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2016 07,04 04:00 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.035 2016.07.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「The Effectiveness of the Comprehensive Voice Rehabilitation Program Compared With the Vocal Function Exercises Method in Behavioral Dysphonia: A Randomized Clinical Trial」 Vanessa Pedrosa, Antônio Pontes, Paulo Pontes, ほか Departamento de Medicina, Universidade Federal de São Paulo UNIFESP, São Paulo, Brazil ほか Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p329-333 発症6ヶ月以上の機能性音声障害80名を発声機能エクセサイズ実施群と総合的音声リハビリテーションプログラム実施群に分け、1ヶ月後の様子を比較した、という研究。 結果、両群ともに改善が見られており、VHI・V-RQOL・目視的喉頭検査で明らかな差はなかったとのこと。 著者らは2つのプログラムが類似しているからではないか、としています。 総合的音声リハビリテーションプログラムとは症状対処的アプローチと思われます。 両者の差については実際知りたいところですが、もともとどちらも3〜4ヶ月かかることが想定されるプログラムですので、1ヶ月後の比較というところはちょっと微妙です。 類似しているといえばそうですが、それを言えばどの方法も似ているんじゃないでしょうか。 PR |
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2016 06,20 08:55 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.034 2016.06.20号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「A Review of Training Opportunities for Singing Voice Rehabilitation Specialists」 Julia Gerhard Department of Otolaryngology, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, Florida Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p329-333 歌唱リハビリの専門家の研修方法はどのようなものがあるのか、 利用可能な大学の研修プログラム、民間の研修プログラム、臨床フェローシップ、専門家協会のボーカルトレーニング、自己学習など、調査を行った研究。 結果、研修には様々なルートがあるが、認定されるような総合的なトレーニングプログラムはなかった、とのことです。 歌声のリハビリはアメリカでも必要性が高まっているものの、アメリカ言語聴覚士協会(ASHA) でも全米歌唱教師協会でも明確なガイドラインはないようですね。 それでも様々なルートがあるというのは羨ましい限りです。日本ではガイドラインはおろかその機会も全く整備されていないというのが現状です。 |
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2016 06,19 09:00 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.034 2016.06.20号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Prevalence of Vocal Tract Discomfort in the Flemish Population Without Self-Perceived Voice Disorders」 Anke Luyten, Laura Bruneel, Iris Meerschman, ほか Department of Speech, Language and Hearing Sciences, Ghent University, Belgiu Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p308-314 333名の音声障害の自覚のないフランドル人の声道不快感(VTD)をVTDスケールで調査、VHI、その他を調査した、という研究。 結果、乾燥(70%)、くすぐり感(62%)、喉のしこり(54%)が最も頻繁に発生する症状で、VTDを1つ以上示した症例は88%に登った、とのこと。 VTDの有病率はフランドル人集団において比較的高く、発声による負荷はVTDの頻度と重症度に影響を与えているように思われる。とのことでした。 通常声の問題というと声量とか声質とか声そのものについてしか注目されないのですが、くすぐり感や喉のしこりという声道不快感にも注目すべきでないか、ということを示唆してくれる文献です。 これら声道不快感が声とどう関わってくるのか、声道不快感を解消すれば声の問題にも影響するのか、このあたりはこれからでしょう。 |
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2016 05,16 06:16 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.032 2016.05.16号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 最新健康ニュース 「筋力トレーニングを繰り返す際には長めの休息を挟むと効果的」 1分休息で筋力トレーニングを繰り返した場合と、5分休息で筋力トレーニングを繰り返した場合の筋線維タンパク質合成率の違いを調査した研究。 Experimental Physiology誌掲載のバーミンガム大学の研究です。 結果、5分の休息を挟んだグループは1分しか休息を挟まなかったグループに比べて、筋線維タンパク質の合成の増加率が2倍だったとのこと。 ここから研究チームは筋力トレーニングを繰り返す際には2~3分の休息を挟むことを推奨しています。 これもインターバルトレーニングの効果を実証した研究といえるでしょう。 回復をより効率的にできるのはどの条件かということがポイントで、つまりメニューそのものだけでなく、その間と終了後が大きく影響してくるということです。 |
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2016 05,16 06:14 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.032 2016.05.16号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「The Americans With Disabilities Act and Voice Disorders: Practical Guidelines for Voice Clinicians」 Derek Isetti, Tanya Eadie Department of Speech-Language Pathology and Audiology, University of the Pacific, Stockton, California Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p 293-300 2008年のアメリカ人障害者法の改正法(ADAAA)成立により音声障害を持つ者も合理的配慮を受けられるようになったが、その効果を文献的に調査した研究。 結果、音声障害に対しては、就労場所や医療サービス提供などの点で配慮がなされているが、重度なケースについては充分ではなかったとのことです。 ADAAAは障害の範囲を非常に幅広くとらえた画期的な法律といわれています。 対象は、1)生活上主要な活動に実質的な制限を受ける者、2)そのような障害があるとの記録がある者、3)そのような障害があると人々にとらえられてしまう者、の3種です。 そのため音声障害も対象として入りました。就労政策についてはまだ不充分な点もあるようですが、徐々に整備されていくことでしょう。 |
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2016 05,02 07:21 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.031 2016.05.02号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します NHK ためしてガッテン「結果にコミットー!効果2倍の筋肉UP術」 2016年4月20日放送 10回がギリギリできる負荷量の運動をゆっくり10回、余裕があればさらに素早く10回、2セットでおよそ3分程度。 1日おきに行い、運動の直後に「たんぱく質」と「糖質」を摂ると、筋肉を2倍効率的にアップさせることができる、とのこと。 運動の後にたんぱく質などの栄養を入れると効果が高まる、というのは近年特に強調されているところです。 全体に特に目新しいことを言っているわけではありませんが、分かりやすく整理されていたと思います。声量アップのトレーニングに取り入れたいところです。 |
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2016 05,02 07:16 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.031 2016.05.02号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Bilateral In-Office Injection Laryngoplasty as an Adjunctive Treatment for Recalcitrant Puberphonia: A Case Report and Review of the Literature」 Emke M.J.M. van den Broek, David E. Vokes ほか Department of Otorhinolaryngology/Head and Neck Surgery, Auckland City Hospital, Auckland, New Zealand Journal of Voice March Vol 30, Issue 2, 2016, p221-223 22歳の突然変異ファルセット(Puberphonia)の男性。声帯両側にヒアルロン酸を注入し、ボイスセラピーを行ったところ、基本周波数は152Hzから102Hzに下降したとのこと。 1年後でも108Hzに維持されていたそうです。 突然変異ファルセットとは変声障害のひとつです。 通常はボイスセラピーと心理カウンセリングで容易に改善するそうですが、このケースでは効果がなかったため、ヒアルロン酸注入を試したという報告です。 ボイスセラピーはいずれにしろ必要なようです。 |
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2016 04,18 09:12 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.030 2016.04.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Screening for Voice Disorders in Older Adults (Rastreamento de Alterações Vocais em Idosos-RAVI)-Part I: Validity Evidence Based on Test Content and Response Processes」 Leandro de Araújo Pernambu, Albert Espelt, Hipólito Virgílio Magalhães Júnior ほか Department of Speech, Language and Hearing Sciences, Universidade Federal do Rio Grande do Norte (UFRN), Rio Grande do Norte, Brazil Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p246.e9-246.e17 60歳以上の高齢者40名に高齢者発声障害スクリーニング(RAVI)を実施、妥当性指数を算出しRAVIの妥当性検証を行った研究。 結果、妥当性は充分とはいえず調整の必要があったとのこと。パートIIに続くとのことです。 スクリーニングとはどんな問題があるか面倒な検査をせずにとりあえず判定することです。RAVIは質問紙でそれを行おうとするもの。 この種のものは精度を高めようとすると複雑化してしまい簡便にならなくなってしまいがちです。 初期バージョンでの質問項目は20、修正バージョンでの質問項目は16とのことで、このぐらいなら項目数としては簡便と言えるでしょう。問題は精度ですが、それはパートIIのようです。 |
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2016 04,18 09:09 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.030 2016.04.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Screening for Voice Disorders in Older Adults (Rastreamento de Alterações Vocais em Idosos-RAVI)-Part II: Validity Evidence and Reliability」 Leandro de Araújo Pernambu, Albert Espelt, Hipólito Virgílio Magalhães Júnior ほか Department of Speech, Language and Hearing Sciences, Universidade Federal do Rio Grande do Norte (UFRN), Rio Grande do Norte, Brazil Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p246.e19-246.e27 030-1の続き。今度は性別や生活環境条件を統制した160名の高齢者にRAVIを実施、項目の相関、主成分分析、確証的因子分析などにより信頼性と妥当性を分析したというもの。 結果、充分な妥当性と信頼性が示されたとのこと。今後はRAVIのカットオフ値を算出したいとのことでした。 パート1で充分な妥当性が出なかったので、被験者を増やし条件も細かくコントロールして分析したところ、まあ良い数字が出た、ということのようです。 簡便なスクリーニングはあっていいと思いますが、質問紙はどうしても回答者によって解釈や判断に差が出てしまいます。高齢者であればなおさらです。 認知機能に低下があれば信頼性にも疑問が出てきます。そのあたりどう補償するか、まだ難しい面が残されていると思われます。 |
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2016 04,04 06:49 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.029 2016.04.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Voice Tremor in Patients With Essential Tremor: Effects of Deep Brain Stimulation of Caudal Zona Incerta」 Patricia Hägglund, Linda Sandström, Patric Blomstedt ほか Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p228-233 深部脳刺激(DBS)を実施した本態性振戦患者26名の音声振戦について調査した研究。音声振戦の有病率は50%(13例)で、うち6名がDBS治療によって大幅に改善したとのこと。 全体としては効果があるものの個人差が大きいので手術前に充分な説明が必要だろうと著者らは結んでいます。 深部脳刺激(DBS)とは脳内に電極を埋め込んで定期的に電気刺激することにより、脳を活性化させ、振戦や運動障害などの症状の軽減を図る治療法です。 脳に電極を埋めるというと恐ろしく感じる人もいるでしょうが、大学病院などでは既に多くの人に治療がなされ安全性も確認されています。 しかし声の震えに注目されたことはこれまであまりなかったと思われます。効果は約半数の症例にあったようですが、もう少しデータが揃って事前予測ができるといいですね。 |
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2016 04,04 06:47 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.029 2016.04.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Voice Changes in Real Speaking Situations During a Day, With and Without Vocal Loading: Assessing Call Center Operators」 Boaz M. Ben-David, Michal Icht Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p247.e1-247.e11 コールセンターオペレーター27名と学生25名の声の基本周波数と音圧を一日の始めと終わりに記録した研究。 結果、どちらの群でも一日の終わりに基本周波数が上昇する者がみられ、それには喫煙やカフェイン摂取などの脱水行動的なライフスタイルが影響していると考えられたとのこと。 基本周波数のチェックが有用と著者らは述べています。 コールセンターオペレーターのように常に声を使う職業でもライフスタイルに気をつければ声の健康を保てるというわけですね。 喫煙やカフェイン摂取などの脱水的行動が習慣づいている人は水分摂取を心がけるなど注意しましょう、ということです。 |
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2016 03,21 15:11 |
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【028-1】 ◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.028 2016.03.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Vocal Assessment Before, After, and the Day After Opera Performance」 Monica McHenry, Joseph Evans, Eric Powitzky New York Medical College, NY. Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p186-191 通常のトレーニングを受けた歌手男女5名のオペラ直前、直後、後日の声門下圧・呼気流率・音圧などを測定した研究。 結果、喉頭に変化なく声量のバランスの取れていた男性と翌朝教会で歌わなかった女性2名は呼気量増加と喉頭負荷の低下がみられ、 一方翌朝教会で歌った男性2名は後日、喉頭負荷増加がみられたとのこと。翌日の声の休息が回復に重要なことが示唆された、と著者らは結論づけています。 筋肉に強い負荷がかかると筋は微細なダメージを受けます。 その後休養を取ることでダメージは修復がなされますが、休養が足りないとオーバートレーニングとなりダメージが残ってしまいます。 やはり筋肉を酷使した後、少なくとも24時間以内は充分な休息が必要でしょう。 |
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2016 03,21 15:08 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.028 2016.03.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Effects of Bel Canto Training on Acoustic and Aerodynamic Characteristics of the Singing Voice」 Monica A. McHenry, Joseph Evans, Eric Powitzky Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p198-204 ベルカント唱法のトレーニングを2年間受けた大学院生21名と学部生16名の音響的・空気力学的特性の変化を調査した研究。 結果、全員大幅に声域と声量の増加がみられ、個人差はあるものの呼気量の増加と喉頭負荷の減少がみられたとのこと。 呼気量増加と声量増加は集中的トレーニングの順当な結果と著者らは結んでいます。 ベルカント唱法については一言では説明できませんが、理想的な発声法のひとつです。結論は著者らの言うとおり順当です。 なお大学院生2名が呼気量の増加なしに声量増加がみられたとのことですが、これは声帯を締めて呼気の出口を狭くすることで声量増加を実現させたものと考えられます。 ただこの2名はベルカント唱法を修得したとはいえないかもしれませんね。 |
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2016 03,07 05:29 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.027 2016.03.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 日本静脈経腸栄養学会の年次学術集会といえば、発表演題数1500以上、参加者1万人以上という巨大なイベントです。 今回は福岡で行われ、4つの隣接する建物に分かれての開催でした。 ものすごく大雑把に言えば、栄養と身体の関連について研究するのがこの学会のテーマといえます。 特に近年では、高齢者の見かけではわからない栄養不足が身体の色々な不都合を生じさせている、ということが重要な問題として取り上げられています。 今回は特別シンポジウムにおいて国立長寿医療研究センターの荒井秀典先生が「高齢者の栄養不良-サルコペニア・フレイルの観点から-」という講演をされていました。 それによると筋骨格量が低下した高齢者に、負荷運動を行わせ、さらにタンパク質とビタミンDを補充したところ3ヶ月間で有意に筋骨格量が増加した、とのことでした。 筋骨格量の増加は発声にとっても非常に重要です。特に運動後30分以内でのタンパク質摂取が最も有効とのデータもあります。 ぜひ、これらの知見を総合して発声トレーニングに取り入れていきたいと考えています。 |
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2016 02,15 06:50 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.026 2016.02.15号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Effect of Voice Onset Type on Vocal Attack Time 」 Ben C. Watson, R.J. Baken, Rick M. Roark Department of Speech-Language Pathology, New York Medical College, Valhalla, New York Journal of Voice Vol. 30, Issue 1, 2016, p11-14 55名の女性と57名の男性でVocal attack timeへの起声のタイプの影響を調査した研究。結果、気息性起声では他の2つよりVocal attack timeが大きかったとのこと。 著者らはVocal attack time測定の有用性を示唆しています。 ボーカルアタックタイムとは発声開始時の喉の動きと声の大きさの上昇の時間差を測ろうということ。 起声には硬起声・軟起声・気息性起声の3タイプがありますが、その中で喉が動いても声が大きくなりにくいものがあるのではないかということ。 結局、息が混じると声量が上がらないという結論なのですが、今回の研究では強制的に気息性起声になる単語を言わせて比較しています。 ちょっと手法に無理がある印象です。今度は本当に気息性の被験者を使ってもう少し細かいところまで調べて頂きたいところです。 |
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2016 02,15 06:46 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.026 2016.02.15号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Relationship Between Subglottal Pressure and Sound Pressure Level in Untrained Voices」 Staffan Björklund, Johan Sundberg Department of Neuroscience, Speech-Language Pathology, Uppsala University, Uppsala, Sweden Journal of Voice Vol. 30, Issue 1, 2016, p15–20 16名の女性と15名の男性に4つの高さの声を出させ声門下圧と音圧の関係を調べた研究。 結果、どの音の高さでも声門下圧と音圧には高い相関がみられ男女差もなかったが、同じ声門下圧を加えても男性は女性よりも音圧上昇が少ない傾向が見られた、とのこと。 発声させる言葉の種類によって違いそうだが、このようなデータは有益であろうと著者らは結んでいます。 男女では管の太さが違うので同じ圧を加えても同じ大きさの音にならない、ということです。 単純に男女の比較はちょっと大雑把な印象を受けます。 MRIなどを使えばもっと精密に喉頭サイズと呼気圧・音圧の関係を明らかにできると思いますし、 MRI画像からデータを解析して発声シミュレーションを行うことも現在の技術で充分可能と思われます。 さらに3Dプリンタで喉頭を複製することすらできると思います。誰かやっていただけないでしょうか。 |
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2016 02,01 05:34 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.025 2016.02.01創刊1周年特別号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「The Flow and Pressure Relationships in Different Tubes Commonly Used for Semi-occluded Vocal Tract Exercises」 Pedro Amarante Andrade, Greta Wistbacka, Hans Larsson, Maria Södersten, Britta Hammarberg, Susanna Simberg, Jan G. Švec, Svante Granqvist Voice Research Lab, Department of Biophysics, Palacký University Olomouc, Olomouc, The Czech Republic Journal of Voice Vol 30, Issue 1, 2016, p36-41 10個の様々なチューブを使い、1〜7センチメートルの水深でバック圧と流量の関係を調べることで、semioccluded vocal tract exercisesに最適なチューブを検討した研究。 結果、広いチューブでは概ねバック圧が一定だったが、細いチューブでは流量が上がるとバック圧も上がった、とのことでした。 semioccluded vocal tract exercisesというのは022-2でも紹介しましたが、ブローイングとチューブ発声法をミックスしたような方法です。 チューブ発声法はチューブに注目させることで喉頭から注意を逸らせる声の配置法的な意味合いを持ちますが、 それだけでなく呼気が喉頭に逆流して圧がかかり喉頭の圧迫を抑える可能性があることが知られています。 この結果からすると細いチューブの方が圧が強くなるわけですから喉頭の圧迫を抑えやすいことになりますが、実際はどうでしょうか。続報が待たれます。 |
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2016 02,01 05:32 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.025 2016.02.01創刊1周年特別号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Behavior Assessment Battery: A Pilot Study of the Affective, Behavioral, and Cognitive Correlates Surrounding Spasmodic Dysphonia」 Martine Vanryckeghem, Bari Hoffman Ruddy, Jeffrey Lehman Department of Communication Sciences and Disorders, University of Central Florida, Orlando, Florida Journal of Voice Vol 30, Issue 1, 2016, p53-60 音声障害のない成人32名と内転型痙攣性発声障害(ADSD)32名に行動評価バッテリーを実施、特定場面での声への不安や音声関連の負の態度などを調査した研究。 結果、ADSDでは全ての面で一般成人と差がみられ、かなりの不安や負の態度を示したとのこと。 ADSDへの行動評価バッテリーの適用は包括的な治療法につながる可能性がある、と著者らは結んでいます。 痙攣性発声障害は意図せず声帯に力が入ってしまって瞬間的に声が出なくなってしまう疾患です。 苦手な発音とか場面がそれぞれの人にあるので、予期不安や忌避的態度がみられる場合もあります。 それらが症状をより重くするので発声練習だけでなく、心理行動面への対処も必要と言われています。 この研究はその重要性を強調していますが、具体的にはこれからというところでしょう。 |
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2016 01,18 04:17 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.024 2015.01.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Comparison Between Vocal Function Exercises and Voice Amplification」 Letícia Caldas Teixeira, Mara Behlau Speech-Language Pathology and Audiology Department, Universidade Federal de São Paulo, Brazil Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p718-726 発声障害と診断された教師162名を発声機能エクセサイズ群(VFEs)と音声増幅器使用群(VA)、コントロール群に分け6週間の治療後、有効性を比較したという研究。 結果、VAでもVFEsでも改善はみられたが、VFEsで自己評価が高かったとのこと。仕事として考えると自己認識は重要と著者らは考察しています。 声の問題は機器で代償するよりも積極的にトレーニングした方が自覚が高まるということです。 再発予防のためには自分の声について常に注意を払うことが大切ですので、声を使う職業の人には積極的発声トレーニングがお薦めということになるでしょう。 |
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2016 01,18 04:14 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.024 2015.01.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「The Effect of Head Position and/or Stance on the Self-perception of Phonatory Effort 」 Marina Gilman, Michael M. Johns Speech-Language Pathology, The Emory Voice Center, Department of Otolaryngology, Emory University, Atlanta, Georgia Journal of Voice Vol 30, Issue 1, 2016 姿勢と発声の関係を明らかにするために、平均年齢27.5歳の健康な成人46名に頭の位置を6段階に前屈、膝を3段階に屈曲させて18の条件で発声させたという研究。 結果、膝や頭部が極端な位置にある場合には発声に努力を要したとのこと。姿勢は思ったよりも声の疲労に影響しているのではないか、と著者らは結んでいます。 膝や頭部が極端な位置にあれば当然体幹や喉頭にも力が入りますから発声に影響が及ぶのはわかります。 ただ中庸な位置でははっきりしなかったようで、発声トレーニングでは姿勢を細かくチェックしたがりますが、科学的な証明は難しいようです。 |
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2016 01,04 06:18 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.023 2015.01.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Vocal Fold Adjustment Caused by Phonation Into a Tube: A Double-Case Study Using Computed Tomograph」 Vit Hampala, Anne-Maria Laukkanen, Marco A. Guzman, ほか Department of Biophysics, Faculty of Science, Voice Research Lab, Palacky University, Olomouc, Czech Republic ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p733-742 健常者2名に、チューブ発声法で発声持続をさせた場合と、チューブ発声法での発声持続の前後に [a:] で音域と声量練習をさせた場合の声帯や声道のCT像を撮影し分析したという研究。 結果、両者に特に違いはみられなかったとのことです。 相変わらずメカニズムが謎なチューブ発声法です。ただの分かりやすい声の配置法である可能性もありますが、もう少し検討がなされれば明らかになってくるでしょう。 |
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2016 01,04 06:16 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.023 2015.01.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Selection of Voice Therapy Methods. Results of an Online Survey」 Iris Burg, Birte Meier, Katharina Nolte, ほか Faculty of Social Work and Health, HAWK University of Applied Sciences and Arts, Hildesheim/Holzminden/Göttingen, Hildesheim, Germany Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p776.e1-776.e6 ドイツ・オーストリア・スイスの434人のセラピストにどのように音声治療法を選択するか質問紙形式で調査したという研究。 結果、セラピストの大多数は特定の方法を適用しているわけではなく、個々のクライアントごとに方法を組み合わせて適用していました。 音声障害のタイプは方法の選択に重要ではなく、クライアントの通いやすさや、気分や状態、学習しやすさなどが主に考慮されていました。 どの領域でもそうですが、やはりひとつの方法を狂信的に信奉し押し付けるのではなく、是々非々でそれぞれの個人の事情に合った方法を柔軟に選択していくのが最も理にかなっているということですね。 大変腑に落ちる報告です。 |
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2015 12,21 06:05 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.022 2015.12.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「The Effect of Traditional Singing Warm-Up Versus Semioccluded Vocal Tract Exercises on the Acoustic Parameters of Singing Voice」 Emily Duke, Laura W. Plexi, Mary J. Sandage, Matthew Hoch Language & Voice Experience, Rockville, Maryland Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p727-732 30名の男性歌手にsemioccluded vocal tract exercisesと従来の発声ウォームアップ、ウォームアップなしの3条件で歌の声量と発声持続の違いを調べた研究。 結果、ウォームアップ全体で有意差は認められなかったとのことです。 semioccluded vocal tract exercisesとはブローイングとチューブ発声法をミックスしたような方法です。 こちらの動画をご参照ください。 https://www.youtube.com/watch?v=amK78bEVYvY ウォームアップはやった方がいいことは明らかですが、どの方法が優れている、ということは今のところわかっていません。このあたりの検討はまだ余地がありそうです。 |
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2015 12,21 06:02 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.022 2015.12.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Delivery of Intensive Voice Therapy for Vocal Fold Nodules Via Telepractice: A Pilot Feasibility and Efficacy Study 」 Sherry Fu, Deborah G. Theodoros, Elizabeth C. Ward The University of Queensland, School of Health and Rehabilitation Sciences, Brisbane, Queensland, Australia Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p696-706 声帯結節と診断された10名の女性に遠隔テレビシステムを用い、3週間8セッションの音声治療を試みたというパイロット研究。 結果、音響面・結節サイズ・満足度すべてで大幅な改善がみられ、別研究で得られた対面型治療の結果と遜色なかったとのことでした。 音声治療を受けることができる施設は限られています。日本ではなおさらであり、この状況を改善したいというのが、このメルマガのひとつの目的でもあります。 遠隔テレビシステムはその解決のための最も有効な手段であり、今後間違いなく普及に向かっていく思われます。当サイトでも時期は未定ですが、必ず取り入れることになるでしょう。 |
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2015 12,07 06:25 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.021 2015.12.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Natural Voice Use in Patients With Voice Disorders and Vocally Healthy Speakers Based on 2 Days Voice Accumulator Information From a Database」 Maria Södersten, Gláucia Laís Salomão, Anita McAllister, ほか Division of Speech-Language Pathology, Department of Clinical Science, Intervention and Technology, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p646.e1-646.e9 自然な状況での音声使用の基準とするために、20名の声に問題を持つ患者と10名の健常者の声を2日間モニターし、基本周波数・発声時間・音声の音圧レベル・背景雑音レベルを記録・分析したという研究。 結果、平均F0と声の音圧レベルは実験室のデータよりも高値だったとのこと。やはりこのような自然状況のデータは必要、と著者らは結んでいます。 平均F0と声の音圧レベルが高値ということは、自然な場面では声は高く大きくなりやすいということです。 人工的な環境と差があることは充分ありうることですが、これまでの技術ではデータの集積に制限がありました。 スウェーデンの研究者の報告ですが、モニターされたデータは中央データベースに遠隔アップロードされる仕組みとのこと。 その合計は計682時間分にも及んだそうです。IT機器の進歩でどんどんこのようなことが可能になってくることでしょう。データの集積が楽しみです。 |
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