2024 11,23 10:44 |
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2015 04,06 05:55 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.005 2015.04.06号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆
癒やし声が気になります。
最近よく癒し系なんていい方、聞きますね。で「『癒し系ボイス』のカーナビが出た」という記事を見ました。声にも癒し系があるんですね。癒し系ボイス、すなわち癒し声っていうからにはその声を聞くと心がホッとして癒されるってことでしょうか。そもそもどんな声が癒し声なんでしょうか。
調べるとその「癒し系ボイス」のカーナビの音声は皆口裕子さんという声優さんが務めていました。代表的な役柄はアニメ「Yawara!」の主人公猪熊柔とか「セーラームーンS」のセーラーサターンとかだそうですが、サンプル音声は残念ながら聴けませんでした。それで試しに「癒し声」でネット検索してみると早見沙織さんとか能登麻美子さんという声優さんの名前がありました。それぞれ聴いてみると、声の始まりが際立って柔らかく、音をよく響かせている発声法、という感じでした。
始まりが柔らかい声は軟起声といいますが、これはどんな仕組みかと言うと、声を出す時には左右の声帯をぴったり閉じて息を出し振動させるわけですが、声帯を端からゆっくり少しずつ閉じていくようにすると声が小さい音から徐々に出始めます。テレビのボリュームを徐々に大きくするような感じですね。さて、聴いている側の気持ちになって考えてみましょう。急に音が聴こえる状況と徐々に聴こえる状況とどちらが気持ちいいでしょうか。急に音が鳴るとびっくりしますよね。耳というのは危険察知のための重要な器官で、生体の防御システム上、急な音にはびくっとするようにできています。モロー反射と言いますが。ですから恐らく徐々に聞こえた方が気持ちいいと思います。つまり私たちは徐々に聴こえる声だと安心するんですね。
ちなみにこれと反対に左右の声帯をどんとぶつけて声を出すと硬起声という発声になります。これは怖い声とかきつい声という印象を与えるのですが、これも急な音にびくっとする生体の防御システムのなせる技というわけです。
もうひとつの特徴と思われる「音をよく響かせている感じ」というのは、口腔の奥の鼻咽腔という空間を広げて声を出すとできます。がらんどうの建物内で音を出すと音が反響して響きますね。あれは同じ音が周波数を変えて何度も跳ね返ってくるのですが、そうすると和音のように音が何重にもきこえます。だからひとつの音が、たくさんの音に聴こえる。エコーがかかったようなものですね。これを建物の中でなく口の中でやることができます。そうすると響く声になります。舌を押し下げ軟口蓋を上げて、あと咽頭壁も後退させるとさらにいいのですが、ちょっと実施するにはトレーニングが必要でしょう。
というわけで生理的に聴き手に危機感を抱かせず、かつ和音のような多重音になる発声法が癒し声になる、といえそうです。ただ多重音が生物学的にどうして心地よいかは今のところちょっとわかりません。また考えてみたいと思います。
ところで癒し声の持ち主の方、早見沙織さんとか能登麻美子さんは声以外の他の面はどうなんでしょうか。声帯をどんとぶつけたりせず柔らかく使う、ということからして、物事や他人にもどんとぶつかったりしないで、柔らかくあたるんでしょうか。発想もパッパッと考えるのではなく、落ち着いてゆっくりと考えるんでしょうか。そうなると癒し声というのは発声法とか癒そうとしている、というわけではなく、行動パターンということになりますね。果たしてこの推理は当たっているでしょうか。
というわけで癒し声の持ち主が気になります。 PR |
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2015 03,16 06:04 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.004 2015.03.16号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆
ハスキーボイスが気になります。
ハスキーボイス (husky voice) っていうのは、しゃがれて枯れた声、かすれ声の事です。専門用語では気息性嗄声といいますが、ハスキーな声という言い方にするとなぜか魅力的な声みたいな意味合いが加わっている印象があります。ハスキーボイスってどうして好意的に用いられているんでしょう?そんなにいいものなんでしょうか?
やはり通常の声に比べて目立つ、というのはあると思います。ハスキーボイスの著名人は声の特徴がつかみ易いので昔から頻繁に声マネの対象にされますね。日本におけるハスキーボイスの歌手の起源は森進一さんといわれていますが、声マネ対象の典型といったらこの方が第一でしょう。また声優さんの中には、ハスキーボイスを特徴としている方も多数いらっしゃるということです。とくに女性声優さんの場合は、男性やボーイッシュな女性を演じやすくなるようです。他にもハスキー声の女性はモテるなんていう都市伝説めいた話も聞きますね。歌い手さんやタレントさんで何か自分の声に特徴を出したいとか、しゃべりに注目して欲しいという方は大勢いらっしゃるでしょうが、声を変えたいと思っても簡単には変わりませんし、変える方法もピンと来ないことでしょう。そんな場合にハスキーボイスが魅力的に映るのかも知れません。
さてハスキーボイスってどうしてなるんでしょう。
かすれ声は、寝起きとか、風邪とか、カラオケの歌いすぎなど声を使いすぎたときになりますね。でもこれは一時的なもので、少し時間を置いたり風邪が治ったりすれば回復します。これは要するに声帯が炎症を起こして腫れ、声帯粘膜の柔軟性が低下した結果、声帯がぴったり閉じなくなってしまって声門閉鎖不全となり、息が漏れて気息声になってしまっているのです。炎症が収まればもとに戻ります。
これがずっと続いて起こるようになるのは、声帯に結節やポリープが出来てしまっているからです。要するに声帯にタコができてしまっているイメージです。声帯にこのような異物ができると声帯がぴったり閉じなくなってしまってこのような声になります。声帯にこれらができるのは、長期間、慢性的に声を酷使したり、無理な発声をしたり、長期間に渡る飲酒や喫煙をするとなります。仕事上声を頻繁に使う人や、大声でしゃべる子供にも多くみられます。前号の編集後記でも触れましたが、先日声優の新田恵海さんが声帯結節で休養とのニュースがありましたね。他にも元AKBの板野友美さんとか、歌手のAikoさんとか、爆笑問題の太田光さん、古くは和田アキ子さんとか、故いかりや長介さんなど、世間で思われているよりも多くの例があります。
しかしこの声帯結節やポリープはそのままにするとどんどん大きくなって終いには声が全くでなくなってしまったりすることがありますし、ガン化することもあります。サザンオールスターズの桑田圭祐さんはウォッカでうがいしてから大声を出してあの声にされたそうですが、あれほどの成功と引き換えならともかく、一般的にはあまりお勧めとはいえません。
ハスキーボイスを聞くと、どのような経緯でその声になったのか、とっても気になります。 |
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2015 03,02 06:00 |
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気になるボイスコラム◆ vol.003 2015.03.02号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆
ビブラートが気になります。
ビブラートという用語はご存知でしょうか? 歌の中で声を長く伸ばす時にみられる声の揺れのことです。プロの歌手とか声楽家の方たちは大体これを意図的に入れることができるようです。オペラ歌手の方たちの場合は特に目立ちますね。そしてビブラートが入れられることが歌がうまいことのひとつの条件になっているみたいです。私たちもなんとなくそう認識しています。
そもそもビブラートってどうやってやるのでしょう。
ビブラートの厳密な定義は特にないようなのですが、音声生理学の新美成二先生が東京大学教授時代にされた御研究の喉頭ビデオをみたところでは、ビブラートを入れる方法には概ね三つあるように思います。第一は呼気によるコントロール。息を断続的に強く弱く強く弱く、と出すと声が揺れます。難しそうですが、実は息を一杯に吐いたあとさらに吐くと呼気筋が痙攣するように収縮するので、ちょっと練習するとできるようになります。腕に力を思い切り入れるとワナワナと震えますがあの感じですね。横隔膜ビブラートといわれたりするようですが、横隔膜を使わなくともできます。
第二は舌根の沈下。本格的なビブラートは喉頭前庭という声帯の上の空間を素早く広くしたり狭くすることで音に変化をつけているようです。そのためには喉頭蓋という喉の蓋のような部分を動かします。喉頭蓋は自身では動かないのですが、舌の根元を沈下させ、開いている喉頭蓋を押して少し閉じさせるようにします。少し閉じたところで舌の根元に力を入れると痙攣して喉頭蓋が振動しビブラートがかかります。舌の沈下は舌をぐっと下に下げるとできます。
第三は喉頭の下降。同じく喉頭蓋を使いますが、舌を下げるのではなく喉頭を下げ力をいれると喉頭が痙攣し喉頭前庭が振動します。あと第二と第三は下咽頭収縮筋も使っていると思いますが、ちょっと練習が難しそうなのでここでは割愛します。とはいってもどれもやっぱり練習が必要ですし、得手不得手もあると思います。私は第一と第二はできます。第三は喉頭下降まではできるのですが振動がうまくできません。
ところでビブラートは歌にとってどんな意味を持っているのでしょう?ビブラートができると歌の聞こえ方が良くなるのでしょうか?
音の揺れが耳にとって心地よいという聴覚心理学的な実験結果があるのかどうかはよくわかりませんでした。ただ確かにバイオリンなどの弦楽器でも、ハーモニカやフルートなど吹奏楽器でも音の揺れを出すようなテクニックがあります。ヒトは単調な刺激が続くとその刺激を情報として受け取らなくなってしまうそうです。これは認知心理学でも確かめられています。単にメロディをなぞるだけでは聴こえ方が単調で飽き足らないのかも知れません。そこからするとビブラートは聴こえ方に変化を持たせ聴く人を飽きさせないための良い方法ということになります。ビブラートには普通と違う発声だから珍しくて価値があるなどの単純な理由でない何か魅力があるのでしょう。
では当の歌手の方々はビブラートをどう捉えているのでしょうか。入れるものだと思ってとりあえず入れているのか、入れると歌にアクセントがつくと思って入れているのか、みんなに上手だと思われたくて入れているのか。まあおそらくは色々あるのでしょう。使えるが使わない信念の方もいらっしゃるという話です。
どの方法を使っているかはよく見ると実はわかったりします。注目すべきは喉仏の位置です。デビュー時からの入れ方の変遷を追って行けたら面白いかもしれません。歌によって方法を変えていたらなかなかのテクニシャンですね。これもひとつの歌の見どころではないでしょうか。歌手の方が何を考えて歌っているか想像を巡らせると尽きません。歌手の方のビブラートがとっても気になります。
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2015 02,16 06:10 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.002 2015.02.16号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 声優平野綾さんの発声が気になります。 声優さんは声だけで色々なキャラクターになり切るプロの役者さんですから、なかなか難しいお仕事なのではないかと思います。絵と声が今ひとつ合っていなかったりするとお話も台無しになってしまいますから、プレッシャーも相当なことでしょう。 ところで以前テレビを見ていたら平野綾さんという声優さんが出ておられて、興味深いことをおっしゃっていました。平野さんは若い女性で地声も高めの感じなのですが、少年の役をやられることもあるそうです。 女性が少年の役を務めることは別段珍しくなく、ドラゴンボールの孫悟空役の野沢雅子さんとか、エヴァンゲリオンの碇シンジ役の緒方めぐみさんとか、古くは先代ドラえもんの大山のぶ代さんまで幾らでも例はあるようです。ドラえもんは少年ではなくロボットですが。これら少年の声優を務める方は地声が低めな方が多いようですね。実は音響学的には声変わり前の男子と女子の地声の高さに差はないのですが、実験をすると7〜8割の確率で男子か女子か聴き分けることができるそうです。ですから本当は声の高さが重要ではないのですが、できるだけ少年ぽく聞こえるように少年役は低めの声の方を選ぶのでしょう。 で平野さんですが、平野さんの声は高めな感じです。ですので少年の声を当てるときには喉頭を下に押し下げて発声する、とおっしゃっていました。下を向くのではありませんので念のため。なるほどと思いました。喉頭を押し下げると確かに声は低くなります。というのは発声は運動の一種ですので喉頭の筋肉を使います。筋肉を収縮させると運動が生じるのですが、収縮を上手にやらないと力が入りすぎて筋肉は過緊張になってしまいます。過緊張になると声帯は引っ張られますので声は高くなり、喉頭も上にあがってきます。このとき逆に喉頭を下げると今度は過緊張にならず声帯も緩みやすくなりますので、自然に声も低くなるのではないかと思います。喉頭を押し下げると喉頭から咽頭の空間が広くなるので反響音が低くなるということもありますね。ちなみに喉頭を下げるのでなく下を向いてしゃべっても声は低くなりますが、喉頭は圧迫されますし、顎の動きも阻害するので不自然なしゃべり方になってしまいます。プロの声優さんとしては不自然なしゃべりはNGですよね。 ところで喉頭を押し下げる方法には二つあって、ひとつは舌を平たくしてぐっと喉頭の方へ押し下げる方法。舌が喉頭を押すイメージです。もうひとつは喉頭だけをぐっと下げる方法。説明は難しいのですが、喉頭を下げる作用を持つ筋肉(胸骨甲状筋など)はちゃんと存在するので理論的にもできます。普通この筋肉だけを単独で動かすことがないのでピンと来ないと思いますが、これが喉頭を下げる筋肉だなとわかればあとは簡単。それだけに力を入れる練習をするとできるようになります。私もできます。 平野さんがどちらの方法を用いているのかまではわかりませんでした。しかしいずれにしても練習されて身につけたのでしょう。大したものだと思います。声優さんは皆さんこのようなことができるのでしょうか。プロの声優さんともなると他にもこのようなテクニックを色々と身につけているのでしょうか。見るチャンスはなかなかないでしょうが、平野綾さんの声の出し方がとっても気になります。 |
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2014 12,18 14:31 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.001 2015.02.02号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 【コラムその1】お年寄りの声が気になる ◇声の健康◇ お年寄りの声が気になります。 電話やラジオなど話し手が見えない状態で声を聞いた時、これは若い人の声だな、この人は年齢が高そうだな、とだいたいの想像はつきますね。言葉が不明瞭で入れ歯が合ってなさそうとか、話し方がゆっくりだからとかいうことでもわかりますが、そのあたりを除いて単なる「えーと」「はあ」などの声だけでも、年齢って結構想像できるものです。 お年寄りの声はなにが違うんでしょうか? 皆さんもだいたいお分かりと思いますが、お年寄りの声はかすれてるとか、ガラガラしてるとか、声が全体に低いといった感じになりやすいようです。それを私たちは経験から知っていて、そのような声を聴くと「お年寄りかな?」と思ったりするわけです。 芝居などでお年寄りの声をマネしたいなら、低くかすれた声を出すとそれらしく聞こえます。 さて、ではなぜお年寄りはそのような声になるのでしょう? 声を出すときにはまず喉にある声帯という左右対称の門みたいな器官がピッタリ閉じます。そしてその隙間を息が通ってその勢いで声帯が振動すると音が出て声になります。声がかすれるのは声帯に隙間が開いてしまっているためです。なぜ隙間が開くかというと、年をとると顔にしわがよるように声帯にもしわがよります。それで隙間ができるんですね。声が低くなるのは皮膚がたるむように声帯もたるむため。ゆるんで音が低くなるのは弦楽器と同じです。ガラガラするのは声帯がたるんで出にくくなっている声を無理に出そうとするためといったところでしょうか。他にホルモンとかありますが、だいたいこんなことが考えられます。 では声の老化を防ぎ、若々しい声でいることはできるでしょうか。 理論的にはできると思います。今いろんなアンチエイジング法がありますね。小じわを防ぐなんてのもよく耳にします。あれが使えそうです。要はストレッチです。ストレッチでたるみを防ぎ、張りのある声帯を維持する。声帯は直接マッサージやストレッチはできませんが、高い声低い声を繰り返し出すことによりそれと同じことができます。リンクの「嗄声・過緊張発声の解消:ピッチ変化による声帯ストレッチ」http://physiexvoice.client.jp/kaisetsu24.html を見ていただけると良いでしょう。 でも本当にそれでうまく行くかどうかはわかりません。声のアンチエイジングの研究も一部でなされているようですが、まだ途上です。お年寄りでも、声がかすれたりガラガラしていない、若々しい声の人がいますが、そんな方たちはどんな生活をしているのか? 普段どんな風に声を使っているのか?どんな習慣を持っているのか? 根掘り葉ほり訊きたくなってうずうずしまいます。そんなお年寄りの声がとっても気になります。 |
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