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2018 04,02 07:17 |
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◆声関連の話題 vol.055より
2018/1/16 「東芝が世界を驚かす音声技術、 『コエステーション』とは?」 文章を打ち込めば、 スマホが本人の声で読み上げてくれる、 というアプリを東芝が開発中とのこと。 つまり、 恋人や家族からのメッセージを、 その人の声で読んだり、 有名タレントの声でしゃべらせることができる、 ってことです。 しかも生の声と判別が難かしいほどの音質で。 これ、需要ありそうですね。 声は、 例文を5分ほど読み上げるだけで登録OK。 驚くほど簡単。 これまでは何時間分もの音声データが必要でしたが、 AIのおかげで、 簡略化できたそう。 2018年度中にも実用化されるとか。 以前、 近い将来そうなるだろうとコラムに書きましたが、 予想外に早かったですね。 全てAIによる技術革新です。 ひょっとすると、 プレゼンとか講演はこれで済ませて、 質疑だけ生、 なんてのもアリになるのかも。 2018/3/26 「NHK、ニュース番組に“AIアナ”導入へ 同局初の試み」 NHKが地上波ニュースにAIアナウンサーを導入するそうです。 番組は『ニュースチェック11』(月~金 後11:10)。 ただし当面は、 毎週水曜日の専属リポーターで、 「1年掛けて成長(機械学習)させていきます」とのこと。 いやほんとに早いですねえ。 当面は客寄せ的な色モノ扱いと思いますが、 主客逆転する日も近いんじゃないでしょうか。 PR |
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2018 04,02 07:13 |
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◆最新声文献 vol.055より
「Speaking and Nonspeaking Voice Professionals: Who Has the Better Voice?」 Chandala Chitguppi, Anoop Raj, Ravi Meherほか Maulana Azad Medical College Journal of Voice Vol 32 Issue 1, 2018 50名の喋るプロと50名歌うプロの喉頭をビデオ撮影して音響分析し、 差があるかどうか調べた研究。 結果、喉頭所見には差はなかったが、 音響分析では、ほとんどのパラメータで喋るプロが有意に高かったとのこと。 喋るプロに声の使い過ぎの影響が出やすいことになり、 今後さらに調査を進めていきたいとのことです。 歌と喋りはどちらも発声で同じなのですが、 差がみられたとのことで、 ちょっとその理由は思い当たりません。 この種の研究はあまりなされてませんし、 続報を待ちたいところです。 |
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2018 04,02 07:08 |
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◆声本時評 vol.055より
「サピエンス全史 上巻」 ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)、 河出書房新社、2016、¥2,052 【目次】 第1部 認知革命 第1章 唯一生き延びた人類種 第2章 虚構が協力を可能にした 第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし 第4章 史上最も危険な種 第2部 農業革命 第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇 第6章 神話による社会の拡大 第7章 書記体系の発明 第8章 想像上のヒエラルキーと差別 第3部 人類の統一 第9章 統一へ向かう世界 第10章 最強の征服者、貨幣 第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン ビジネス書大賞2017大賞受賞、 ビジネス書グランプリ2017リベラルアーツ部門第1位という 世界的ベストセラーです。 著者はイスラエル人歴史学者。 ただの歴史本じゃなくて、 生物学と歴史学の両面から 人類の歩みを解いた、 という点が新しいところ。 注目すべきは、 著者が言う人類躍進の3つのキーポイント。 それは、認知革命、農業革命、科学革命。 そのうちの認知革命は7万年前に起きた遺伝子の突然変異。 この認知革命で、 人類は柔軟な言語を持てるようになり、 それで架空の事物を語る力が生まれ、 国家、法律、貨幣、宗教が成立した、 だとか。 言語って、 ただのコミュニケーション手段じゃないんですね。 存在しない抽象的なものに名前をつけると、 突然存在することになる。 そのために出来上がったものが、 いかに多いか。 人類の発展はこれなくしてはなかった。 なかなか面白いですねえ。 ただ難点は、 字ばっかりでちょっと読みにくいとこですねえ。 頑張れそうな方はぜひ。 |
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2018 04,02 07:00 |
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◆声のコラム vol.055より
このたび、発声運動エクセサイズを、 バージョン2へアップデートしました。 旧バージョンを公開してからおよそ2年ぶりの改変です。 主な変化点は、 1)アセスメントの簡略化 2)エクセサイズを7コースに再編 3)テクニックの整理 です。 アセスメントは基準や判断が分かりにくかったので、 思い切って質問を簡略化し、 手順も変えました。 質問がごく少なくなったので、 とってもすっきりしました。 これで出だしに迷うことはほとんどなくなったと思います。 エクセサイズも人によって選択されるものが、 細かく異なるようになっていたのですが、 これも整理して7つのコースに再編しました。 大雑把になったとも言えますが、 結局それほど大きく差がでないことが、 わかりましたので、 すっきりさせる方を採りました。 これでうまくいかなければ上級コースへ、 という流れになってます。 テクニックは別バージョンとか、 別のやり方とか、 いろいろごちゃごちゃしていましたので、 これも思い切って統廃合しました。 わかりやすい、やりやすい、効果のでやすいものだけを組み込み、 後は上級コースへ移動させました。 これで誰でもできる、 に近づいたかな、 と思います。 つい慎重に考えて、 あれもこれもと組み込んで、 ややこしくなっていたものが、 だんだん整理されてきました。 少しでも皆様の参考になって、 声の悩みを持つ方が楽になれば、 地道にこんなことをやっている 甲斐があるというものです。 ぜひ一度ご覧下さい。 |
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2018 01,08 11:43 |
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◆声関連の話題 vol.054より
2017/11/07 『人間に近い音声で読み上げるAIアナウンサー「荒木 ゆい」-Specteeが開発』 「AIはラジオアナを駆逐するか」 ついこの前、そんなコラムを書きました。前々号です。 「自然だけど、アナウンサーとしてはまだまだね」 ひとことでいうと、そんな感じでした。 ところが。 もう新しいプロダクトができちゃったようで。 それがこのAIアナウンサー「荒木 ゆい」。 開発元は、報道機関向けのニュース速報サービス会社「Spectee」。 何が違う? 前の「Amazon Polly」は汎用、 つまり使い道はさまざま。 こっちの「荒木 ゆい」は、アナウンス特化、 つまり専用というわけ。 なにしろ本物のアナウンサーが読んだ約10万件のニュースを、 人工知能でディープラーニング、 それにより自然なアナウンスを習得させた、そうです。 文脈をも自ら判断、 「ニホンバシ」と「ニッポンバシ」の読み分けもできるとか。 いやもう技術の進歩、早いですねえ。 将来的には、会話やインタビューも可とのこと。 こりゃあ、アナウンサーが消える日、 冗談じゃなく近いかも...。 2017/12/06 『flumpool、活動休止でコメント 山村隆太が喉治療専念』 歌唱時機能性発声障害のため、とのこと。 機能性発声障害っていうのは、 無理な声の出し方が習慣化してるってことですが、 歌唱時機能性発声障害っていうのは、 普段の喋り声はいいものの、 歌を歌う時だけ無理な発声をする習慣になってしまってるってことです。 数年前にも喉のポリープ摘出手術をしてるそうなので、 ここまできたら行動変容法で発声法を根本的に変えないと。 今後も同じことの繰り返し、 キャンセルによる損益も繰り返され、 今後大変なことになってしまうでしょう。 |
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2018 01,08 11:35 |
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◆最新声文献 vol.054より
「Prevalence and Occupation of Patients Presenting With Dysphonia in the United States」 Michael S. Benninger, Chantal E. Holy, Paul C. Brysonほか Journal of Voice September Vol 31 Issue 5, 2017, p594-600 2008〜2012年の1億4,670万人分のデータベースを解析、 アメリカ合衆国における発声障害の有病率を推定した、という研究。 結果、急性喉頭炎は人口の1.3%〜1.7%。 喉頭の悪性腫瘍は高齢者で多かった。 急性喉頭炎は若者に多かった。 喉頭の良性腫瘍はサービス業で多く一般の2.6倍。 喉頭の悪性腫瘍は製造業で多く一般の1.4倍。 喉頭疾患は年齢や職業と関連が深い、 というのがその結論。 ごもっとも。 率直いえば、そんな感想です。 長生きすれば、がんは自然にできてくる。 高齢者に多いのは当然かなあ。 声を無理に使うと起こる急性喉頭炎。 若者は無茶するから多そうです。 腫瘍は声の使いすぎでも起こりやすい。 サービス業はなるほどという感じ。 ただ製造業はわかりません。 機械音が騒がしいとか? ま、とりあえず、 こういうビッグデータ解析はもっともっと進むでしょう。 これから、いろんなことが明らかになっていくと思います。 |
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2018 01,08 11:25 |
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◆声本時評 vol.054より
「生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた」 神足 裕司, 神足 明子 (著) 主婦の友社 (2014) 神足裕司さんといえば、往年の人気コラムニスト。 80年代に流行語になった「マル金・マルビ」は第1回流行語大賞。 西原理恵子さんとの共著『恨ミシュラン』はベストセラー。 グルメでも有名。 コメンテーター、TV、ラジオと、 露出もとっても多かった。 私も、神足さんのラジオのリスナーでした。 それが2011年、 くも膜下出血を発症。 左片麻痺と高次脳機能障害で要介護5の車椅子生活。 この本は、その後の神足さんの、 食を巡るご本人と奥様によるコラムです。 グルメだった神足さん、 病後急に甘いものに反応するようになったとか、 キザミ食がどうしても進まないとか、 水分摂取が捗らず、特別な豆のコーヒーで誘ったとか、 食が関わる病状の実にリアルなエピソードが満載。 これを読むと、神足さんの回復に、 食がとても重要な役割を果たしたことがよく分かります。 日常この手のことを生業にしてる自分としては、 実にリアルで興味深い本でした。 ところで神足さん、 病後ほとんど喋れなくなってしまったとのこと。 話しかけても、 聴いてるのか聴いてないのかといった感じで、 反応がないか、ニコニコしているか、 とにかくほとんどそんな様子だそうです。 失語症ではないようです。 時折、ボソッとちゃんと長い文章を喋るそうですから、 失語症ではありえません。 なによりペンを持たせると、 思っていることを 書けるそうです。 『西原とは神保町のカニ鍋』 みたいに。 さすが文筆業。 というか珍しいです。 なかなかそんな方はいらっしゃいません。 ただ何を書くかは本人次第。 この本のコラムもそうやってできてます。 本人によると、 なぜ喋れないか、自分でもよく分からないそう。 しゃべれないというと、 まず失語症か、もしくは発声障害、 あるいは前頭葉障害による自発性低下あたりが相場ですが、 どうも神足さんはどれも違うようです。 たぶん、言語性限局の自発性低下、 あるいは前頭葉性mutismかなと。 ここまでの方は滅多にありませんが、ないこともない。 どうでしょう。 いずれにしろ要介護5にも関わらず、 ご本人の興味・特技を伸ばし、 できる形で社会復帰を果たしていらっしゃる。 とっても素晴らしいです。 ご家族とご友人の支援があったればのことでしょう。 西原理恵子さんのイラストも絶妙でした。 ただリハビリが。 もうちょっと活躍して欲しいなあ。 |
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2018 01,08 11:14 |
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◆声のコラム vol.054より
テレビ朝日 関ジャム 完全燃SHOW 2017年12月10日放送 「アーティストを後ろで支えるコーラスの秘密!」 この番組、昨年春ぐらいから気になり始めましたが、 「耳に残る曲とコードは関係してるの?」とか、 「ミュージカルはどうして独特な歌い方をするの?」とか、 「アレンジ(編曲)ってそもそも何をやってるの?」とか、 音にまつわる根本的なところを、 エンタメ的に教えてくれて、 とっても面白いです。 これは、アーティストの後ろで歌っている「コーラス」に注目した回。 今井マサキさんという方が出ていらっしゃいました。 松任谷由実や吉田拓郎などのコーラスを務めておられるとか。 今井さんによると、 アーティストには声の軸があり、 軸が前の人、 軸が後ろの人、 軸が前だけど奥も深い人などがいて、 それぞれに個性を見極め、 それに合うようにバックコーラスを当てる、 のだそうです。 これなんのことでしょうね? はい、軸が前っていうのは、 声道を狭くした発声法です。 ホースの口を絞ると水が勢いよくでるでしょ? 声も同じです。 メガフォンみたいな感じですね。 この声は遠くまで届くので、 前ってイメージになるでしょうね。 あと声道が狭くなると、 声が加工されて独特の声になります。 郷ひろみさんとか。 背景から浮き立つ声なので、 前に出てるってイメージになる気がします。 反対の、軸が後ろっていうのは、 声道を広くした発声法です。 R&Bに多いそうです。 声道の反響で倍音が増幅されて、 響きが強まるので、 音が広く深く聴こえます。 相対的にいうと、後ろってイメージでしょうか。 軸が前だけど奥も深いってのは、 例えば、 咽頭腔あたりの空間は広くして 声は反響させてるんだけど、 舌は平たくして口腔を狭くして、 音を加工している、 って感じにすると、 できあがります。 番組では久保田利伸さんが例に上がってました。 で、バックコーラスですが、 軸が前のメインボーカルのときには、 バックコーラスの軸は後ろにする、 みたいに配慮するそうです。 メインボーカルの声に干渉しないように。 バックが目立っちゃしょうがないですから、 当然なんでしょうが。 それにしても声を空間イメージで表す方、 結構いらっしゃいます。 声は目に見えないので、 なんとか理解しやすく表現できないか、 って模索した結果なんでしょうね。 惜しむらくは、 人によってニュアンスが結講違うこと。 イメージなのでしょうがないですが、 なんとか声質を表現できる方法はないかって こういうの聴くと思いますねえ。 |
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2017 11,14 06:53 |
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◆声関連の話題 vol.053より
2017/10/19 『電気式人工喉頭を改良:より人の声に近く』 電気式人工喉頭「ユアトーン」、 喉頭を手術で摘出した人が、 なんとか声で喋れるようにしよう、 って補助器具です。 外見は電気シェーバーみたい。 ブ〜ンって音が出ます。 これを喉に当てて口を動かす。 するとまあ言葉を喋ってるように聞こえます。 特に練習も要らないので簡単です。 ただ、イントネーションやアクセントが一様で、 機械的で不自然に聴こえるのが欠点です。 今回の改良は3回目、 声の柔らかさ、聞き取りやすさを向上させた、とのこと。 どれほどでしょうか。 ぜひリンクで聴いてみてください。 http://yourtone.jp 今後はサ行の発声や濁音、高い女性の声、 喜怒哀楽を表現できるようにしたい、とのことです。 さらなる進歩向上を期待したいですね。 |
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2017 11,14 06:49 |
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◆最新声文献 vol.053より
「Comparison of Voice Handicap Index Scores Between Female Students of Speech Therapy and Other Health Professions」 Dionysios Tafiadis, Spyridon K. Chronopoulos, Vassiliki Siafaka ほか Department of Speech & Language Therapy, Technological Educational Institute of Epirus, Ioannina, Greece ほか Journal of Voice September Vol 31 Issue 5, 2017, p583-588 18歳から31歳のギリシャの言語聴覚士学校の女子学生100名と、 健康関連分野の女子学生100名のVHIを比較した研究。 喉頭・呼吸器系疾患等の既往歴がないことが条件です。 結果、言語聴覚士学校の学生は有意にVHIの点数が高かった、 おそらく言語聴覚士学校の学生は声を使う機会が多く、 それで点が高くなったのかなあ、ってのが著者らの結論。 VHIは自分の声をどう思うか、というアンケート。 VHIの点が高いってのは、 将来、音声疾患になる確率が高いってこと。 言語聴覚士学校の女子学生は、 声の衛生プログラムを遵守しなさいよ、 って著者らは言ってます。 そうですねえ。 個人的な経験ですが、 割と言語聴覚士学校には、 コミュニケーションにコンプレックスを持っている学生が集まりやすい、 そんな気がしています。 コンプレックスがあるから、声やコミュニケーションに興味を持つ。 それはそれでいいと思うんですけど、 そんな学生だとVHIは、高くなりますよねえ。 実はそんな要因があるのかも。 あと講義で声に注目しろって言われるから、 必要以上に声に敏感になっっちゃった、ってのもありえます。 声を使う機会が多いってのはどうかなあ。 この辺、音響データも欲しいですよねえ。 |
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2017 11,14 06:45 |
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◆声本時評 vol.053より
iOSアプリ『のどスキャン』 ¥240(税込) アプリ内課金あり 今回はスマホアプリです。 アプリ『のどスキャン』は、 声の状態を自動チェックするツール。 方法は、表示された文章を音読・録音。 で、自動チェック。 チェックは、 「即時チェック」と「専門医チェック」の2種類。 日々の手軽なチェックは「即時チェック」。 気になって詳細にチェックしたい時は「専門医チェック」。 専門医に実際に音声を聴いてもらえる、というもの。 「即時チェック」は何度でも無料。 「専門医チェック」は1回240円(税込)。 「声帯の炎症」「声帯ポリープ」「声帯結節」など診断できます。 さらに受診可能な専門医と病院リストも出てきます。 これは便利ですねえ。 耳鼻科はだいたいどこも混んでますし、 受診ってなかなかハードル高いです。 「専門医チェック」で受診の必要ありってなれば、 間違いなく背中を押してくれる効果はあるでしょう。 放っておいて悪化、 は最悪パターンですからね。 監修は、慶應大学耳鼻咽喉科 小川郁教授、 共同開発は東京ボイスクリニック。 こちらもバッチリ、手放しでおススメです。 できたら無料体験版、欲しいですけどね。 |
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2017 11,14 06:41 |
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◆声のコラム vol.053より
ブルガリアン・ヴォイス、 これ、どっかで耳にしたこと、ないですかねえ。 東ヨーロッパのブルガリア共和国、 そこの伝統的な歌唱法です。 まずは、聴いてみてください。 https://www.youtube.com/watch?v=Mrv4yPTJSjU https://www.youtube.com/watch?v=l-IGtSlRy7U どうですか? 素敵じゃないですか? でも普通の合唱と、なにが違うんでしょう? ブルガリアン・ヴォイス。 実は発声方法が違います。 ブルガリアン・ヴォイスは、 声道は開けながら、声帯は締める発声。 これにより、喉から絞り出すようでありつつ響くわけ。 近いのは、日本の民謡の発声法ですね。 こぶしのようなテクニックも含まれてます。 ので、ビブラートはありません。 日本の民謡と似てるなんて不思議ですね。 この独特の響きは、ブルガリアの自然と大地を表現しているのだとか。 どことなく哀愁がある感じ。 ここも日本の民謡と似てる気がしますね。 ところで、ブルガリアン・ヴォイスには超音波が含まれている、 という話があります。 それでアルファ波が出てるから癒されるのだ、とか。 はて〜、それはどうでしょう。 コウモリじゃないので、人間は超音波を出せません。 倍音をうまくあやつれば、共鳴して出るのかもしれませんが、 それをできるようにするトレーニング法なんてないでしょう。 当人たちも、そのつもりはないと思います。 結局その辺、結果論な気がします。 そもそも1/fの揺らぎとか、 ひと頃流行りましたが、 あれウソですからねえ。 夢はありますけどね。 |
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2017 10,02 07:37 |
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◆声関連の話題 vol.052より
2017/09/14 MBS伝統の発声練習法 : 9月18日毎日放送『痛快!明石家電視台』 MBSは大阪のテレビ・ラジオ局。 アナウンス部では、 もう20年以上週一回ボイトレの先生を招いて、 独特の発声練習をしてるのだそう。 見たところ確かに独特ですが、 基本的には腹式発声の練習ですね。 過緊張発声にならないように、 手振りとか、音とか組み合わせているところが面白いです。 |
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2017 10,02 07:32 |
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◆最新声文献 vol.052より
「Aerobic Exercise as a Warm-up for Singing: Acoustic Impacts」 Monica A. McHenry, Joseph Evans New York Medical College, Valhalla, New York Journal of Voice July 2017 Vol 31, Issue 4, p438-441 対象はボーカル・アカデミーの学生22名。 30分のエアロビの前と後に「星条旗(アメリカ国歌)」を歌わせた、 それで声量・ビブラート率・規則性が変化したか比べた、って研究。 結果、呼吸能力は変わったが、発声はほとんど変わらずだった、 歌唱は、呼吸器系・喉頭系・共鳴系のバランスで成り立つからねえ、 呼吸だけじゃないわねえ、 てな感じで著者らは結論づけてます。 まあ、そりゃそうです。 うまく歌うには、 声帯の微妙な調節が要るし、 声道での共鳴も要る。 呼吸だけ強くなっても、 歌がうまくはならんでしょう。 じゃあ歌に呼吸のウォームアップは必要ないね? いえいえ、それは早計です。 だって、そもそもエアロビは、 有酸素運動ではあるものの、 呼吸筋を鍛えるトレーニングじゃあありません。 ついでに鍛えられることはあっても、 主目的じゃないんです。 これを研究方法として選んだこと自体が、 あまりいいチョイスじゃなかったですねえ。 これが呼気筋の負荷運動トレーニングだったら? 結果が違った可能性は充分あるんじゃないかなあ。 それと測定項目と測定法。 ビブラートを測ってますが、 呼気ビブラートじゃないと、 呼吸の直接的影響はありません。 呼気ビブラートは初心者向き。 音楽学校の学生さんはあまり使わないかもしれません。 だったら差が出ないのは当然かも。 それと、声量の測定は歌の一部を切り取って比較してますが、 それ、差が出にくい場所だったかもしれません。 息継ぎの場所とか、曲の流れによってはありえます。 そもそも音楽学校の学生さん、 普段から呼吸筋が鍛えられていて、 エアロビ程度では差が生まれなかったって可能性、 これすら否定できないんじゃないかなあ。 比較対象になる一般人グループ、 それをもう一つ、作っとけば万全だった、惜しかった。 ということで、結果が違う可能性、まだまだ充分ありえます。 呼吸ウォームアップを軽視するのはまだ早い。 早合点はいけませんよ。 |
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2017 10,02 07:15 |
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◆声のコラム vol.052より
先日、こんなニュース記事がありました。 「AIアナウンサー”がラジオ放送 Amazonの音声合成技術で」 コミュニティーFMのエフエム和歌山が、 AIサービス「Amazon Polly」で、 ニュースを自動で読み上げる放送を7月から始めたそうです。 とうとうそんな時代になったんですねえ。 特に深夜や早朝にアナウンサーを確保できず、 放送困難だったエフエム和歌山。 Amazon Pollyのおかげで、 深夜でも早朝でも、放送可になったとか。 いかにも地域の今って感じですね。 でもこれ、いずれ日本のあちこちで起こりそう。 これから働き手はどんどん減るし、 誰でも深夜・早朝勤務はしたくない。 増収なんてそうそう見込めない。 そこにAIでの自動化、 これ絶好の解決法でしょう。 じゃラジオアナウンサーって、駆逐されちゃうの? その前に「Amazon Polly」、 実際、聴いた感じはどうでしょう。 以下でどうぞ。 https://877.fm う〜ん、なるほど。 Windowsのtext-to-speech(読み上げ機能)とは、 ちょっと比べものにならないね。 自然です。 ちゃんとイントネーションが正しくついてるし。 聴き取りにくさは、ほぼないし。 リスナーにもおおむね好評で、 人工音声と気づかない人も多いとか。 どうしてこんなに自然なんでしょう。 Amazon PollyのAIは、 まず文章を単語に切って意味を分類し、 学習データから、 『そのような意味の流れなら、こんな抑揚になるはず』 と判断・調整して音声を出力するのだそう。 学習データはディープラーニングってやつで集めてる。 出力するときに調整済みなので、 よくあるような、音のとぎれ感もありません。 なるほどねえ。 ただしアナウンスとして上手かといわれると、 決して上手じゃないですねえ。 なぜって、これ普通に読んでるだけだから。 アナウンスってもっと細かなテクニックが入ってます。 強調したいところはゆっくり読んだり、 悲痛なニュースはトーンを落としたり、 重要なところはワンテンポ空けたり、 「」のセリフ部分はイントネーションを大きくしたり。 Amazon Pollyは汎用の読み上げAIなので、 分かりやすく伝える、って機能はありません。 ただ自然に読んでるだけ。 アナウンスはただ読むだけじゃ、 足りないんです。 私たちは気づいてないけど、 アナウンサーって、 聞き手に分かりやすくするために、 いろんな工夫をしてるってわけ。 ですから、まだ当面、 ラジオアナウンサーがお役御免になることはないでしょう。 ただいずれ、 アナウンスのディープラーニングをしたAIが出てきたら、 これはどうなるか分かりません。 さらに、CGでキャラクターを画面に配置しちゃえば、 ラジオどころか、テレビのニュースだって、 AIで違和感なくなるんじゃないかなあ。 費用も、アナウンサーの人件費より格段に安くつく。 冗談じゃないかもしれません。 そんな信じられないような世の中が、近々やってくるかもね。 |
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2017 10,01 07:32 |
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◆声本時評 vol.052より
西山耕一郎 (著)『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』 飛鳥新社 ¥1,200 (Kindle版¥890税込) 2017/05刊 第1章 「最近、よくムセる」は老化のサインだった! 第2章 「のど」を鍛えれば、寿命は10年のびる! 第3章 飲み込み力がアップする8つの「のど体操」 第4章 誤嚥を防ぐ「食べる」ルール 九か条 第5章 「のど」の大問題・小問題 お悩み解決Q&A 第6章 人間は「のど」から衰え、「のど」からよみがえる! これ声本じゃないですが、 「のど体操」として、 バッチリ、トレーニングが書いてあるので取り上げました。 肺炎は日本人の死因の第3位。 大部分は高齢者の誤嚥性肺炎です。 それを防ぐには口腔ケアをやれ、 というのがいままでの常識。 それだけじゃ足りない、 「のど体操」でのどを鍛えろ、 というのがこの本です。 「のど体操」は8つ。 1)ごっくんトレーニング 2)シャキア・トレーニング 3)ペットボトル体操 4)風船ふくらまし&吹き戻し 5)吹き矢 6)口すぼめ呼吸 7)ハイトーンボイス・カラオケ 8)のど仏スクワット これ、1)2)6)は呼吸・嚥下リハビリで標準的に使われる方法、 3)は上野式発声法などでおなじみのトレーニング法、 4)はよくある呼吸トレーニング、 そして5)はうちのストローブローイングとほぼ同じトレーニング。 8)もうちのピッチストレッチとそっくりです。 かぶってますね。 それだけ的を射たトレーニングということです。 確かにこれをやれば誤嚥性肺炎は防げるでしょう。 それぞれのトレーニングは既知ですが、 専門職の専売特許だった技術を、 一般向けにわかりやすく示した点、 呼吸と発声のトレーニングを明示した点、 それがこの本の最大の特徴です。 どっちもこれまでなかったことです。 著者は耳鼻科医。なるほど、さすがです。 というか、自分も同じことを前から考えてました。 こんなこと言うと、後出しジャンケンみたいで、 カッコ悪いことこの上ないですが、 一応サイトにも、この本が出るずっと前から その主旨のことは載せてました。 ので、嘘ではないです。ホントです。 実は出版社にほぼ同じような企画書を出してたんですが、 これは声の本の次にしましょう、 なんて言われて、 先送りになってました。 自分もそっちはおまけ的な気分だったので、 そうか、という感じだったのですが、 この本がAmazonでベストセラーになってたり、 週刊新潮に取り上げられてたりすると、 思わず、悔しいなあ、と呟いちゃったりして。 まあ、こういうのは早いもの勝ちですから、 ぐち言ってもしょうがないんですけどね。 誰が書こうが、誤嚥性肺炎が減ればいいんです。 でもくだんの某出版社、せっかくの儲け口、逃したなあ。 だってやっぱり、そう思いますよねえ。 |
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2017 09,04 07:33 |
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◆声関連の話題 vol.051より
2017/07/25 ハロプロアイドルグループjuice=juice宮本佳林、「機能性発声障害」で休養へ 2017/08/04 喉の治療で昨年9月から活動休止していた人気声優の種田梨沙が仕事復帰へ 2017/08/07 喉の治療で4月から休業の声優・細谷佳正さんが仕事復帰! 声が原因でお仕事に支障を来したニュース、多いですね。 復帰はとってもおめでたい。 ただ再発防止策がきちんとなされているか、ここが気になるところです。 再発しやすいんですよ、このあたり。 ご用心ご用心。 その中で機能性発声障害、この名が出るのは珍しい。 通常は声帯結節やポリープが相場です。 機能性発声障害って、声がおかしい、でも調べても喉に病変何もない、 そんなとき診断名に重宝するやつです。 これ手術の適応はありません。 地道にリハビリか、思い切ってボトックス注射に踏み込むか。 いずれにしてもちょっと時間がかかるパターンぽい。 リハビリどこでやるのかしら。 手を挙げたいなあ。 |
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2017 09,04 07:28 |
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◆最新声文献 【051】唇トリル・舌トリル練習で8割が声門ポリープ手術を回避
「Treatment for Vocal Polyps: Lips and Tongue Trill 」 Daniela de Vasconcelos, Adriana de Oliveira Camargo Gomes, Cláudia Marina Tavares de Araújo Clinical Hospital, Federal University of Pernambuco, Brazil Journal of Voice March 2017 Vol 31, Issue 2, P252.e27-252. 対象はポリープと診断された10人のうち5人。 唇トリル&舌トリル法の発声訓練を30〜45分10回やってみた。 結果、5人中3人に効果あり。80%の者が喉頭手術を回避できた。 唇トリル&舌トリル法は声門ポリープの治療法として有効じゃない? という論文。 トリルって、唇を閉じてブルルルとか、舌を巻き舌にしてトゥルルルって震わせる運動です。 ロシア人やイタリア人が得意そうなやつ。 トリルが喉頭や声帯に直接作用するわけじゃありません。 ただ喉頭の力を抜かないとうまくできない。それがトリルです。 繰り返しの練習で、声帯に負担の少ない発声の仕方を学習できた、と言うわけ。 声帯への負担が減ったので声帯の炎症も収まった、 それでポリープ手術の必要がなくなった。 まあそんなとこでしょう。 ただトリルだけで声帯に負担の少ない発声法を学習できるかどうか、 ここは微妙なところですね。 対象者によるでしょう。 学習力が高いかどうか、自覚があるかどうか、応用力があるかどうか、 この辺りが分かれ目です。 対象者の要因を消すにはもっと症例数が必要です。 一般的にはトリルだけじゃ心もとないかな。 他の方法も組み合わせたくなりますけどね。 |
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2017 09,04 07:22 |
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「 最高の声を手に入れるボイストレーニング フースラーメソード入門<DVD付>」
武田梵声 著 ¥1,944(税込) 2017.02 刊 第1章 間違いだらけのボイストレーニング 第2章 はじめてのフースラーメソード 第3章 フースラー式・かんたんボイストレーニング入門 第4章 歌が上手になるボイストレーニング 第5章 話し声・話し方を鍛えるボイストレーニング 第6章 真ミックスボイスを身につける 第7章 身体性とメンタルを整える 西洋式の発声法、ベル・カント唱法。 ところが定義が曖昧で、いろんな人がいろんなことを言ってます。 「フースラーメソード」は、フレデリック・フースラーが唱えたベル・カント唱法。 まあとにかく、ボヤンと抽象的にやってた発声トレーニング法を、 科学的なものに近づけた、 そう思っとけばいいでしょう。 ただしベル・カントの練習法は、「アンザッツ」っていう7つの声パターン、 これをマネるってやり方になってます。 この本の特徴は、そのフースラーメソードを現代風にアレンジしたところ。 どの辺が現代風かというと、筋肉名をポップにしちゃってます。 声門閉鎖筋を「閉鎖くん」、声門開大筋を「開大くん」、喉頭挙上筋を「ケンスイ四郎くん」 なんて名づけてます。 「ケンスイくんを徹底的に鍛えよう」とか書いてある。 もうひとつ、7つのアンザッツの声パターン、 「バカ殿のマネをしよう」「大げさに淡谷のり子のマネをしよう」って感じで、 現代の日本人に沿ったイメージに置き換えてます。 いやいや、ちゃんと大まじめな本ですよ。 分かりやすくって考えた結果こうなったってことでしょう。 気持ちはわかりますけどねえ。ただ方向性が。 筋肉名をポップにしても、言うほど分かりやすくはない気がします。 しかも「閉鎖くん」って大してポップじゃないですし。 あと淡谷のり子とか、イメージ例がちょっと古い気が。 そして、そうまでして喉の構造を解説しても、 結局トレーニング法が声マネ、つまりイメージトレーニングでは・・・。 うまくイメージできない人、マネが成功しない人は、 どうしたらいいんでしょう? そういう人にも差し伸べられる手が欲しいですよねえ。 |
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2017 09,04 07:10 |
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◆声のコラム「『丸い球が飛び出すイメージで声を出せ』と言われたら」
「丸い球が飛び出すイメージで声を出しなさい」 もし、上司にそんなコト言われたら、 えっ(オロオロ)、どういうこと・・・? 困惑しちゃいますよねえ。 これ、NHK、NEWS7担当アナウンサーの鈴木奈穂子さんが、 新人のころ実際に言われたセリフだそう。 ブログ「"届く声"を目指して」 2017年07月28日 ご参照。 その上司、こうも言ったらしい。 「鈴木の声は四角くて耳への当たりが良くない」 皆さん、どうですか? もしそんなこと言われたら。 自分の声ってよくワカラナイがダメらしい・・・ペタリ_| ̄|○。 それだけでもショックなのに、 『丸い球が飛び出すイメージで声を出せ』 そう言われて、できますか? イメージは、分からないでもないですが、 じゃあ実際どうやるの、ってなると、 何をどうしてよいのやら。 鈴木さんも、頭に???がいくつも浮かぶ状態だったとか。 こんな抽象イメージで、できるんなら世話はない。 ホント悩んじゃいますよ。 鈴木さんも声がコンプレックスになったそう。 上司の方、責任感と親切心で言ったんでしょうが、 罪ですねえ、この言い方。 これ結局、軟起声と鼻音化を心がければ済むことです。 「四角くて」は尖ってるイメージですね。 尖ったイメージになる発声は硬起声。 声帯をどんとぶつけて急に声を出す発声法。 知らないうちに習慣化してたってわけですね。 こういうヒトは軟起声発声にすればよろしい。 声帯を端から少しずつ閉じていくと、 声が小さい音から徐々に出始める。 これが軟起声です。 テレビのボリュームを、0からあげる要領で、 出だしの声を徐々に大きくするとできるでしょう。 これつまり「丸い球」ね。 もひとつ。発音で尖ったイメージになるのは破裂音。 「ば」「だ」「が」みたいな、息を溜めて勢いよく出す種類の発音です。 この息の勢いが強すぎるヒトは、きつく聴こえるってわけ。 こういうヒトは鼻音化すれば万事OK。 つまり鼻にかかった発音にするんです。 「ん〜」って息を鼻に抜きながら声を出して、 そのあと「んば」みたいに言う練習やりましょう。 鼻にかかるとソフトになって聴こえます。 これ、もうひとつの「丸い球」。 あと声道が狭いのに、大きな声を出すとうるさく聴こえます。 声道を広げればいいんですが、この辺りの話はまたそのうちに。 というわけで、イメージ法ってよく使われるんですが、 実際難しいと思います。 センスのある人だけが、コツを見抜いて成功する。 大半の人は悩んじゃって、試行錯誤の繰り返し。 いらない苦労するハメに。 どうせなら的確な指示欲しいですよね。 甘えるな? いや、だって。 すでにあるノウハウなら、さっさと身につけて、 その上に新たなノウハウ発見して積み上げた方が、 より向上するじゃないですか。 人類ってそうやって進歩してきたわけですよ。 車輪を再発明する必要はない、です。 ところで鈴木奈穂子さん、 今でも『丸い球が飛び出す音』を理想のひとつにしてるとか。 分かりにくい指示だったかもしれませんが、 強烈に心に刺さった、これは確かなようです。 なかなか人に影響って与えられませんから、 全面的にではないですが、くだんの上司、 実はなかなかな人物だったのかもしれません。 万事塞翁が馬、です。 |
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2017 02,27 07:34 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.050 2017.02.27号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Characterization of Flow-resistant Tubes Used for Semi-occluded Vocal Tract Voice Training and Therapy」 Simeon L. Smith, Ingo R. Titze The National Center for Voice and Speech, The University of Utah Journal of Voice Vol 31, Issue 1, 2016, p113.e1-113.e8 半閉塞性声道トレーニングに使うチューブについて、(1)長さと直径は重要か?(2)発声時にチューブの内圧はどうなるか?(3)チューブの後ろの口の形状は重要か? の3点を調べた研究。 結果、チューブの直径が重要な変数であり、発声時に管には0〜7.0kPaの圧力が生じた、とのこと。 また、唇の後ろの圧力はあまり重要ではなかったとのことでした。 チューブ発声法は、チューブをくわえて吹きながら「う〜」と繰り返し発声練習するだけで声が良くなると言う実に簡便なトレーニング法です。 これはそのとき使うチューブはどんなものが良いか検討した研究。重要なのはチューブの直径とのこと。やはり狭い方が良いようです。圧がかかるので声道が広がりやすくなるためでしょう。 ただあまり狭すぎても吹きにくいでしょうから、このあたりのバランスが大切でしょうね。 |
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2017 02,27 07:27 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.050 2017.02.27号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ このサイトを開設したのは今からちょうど3年前の2014年2月です。 それまで、かなりの期間、高齢者にも使える発声エクセサイズはないものか、どうしたらいいか、いろいろと調べたり学んだり試したり、さんざん苦闘しました。 その甲斐あって、まだ未整理な部分も残ってはいましたが、この体系ならいけるのではないか、というものがどうやら組み上がりました。 ようやくのことで、やれやれ、というところでしたが、その反面、さてこれからどうしよう、と思いました。 どう、というのは、どう公表するか、ということです。 なぜなら、新しい方法は、自分だけで留めたのでは大した意味を持たないからです。公表して多くの人に使ってもらわないと価値あるものにならないのです。 それは公表して広まって欲しい、ということでもありますが、それだけではありません。 もっと重要なことは、多くの人に使ってもらい、意見をもらうことです。 こうした新しいものは最初のバージョンで完成していることなどまずあり得ません。 使いにくいところやもっといいやり方などの意見や提案を取り入れて、バージョンアップしてこそ本当に役立つものに成長していくのです。 ですからなんとかして公表しないといけません。 標準的には、データを示して学会発表という形をとり、その中でエクセサイズを公表する、というのが王道です。 ただこのエクセサイズの場合、体系がかなり膨大なので、一回の学会発表で全体を説明することなどとても不可能でした。 やるなら、部分部分を切り取って少しずつ公表していく、という方法になります。 それでもなにしろ膨大なので、最初の一回などは前提を説明するだけで終わってしまいそうでした。 さらに、そうやって公表していったとしても、どう考えても終わるまで10年以上かかることが予測されました。しつこいようですが膨大なのです。 どうも学会発表という手段は向いていなさそうでした。 書籍化して出版する、という方法も考えられました。ただそれにはまだ未整理な部分が残っていました。 一度本にしてしまうと簡単には修正や撤回はできませんから、これはどうみても不適当でした。そもそも出版のつてもありませんでした。 でも公表しないと、自分の頭の中ではもう限界でした。公表して新しい意見をもらわないと、これ以上新たな発想は得られなさそうだったのです。 それならいっそネットで公開してしまおう、そう思い当たりました。 これなら修正すべきところができたらすぐ直せます。まだ充分完成していない段階での公表にはぴったりでした。 web制作も、簡単な知識ならありましたので、そっちも自力でなんとかなりそうでした。 そしてもうひとつ、ネット公表にしたい大きな理由がありました。 世の中に溢れているさまざまな発声トレーニング法というもの。これが実は意外に適当だったり、擬似科学的だったり、明らかに怪しげだったり。 いろいろと調べたり学んだりする中で、そんな現実を知りました。こんなトレーニングがまかり通るようでは、声に悩んでいる人たちは救われない…。 これらの人々になんとか役に立つ情報を届けたい。そんな気持ちは日に日に強くなりました。 それには学会発表のような閉じた形での公表よりも、webサイトでオープンに公表した方が良いのでは。 そのようなわけで三年前、サイトを試験的に公開しました。その一年後には本格的にオープンさせ、メルマガの発行も始めました。 さらにその一年半後に、未整理だった部分にかなり手を加えてリニューアルし、バージョンアップ版を公開しました。 そして現在、サイトのアクセス数はこのほど50,000pvに達しました。これを多いと見るか少ないと見るか、人によって感想は違うことでしょう。 ですが、このエクセサイズは私の体験から出発し、ようやくまとめたごく個人的な成果に過ぎません。言ってみれば本当にささやかなものです。 そのささやかなに過ぎる成果が、毎日何十人もの人に見ていただけているだけで、感謝に耐えないというのが正直な気持ちです。 一方、メルマガの方はエクセサイズの考え方を直接お伝えする手段として企画しました。 ただ、それだけではいかにもつまりません。 声について調べていく中で、声ってこんなに不思議で、面白くて、深いものなのか、と感じさせられました。 なにしろちょっとした喉の使い方の違いで、人はいろいろと影響されるのです。喉の使い方さえわかれば、いろいろな影響力を行使できるのです。 こんなにわくわくすることがあるでしょうか。このわくわくを少しでも人と共有したい、声に興味を持ってほしい、そんな風に考えてメルマガでコラムを始めました。 おそらく私のわくわくは何分の一、何十分の一しか伝わっていないのではないかと想像します。そこの力不足は率直に認めるところです。 このようにしてサイトを開設して丸3年、メルマガを創刊して丸2年。メルマガは今号で50号になりました。 というわけで、この節目に2点お知らせがあります。 第1点は、この発声運動エクセサイズが本になります。現在編集者さんと最後の方の詰めの作業をしています。 内容はこのエクセサイズについての一般書で、このサイトと基本的に同じですが、かなりわかりやすく読みやすくなっています。 やっぱりプロの編集者さんの手が入ると全く違いますね。編集者さんとの打ち合わせは目からウロコが落ちる日々の連続でした。サイトも出版に合わせてリニューアルする予定です。 第2点は、今後メルマガは不定期発行となります。初期の役割をおおむね終えたという判断に基づいた決定です。 不定期といってもほぼ月刊ということになると思いますが、その分、より直接的にエクセサイズを広める活動に注力する予定です。 その他もいろいろと予定していますが、現段階ではここまでとしたいと思います。 今回のコラムのタイトル「At the end of the beginning」は"始まりの終わり"、という意味です。 そろそろ序章が終わり、本章に入るタイミングが来ているように思います。 |
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2017 02,06 08:58 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.049 2017.02.06号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「The Moderating Effect of Frequent Singing on Voice Aging」 Catherine L. Lortie, Julie Rivard, Mélanie Thibeault,ほか Centre de Recherche de l'Institut Universitaire en Santé Mentale de Québec, 2601 de la Canardière, Québec City, QC, Canada Journal of Voice Vol 31, Issue 1, January 2017, p112.e1-112.e12. 20〜93歳の72人の健常成人を、歌う習慣に基づいて、頻繁に歌唱する群、時々歌唱する群、歌わない群に分け、 基本周波数や声の大きさの揺らぎ、声の高さの揺らぎ、雑音の混じり具合などを測定した研究。 結果、ほとんどの測定数値で年齢の影響がみられたが、頻繁な歌唱群では年齢の影響が緩和されていたとのこと。 頻繁な歌唱群では、特に声の高さの揺らぎと声の大きさの揺らぎが少なく安定していたとのことでした。 実際、発声は筋肉運動ですので、使っていれば維持できるだろうというのは、理論的にもそうであろうと思われます。 ただどの程度使っていれば維持できるのか、というところはまだはっきりしません。 全身であれば一回15〜30分、週2〜3回の散歩か自転車こぎが妥当と言われますが、発声はどうなのでしょう。ぜひ知りたいところです。 |
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2017 02,06 08:52 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.049 2017.02.06号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 前回の続きです。 娘の音痴を克服するために、とりあえずステップを3段階考えました。 ・まず声で誘導して楽器の音と同じ音程を出せるようにすること。 ・次にドレミの音階を楽器に合わせて出せるようにすること。 ・最後にドからひとりでドレミの音階が出せるようにすること。 ここまでできれば後はなんとかひとりでも練習できるだろうという想定です。 今はとにかく自分の音程が合っているかどうかも分からないような状態ですので、ひとりで練習なんてできるはずもありません。 つまり練習をできるようにするための練習、基礎の基礎練習といったところです。 いよいよ練習を開始しました。最初の目標は、こちらがお手本の高さの声とキーボードの音を聴かせ、同じ音程を出せるようにすることです。 ただしその前にやることがありました。 それは「あ〜〜〜」と長く声を出した時に、同じ高さを維持し続けることです。娘はこれすらできず、しかも気づいていませんでした。 地声の高さを特定し、その高さの声を聴かせてから、一緒に声を長く出す練習を繰り返しました。 最初はすぐ下がっていってしまいましたが、ほどなくだいたい一定に保てるようになりました。そこで次はこちらの声なし、キーボード音のみ聴かせながら声を長く出す練習にしました。 すると予想通り、とたんに音がずれていってしまいました。 想定していたので、断続的にこちらの声を聴かせ、徐々に聴かせる頻度を減らすという形にし、やっと楽器音のみで高さを維持できるようになりました。 あとで訊くと「とにかくキーボードだと全然わからなくて、どうしようかと思った」とのことでした。 といってもこれは地声、もっとも出しやすい高さの声なので、次は一度高くなった音で同じことをしました。 これまた予想通り難渋しましたが、おしまいにはできるようになりました。 さらにもう一度高くなった音で同じことをして、次はいよいよ第2段階の音の変化です。地声をドとして、「ド〜〜〜レ〜〜〜」と一音上げる練習に入りました。 もちろん最初はこちらが一緒に声を出し、合うようになったらキーボード音のみで出す、というやり方です。 これまたやっぱりこちらの声があれば比較的できますが、キーボード音のみだと高くなりすぎたり低くなりすぎたりしてなかなか合いません。 同じヒントの出し方をしてようやくクリアしました。 この調子で「ド〜レ〜ミ〜ファ〜ソ〜」とキーボードに合わせて5音変化できるところまで行きました。この時点で練習開始から1ヶ月です。 そして最後の基礎の基礎練習、第三段階ドレミの音階練習に入りました。 娘の地声は「シ」の高さだったので、これを一音上げた「ド(C4)」から「ド〜レ〜」「ド〜レ〜ミ〜」とキーボードに合わせて上げ下げする練習をしました。 外れたら声を聴かせて高さを修正、これをドからソの間の高さの音で反復練習しました。 そして最後、「ド」だけキーボードで出して合わせ、そこからアカペラで「ド〜レ〜ミ〜」と上げていく練習に入りました。 開始から2ヶ月経ちました。だいたいできるようにはなったのですが、 常に出だしは調子悪く、練習していると合ってくるものの、急に出させたり、休憩してから出させたりすると、またかなり外れたりしました。 結局あとは練習量だろうと思われましたので、ここで秘密兵器、IT機器を入れることにしました。 それはチューナーアプリです。ギターなどをチューニングする時に使うアプリです。マイクで拾った音がC4なのかD4なのか、どのくらいずれているのか、これで表示できます。 ここで使ったのは「楽器チューナー Lite」 ですが、類似のものはいくつも出ています。 これは人の声でもちゃんと反応してくれるので、これを見ながら音階を出せば目標の高さから高いか低いかすぐわかります。 これを使って自主トレーニングをする、ということにしました。 今のところ、娘の歌はまだまだ上手とはいえません。でも前より随分ましにはなりました。 なにより驚いたのは「その歌、音がずれてるよ」と人の歌のずれを指摘できるようになったのです。 これは今までただの一度もなかったことで、「違いがわかるようになったんだね」と思わず言ってしまいました。 どこまで上手になるかは今のところ未知数です。やり方は分かったはずですので、あとは本人のやる気次第でしょう。 また求められたら、必要に応じて助けてやりたいと思っています。 |
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2017 01,16 03:34 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.048 2017.01.16号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 今回はうちの娘の話です。 娘が初めて歌を歌ったのは2歳を過ぎたころでした。保育園では歌の時間がありましたし、ボタンを押すと歌が流れる絵本もありました。 私も保育園の送り迎えやお風呂でよく歌を聴かせていましたから、歌を歌い出すのは必然だったでしょう。 その歌は、はとぽっぽとか、おじいさんの時計とか、そんなところだったと思います。 ところがその歌が、メロディもリズムも全くオリジナルからかけ離れていて、歌詞からかろうじてその歌か?と類推できる、というようなシロモノでした。 ちっちゃい子の動作全般が拙いのは当たり前。しかしなんと歌を歌うのもこんなに拙いんだなあ、と結構びっくりしたものでした。 でもまあ、そのうちちゃんと歌えるようになるだろう、と特に気にもしないでおりました。 ところが幼児から年長さんになり、小学校に入学し、低学年を終える頃になっても、一向に人並みに歌が歌えません。 最初は歌をちゃんと覚えていないか、もしくは適当に歌っているのかと思っていました。 ところがよく知っているはずの歌、好きだという歌でも全然音が外れていて、とにかくちゃんと歌えた試しがありませんでした。 ここに至って、この子は音痴だ、と判断せざるを得ませんでした。 音痴とは、決して学術用語ではありませんが、歌唱に必要な能力が劣る人を指す言葉です。 音痴は自覚していることもあるが、指摘されないと分からない場合もあるといわれています。果たして娘は「別に歌は下手じゃないもん」と言いました。小3のことです。 そう言われてしまうとしようがありません。強制してもダメだろうと思われましたので、「歌がもっとうまくなりたい、という気になったらそう言って」と言っておきました。 それから3年、6年になった娘はとうとう「音痴だと思う。もっと上手になりたい」と言いました。思えば初めて歌った時から10年。なかなか長い時間が経ったものです。 さて、音痴と言っても、音程がずれてしまう、いわゆるメロディ音痴だけでなく、リズムが調節できないリズム音痴、 声量の調節ができない音痴、音程の維持ができない音痴、音域が狭い音痴などさまざまあります。 しかしその原因は大きく分ければ二つ。ひとつは喉頭筋の問題。運動コントロールが未熟で、目標の高さの音程が出せないというもの。 もうひとつは音楽聴取能、つまり聴き取りの問題。本人が音程がずれているか判断できないために、ずれてしまうというというもの。これも一般的には音楽聴取能の未成熟によるものです。 まず原因がどこにあるのかはっきりさせねばなりません。 とりあえず地声の高さを調べ、キーボードと同じ高さの声を出すように、と言って出させると、これが全く違う音。「これだよ」と声で出して聴かせると、なんとか同じ音を出せました。 本人によると「楽器だと自分の声と同じか違うかわからない」とのこと。つまり楽器と自分の声を同期できないのです。 ドレミも全くずれてしまってまともに出せません。また自分ひとりでは声の高さを一定に保てず、ずれていってしまいます。 結局、娘の音痴の原因は、喉頭筋の運動コントロールと音楽聴取能の未熟の両方にあるようでした。これでは上手に歌えるはずがありません。 はっきり言えば厄介ですが、逆に言えば、そうでなければここまで問題が残らなかったでしょう。 ただ楽器の音は分からなくても、声のお手本があれば目標の音程が出せるのは幸いでした。これならそこから誘導するという方法が使えそうです。 まず声で誘導して楽器の音と同じ音程を出せるようにすること。次にドレミの音階を楽器に合わせて出せるようにすること。 最後にドだけ分かればひとりでドレミの音階が出せるようにすること。 ここまでできれば後はひとりで練習できるでしょうから、まずこの三段階がクリアできるようにトレーニングをすることとしました。 しかし娘の音痴はなかなかに手強かったのです。後編へ続く。 |
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