鍛えよう」とか書いてある。 もうひとつ、7つのアンザッツの声パターン、 「バカ殿のマネをしよう」「大げさに淡谷のり子のマネをしよう」って感じで、 現代の日本人に沿ったイメージに置き換えてます。 いやいや、ちゃんと大まじめな本ですよ。 分かりやすくって考えた結果こうなったってことでしょう。 気持ちはわかりますけどねえ。ただ方向性が。 筋肉名をポップにしても、言うほど分かりやすくはない気がします。 しかも「閉鎖くん」って大してポップじゃないですし。 あと淡谷のり子とか、イメージ例がちょっと古い気が。 そして、そうまでして喉の構造を解説しても、 結局トレーニング法が声マネ、つまりイメージトレーニングでは・・・。 うまくイメージできない人、マネが成功しない人は、 どうしたらいいんでしょう? そういう人にも差し伸べられる手が欲しいですよねえ。 |
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