2024 11,23 10:37 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2016 08,01 09:59 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.037 2016.08.01号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 叫び声が気になります。 人はなぜ驚いたときに叫び声を出すのでしょうか。 叫び声は「あっ!」とか「キャーッ」とかです。たいてい大きな高い声です。聞いている方までビックリします。 反射的、といえばそうなんでしょうが、くしゃみやまばたきのような本当の生物的反射ではありません。 叫び声をあげると何かいいことがあるんでしょうか。気になります。 叫び声は、急に何かが目の前に現れた時とか、急に大きな音が聞こえた時とかに出ます。身の危険を感じて、それを本能的に周辺の仲間に知らせるために叫ぶのでしょうか。 確かに叫び声を聞くとビックリして警戒します。もしくは危険対象への威嚇とか。 でも誰もおらず、ひとりでいるときにも叫び声は出ます。さらに、実際に何かを見聞きしなくとも、急に何かを思い出したりしたときにも叫び声は出ます。 必ずしも外部の危険に反応して叫び声を出すわけではないようです。ポイントは「急な」の方にあると思われます。 身体の仕組みの方から考えると、急に何かに対応しなければならない事態が発生した場合、全身が緊張します。 これは交感神経の作用によるものです。全身の筋肉が収縮して一種の防御姿勢をとりつつ次の行動に備えるわけですね。 全身の筋肉が収縮するから、声帯も閉まって声が出る、ということでしょうか。声が高くなるのも声帯が収縮してピンと張った結果ということならわかります。 ただ叫び声が次の行動への備えになる、とはあまり思えません。それに交感神経の作用で全身の筋肉を収縮させるなら、息を止める、という反応でも構わない気もします。 それでも叫び声というのであれば、やっぱり威嚇なり危険伝達なりプラスされるメリットがあるのでしょう。 考えてみると驚いた時の叫び声は人間だけでなく、犬やら猫やらも出します。進化の上で、息を止める群と叫ぶ群で叫ぶ群が生き残る確率が高かったということでしょう。 叫び声は想像よりも役立つシステムで、私たちは生物としての根源的なところから叫び声を出しているのかもしれません。 ところで昔学生さんに、女性はどうして「キャー」と叫ぶんですか、と訊かれたことがあります。 おそらくですが、叫び声が「キャー」になるのは半分は文化で、半分は身体的必然性と思われます。 身体的必然性の方を解説すると、驚くと力が入って首をすくめるようになりやすいのですが、そうすると舌の根元が相対的に上にあがり「き」や「い」を発音する形が出来上がります。 そこで声を出し始め、そのままでは声が出しにくいので首を上げ口をあけると、「キャー」とか「いやー」「やー」が出来上がります。 驚いた時に出しやすい発音と言えるでしょう。 で、文化的な面を考えると、なにしろはっきり発音として「キャー」というのは基本的には日本だけです。 欧米では「キャー」もあるでしょうが、「ヤー」とか「アー」です。つまり「キャー」は自然発生というよりは、日本人の叫び声を聞いてそう覚えるわけですね。 いつからそうなのかはもちろん記録に残らないことなのでわかりません。平安や縄文の頃の叫び声はどうだったのでしょうね。 なかなか叫び声が気になります。 PR |
|
2016 07,18 06:27 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.036 2016.07.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Effect of Training and Level of External Auditory Feedback on the Singing Voice: Volume and Quality」 Pasquale Bottalico, Simone Graetzer, Eric J. Hunter Department of Communicative Sciences and Disorders, Michigan State University, East Lansing, Michigan ほか Journal of Voice Vol 30, Issue 4, 2016, p434-442 素人歌手10名とトレーニングを受けたプロ歌手10名(男性10名、女性10名)に70、80、90dBで伴奏を聴かせ、歌の音圧との関係などを測定した研究。 結果、素人歌手では、伴奏のデシベルが上がると歌の音圧が上がり、声の質は下がったとのこと。 プロ歌手では、影響を受けにくかったことから、トレーニングにより歌唱時の聴覚フィードバックへの依存は減少していくと考えられた、と著者らは結論づけています。 伴奏が大きくなると声が大きくなるのはロンバード効果という無意識的な反応です。発声運動エクセサイズでも使いやすい方法として推奨しています。 で、プロほど外的刺激を遮断して自分のパフォーマンスを一定にできるわけですね。注意のフォーカスを変えるだけですので、これはトレーニングで充分できると思います。 プロとしての修練度合いを計るのにいいかもしれませんね。 |
|
2016 07,18 06:24 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.036 2016.07.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Effectiveness of a Voice Training Program for Student Teachers on Vocal Health」 Bernhard Richter, Manfred Nusseck, Claudia Spahn, ほか Freiburg Institute of Musicians' Medicine, University of Music and University Medical Center, Freiburg, Germany Journal of Voice Vol 30, Issue 4, 2016, p452-459 教師養成課程の学生のうち、声の衛生トレーニングプログラムを受けた者123名と受けなかった者81名の声質やVHIを5年のトレーニング終了時に調査したという研究。 結果、両群に同じように努力声の者の増加がみられたが、声の衛生トレーニングプログラムを受けた者の声質は総合して良かったとのこと。 著者らは、このようなトレーニングプログラムは有効であり、職業訓練に組み合わされるべきであろうと結んでいます。 これはドイツの報告ですが、海外では教師などの声を使う職業における声の衛生についての啓発が随分進んでいるところがある印象です。 日本の大学の教育学部で声の衛生トレーニングプログラムなどはまずないでしょう。効果があることは確かですので、せめて採用時研修などではあってもいいように思います。 |
|
2016 07,18 06:20 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.036 2016.07.18号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ リップロールが気になります。 リップロール、といってもピンとこない方が多いかも知れません。唇を合わせた状態で息を吹いて、唇をブルブル振動させるあれです。 子どもの頃に意味もなく面白がってやっていた記憶がありますが、これが発声練習にとても良い、という話があります。 本当なんでしょうか。 リップロールと発声は関係するんでしょうか。 さてリップロールについて調べてみると、驚くほどいろいろなボイス・トレーニングの本で推奨されています。どうやらかなりポピュラーな方法のようです。 実施方法には特に変わったところはありません。唇を軽く閉じて少し尖らせてブルブルと長く一定になるように震わせるだけです。 ただし大体の場合、ただ震わせるだけでなく、一緒に声も乗せています。 高い声から低い声までいろいろ出してもちゃんと唇が同じように震えるようにコントロールできるようにすることが求められます。 あとはちょっと唇を「お」のように少し縦に開いた形にして震わせるやり方もあるようです。これを発声前のウォームアップとしてやろうということです。 その効果にはどのようなものがあるかというと、大きく4種類ぐらいが言われているようです。 第一は唇や表情筋がリラックスするというもの、第二は音程が正しく取れるようになるというもの、 第三は裏声がきれいに出るようになるとか、裏声と地声の境が滑らかになるというもの、第四は喉を開く練習になるというもの。 第一の唇がリラックスするというのは、これは間違いないと思います。唇つまり口輪筋ですが、これが過緊張であるとブルブルはできません。 筋緊張をコントロールしてリラックスさせるのに分かりやすい良い方法です。表情筋までリラックスできるかどうかは人によるでしょう。 ただ口輪筋のリラックスは発声とはほぼ関係ないと思います。 口輪筋だけリラックスさせることができない人がとりあえず全身の力を抜くというあまり器用でない対応をとることで喉頭の力も抜けて発声が良くなる、ということならありそうです。 第二の音程が正しく取れるようになるというのは、ちょっとどうでしょう。正直リップロールそのものとあまり関係ないように思います。 音程は輪状甲状筋などで声帯の長さをコントロールすることで調整しますので、口輪筋とは全然別のコントロールです。 ただこれも上と同じ理由で喉頭の力を抜けば輪状甲状筋をコントロールしやすくはなります。 さらに言えばリップロールしながら音程の上げ下げをするというのは、同時に2つの器官を動かすのでダブルタスクとなります。 ダブルタスクは運動指令が難しくなりますので、これはむしろ脳トレとしていいという感じになります。 脳が活性化すれば色々な活動もうまくいきやすくなるので、随分遠回りですが、結果として効かないこともない、という感じでしょう。 第三の裏声がきれいに出るようになる、裏声と地声の境が滑らかになるというのは、さらに微妙ですが、 リップロールはある程度の強さの呼気が続かないとできないので、地声よりも強い呼気が必要な裏声発声には確かにやや良いかもしれません。 でも裏声は息の強さだけで出すわけではありませんし、リップロールだけでは強さの強化は足りません。やらないよりはいいというところでしょうか。 第四の喉を開く練習になるというのは、唇を「お」の形にするリップロールをした場合のことのようですが、 唇を「お」の形にすると下顎を少し下げるので口腔の空間が広くなるのは当然のことで、リップロールだろうとなかろうと同じことです。 上と同じように全身の力を抜くという対応をした場合以外では、リップロールと喉の開きは関係ないと思います。もっと別の喉を開く練習をした方が効率良いでしょう。 ということで、こうして理屈から考えてみると、リップロールは全く声に影響しないわけではありませんが、 大体の場合は偶然良い効果が出た、というような程度のことになるようです。従ってやっても声になんの変化もない人もいることでしょう。 ただ練習としては面白いですし、指導者や本人が理屈を分かった上で工夫して取り入れれば、効率がもう少し良くなるかもしれません。 リップロールの今後が気になります。 |
|
2016 07,04 04:03 |
|
【035-1】 ◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.035 2016.07.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 最新健康ニュース (2016年6月) 最新健康ニュースサイトによると、クイーンズランド大学で、男性21人を筋トレ後水風呂に入る群と、筋トレ後軽い有酸素運動を行う群で12週後に比較したところ、 有酸素運動群の方が筋肉量と筋力の増加幅が大きかった、とのこと。 また16人を、筋トレ後熱い風呂に入る群と、筋トレ後休息する群で10週後に比較したところ、熱い風呂の群であまり筋力が増えなかったとのことでした。 酸素と栄養分の供給が筋トレ後の超回復を助けるわけですが、冷やすと血行が悪くなって効率的に酸素と栄養分が供給されなくなってしまうわけですね。 注目すべきは熱すぎる刺激もダメというところで、おそらく熱すぎると痛み刺激のように感じて筋を収縮させてしまい、やっぱり血行が悪くなるためではないでしょうか。 |
|
2016 07,04 04:00 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.035 2016.07.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「The Effectiveness of the Comprehensive Voice Rehabilitation Program Compared With the Vocal Function Exercises Method in Behavioral Dysphonia: A Randomized Clinical Trial」 Vanessa Pedrosa, Antônio Pontes, Paulo Pontes, ほか Departamento de Medicina, Universidade Federal de São Paulo UNIFESP, São Paulo, Brazil ほか Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p329-333 発症6ヶ月以上の機能性音声障害80名を発声機能エクセサイズ実施群と総合的音声リハビリテーションプログラム実施群に分け、1ヶ月後の様子を比較した、という研究。 結果、両群ともに改善が見られており、VHI・V-RQOL・目視的喉頭検査で明らかな差はなかったとのこと。 著者らは2つのプログラムが類似しているからではないか、としています。 総合的音声リハビリテーションプログラムとは症状対処的アプローチと思われます。 両者の差については実際知りたいところですが、もともとどちらも3〜4ヶ月かかることが想定されるプログラムですので、1ヶ月後の比較というところはちょっと微妙です。 類似しているといえばそうですが、それを言えばどの方法も似ているんじゃないでしょうか。 |
|
2016 07,04 03:57 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.035 2016.07.04号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 歌と言葉の起源が気になります。 かねがね不思議に思っていたのですが、言葉は一体どこから来たのでしょう。そして歌は?人間はもともと声を出せるようにはできています。 ですから人類で一番最初に言葉を使い始めた人が、物の意味と声のパターンを結びつけることを発明したとしても、それはあることかもしれません。 でもそれなら子音やら母音やらはどこから来たのでしょう。多種多様な発音を組み合わせた単語など、誰も話していないところでとてもじゃないが思いつける気がしません。 さらにアクセントだってあるわけです。人間は放っておけば言葉を話すわけではないことはアヴェロンの野生児の例が既に証明しています。 最初はごく簡単な発声で、だんだん音が複雑に進化したにしても、やっぱり子音など思い浮かばない気がします。 チンパンジーに言語を教えた研究では、母音は言えても子音がどうしても言えなかったという話です。 そして歌はどうでしょう。なぜ歌という不思議なものがあるのでしょう。 言葉はコミュニケーションの道具であり、生活上の必要性から生まれたのでしょうが、歌はどんな必然性があるのでしょう。 農耕だと作業中の暇つぶしとか楽しみとかありそうですが、原始狩猟生活には必然性はなさそうです。 にも関わず現在狩猟生活をしている民族にも歌はあります。それどころか地球上に数千ある全ての自然存在の言語で歌がない体系はただのひとつもないとのことです。 いったい歌ってなんでしょう。気になります。 それについて東京大学の岡ノ谷一夫先生が面白い説を提唱していらっしゃいます。 岡ノ谷先生は動物行動学者で、ジュウシマツの鳴き声を研究しているうちに、鳴き声には地鳴きと歌があり、 歌はヒトの言語と同じように、いくつかの音の並びからできていること、その音素を一定の基準で組み合せて歌っていて、それを求愛行動に使っていることを発見したのだそうです。 現存の生物でいわゆる音声言語を持っているのは人間だけです。しかし歌を持っているのは、人間だけじゃありません。 小鳥やクジラなどが道具としての歌を後天的に学習して身につけています。聴覚に問題がある小鳥は歌を習得できないそうです。 つまり初めにあったのは歌の方である可能性が考えられます。小鳥という見本があるので、それを真似して歌うところからなら簡単に始められそうです。 やっぱり小鳥と同じように求愛に使っていたのかもしれません。その歌の一部を切り取って言葉とした、とするなら全く自然でありうることです。 岡ノ谷一夫「さえずり言語起源論ー新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ」(岩波科学ライブラリー) は一読をお薦めします。 とすると歌が全ての言語にあるのも、どうして歌が人を惹きつけるのか、ということもうなずけます。 求愛に使っていたなら、歌手の皆さんがモテるのも、遥かな昔、言語のない時代から延々と続いてきた人の性向ということになりますね。 とすると良い声を出して上手に歌を歌えば、遺伝子レベルで多くの人を惹きつけることができるというわけです。 言葉よりも歌の方が我々には響く、ともいえるでしょう。実に発声の重要性が再認識される面白い話です。歌と言葉の関係がますます気になります。 |
|
2016 06,20 08:55 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.034 2016.06.20号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「A Review of Training Opportunities for Singing Voice Rehabilitation Specialists」 Julia Gerhard Department of Otolaryngology, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, Florida Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p329-333 歌唱リハビリの専門家の研修方法はどのようなものがあるのか、 利用可能な大学の研修プログラム、民間の研修プログラム、臨床フェローシップ、専門家協会のボーカルトレーニング、自己学習など、調査を行った研究。 結果、研修には様々なルートがあるが、認定されるような総合的なトレーニングプログラムはなかった、とのことです。 歌声のリハビリはアメリカでも必要性が高まっているものの、アメリカ言語聴覚士協会(ASHA) でも全米歌唱教師協会でも明確なガイドラインはないようですね。 それでも様々なルートがあるというのは羨ましい限りです。日本ではガイドラインはおろかその機会も全く整備されていないというのが現状です。 |
|
2016 06,20 08:45 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.034 2016.06.20号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ アニメ声が気になります。 アニメ声っていう言葉、最近時々聞きますね。 アニメっぽい声、ということらしいのですが、昔はそんな言い方はなかったと思うので、私にはどういう声なのか実は良くわかりません。アニメっぽいってどんな声なのでしょう。 気になります。 さてそもそもアニメっぽいとは声にどんな特徴があることなんでしょうか。 高い声、それと大げさな抑揚、というイメージがなんとなく浮かびます。 聴覚心理的に高い音は低い音よりも認識されやすい傾向があります。サイレンも警報音も高い音ですよね。高いと他の音があっても際立って聴こえます。 大げさな抑揚は、画面的に感情表現の情報量が少なくなってしまうアニメで情報の総量を増やすための声優さんの工夫と思われます。 例えば驚くにもいちいち「ええっ」「あっ」とか声に出して言う感じですね。このあたりのことは、コラムその22(「声優と俳優の違い」)にも書きました。 ちなみにディズニーアニメの吹替版では、子供の声は実際の子供が当てているようですが、はっきりと声優ではなく子供とわかります。 なぜなら抑揚が全然違うからです。本当の子供は地声は高くても意外に抑揚はあまりありません。比べると声優さんはやっぱり抑揚を大きくとっています。 このようなことで、高い声と大きな抑揚でしゃべる方はアニメ的、つまりアニメ声を持つといっても良いと思われます。 ただ、どうもそれだけでもない気がします。 ちょっと表現するのが難しいのですが、声優さんの中には、高いだけでなく、ちょっと面白いというか、なんとも特徴的な響きの声を持っていらっしゃる方がいます。 最近バラエティ番組でよくお見かけする声優の金田朋子さんなどが分かりやすい例でしょう。 www.youtube.com/watch?v=oak7L8HLK4E ちょっと極端な例かもしれませんが、高いだけでない、印象的・特徴的な声ということは分かっていただけるのではないか思います。 これこそアニメ声といえるのかもしれません。 さて、どのような条件がそろうとこのような声質になるのでしょう。 少し調べてみたところでは、こちらのサイトに声優さんの喉頭を調べたデータがありました。 http://basil.is.konan-u.ac.jp/anime/ それによると声優さんは声道の形や喉頭の高さがかなり一般人と異なり、アニメ声を出すと喉頭位置が高くなる、とされています。 また、私もよく参考にさせていただいているこちらのサイトでは、声質に魅力を感じる声優さんは喉頭室や咽頭共鳴腔を使って声を共鳴(加工)させている、と書かれています。 http://aidavoice.exblog.jp/17163893/ 私も多分、喉頭腔や咽頭腔の形状なのではないか、と思うのですが、実はまだ良くわかりません。今後もう少し検討してみたいと思っています。 ところでアニメ声はモテ声として羨ましがられることもあるようですが、 一方で声を作っているといわれたり、目立ちたくないのに目立ってしまうなど、悩んでいる方も随分いらっしゃるようです。 もし喉頭腔や咽頭腔の形状が関連しているのなら、このあたりの筋を鍛えてコントロールできるようになれば声を変えられそうです。 そのためにも、もう少し検討してみたいと思います。 というわけで、アニメ声の仕組みが気になります。 |
|
2016 06,20 08:40 |
|
◆発声運動エクセ事例紹介◆ vol.034 2016.06.20号より
☆発声運動エクセの実施事例をご紹介します☆ もともと中程度のアルツハイマー型認知症があったが、3ヶ月前脳梗塞を発症、左片麻痺と認知機能の低下のためほとんど寝たきり状態となり、 食欲も不振で胃ろうを作って転院してきた70代女性。 声が小さく非常に聴き取りにくい状態。 声量はごく小さく音域はかなり高い。しかもかすれて途切れ途切れ。ブローイングも非常に弱い。明瞭度はまあまあだが、舌は硬く後方に落ち込んでいる。 最大の問題は廃用も加わっての著明な呼気筋力低下、それに舌を中心とした喉頭周囲筋の過緊張と判断。 呼気筋の筋力向上、それに舌と喉頭周囲筋のリラクセーションを目標に設定。 ウォームアップはストローブローイング、それと舌ストレッチ、喉頭下部側方ストレッチと喉頭下制。 アシスト発声は標準的な「へ」「ほ」「は」から開始。実施は1日1回週5回。 開始1週め、全体には変化ないが、呼気力・舌の柔軟性ややアップ。 開始2週め、呼気力アップし声量増加傾向、舌の運動性やや向上。ただし声は高く過緊張性で依然聴き取りにくい。 開始3週め、声量全般にアップし発語はやや聴き取りやすくなる。ストロー間欠的ブローイングに切り替え。時折低い地声が出るようになる。 開始4週め、地声は全般に低くなり、短い文なら聴き取りやすい声量で発声が可能となる。退院に伴いエクセサイズ終了。 コメント:発症前はなんとか自立生活をされていたとのことですが、脳梗塞で寝たきり状態となって廃用症候群を合併し、 しかも低栄養も重なってこのような声しか出せなくなったと考えられました。 前の病院では発声練習などはしていなかったようですが、胃ろうを作って栄養状態の改善が見込めましたし、 まだ廃用を起こしてそれほど長くありませんでしたので、改善の見込みありと考えやってみました。 プログラムは呼気筋強化にかなり重点化し、途中で間欠的ブローイングに変更してさらに強化を図りました。 当初から1ヶ月程度の入院予定でしたが、期間内に目標の水準に到達できました。スタッフからも言葉が分かりやすくなったとの言が聞かれました。 |
|
2016 06,19 09:00 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.034 2016.06.20号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Prevalence of Vocal Tract Discomfort in the Flemish Population Without Self-Perceived Voice Disorders」 Anke Luyten, Laura Bruneel, Iris Meerschman, ほか Department of Speech, Language and Hearing Sciences, Ghent University, Belgiu Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p308-314 333名の音声障害の自覚のないフランドル人の声道不快感(VTD)をVTDスケールで調査、VHI、その他を調査した、という研究。 結果、乾燥(70%)、くすぐり感(62%)、喉のしこり(54%)が最も頻繁に発生する症状で、VTDを1つ以上示した症例は88%に登った、とのこと。 VTDの有病率はフランドル人集団において比較的高く、発声による負荷はVTDの頻度と重症度に影響を与えているように思われる。とのことでした。 通常声の問題というと声量とか声質とか声そのものについてしか注目されないのですが、くすぐり感や喉のしこりという声道不快感にも注目すべきでないか、ということを示唆してくれる文献です。 これら声道不快感が声とどう関わってくるのか、声道不快感を解消すれば声の問題にも影響するのか、このあたりはこれからでしょう。 |
|
2016 06,06 03:47 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.033 2016.06.06バージョンアップ特別号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 発声フィジカル・エクセサイズとして2014年2月より試験公開を始めたこの発声エクセサイズですが、今から思えば未整理な部分・未解明な部分があちこちにありました。 当時は気づきませんでしたが、公開すると、分かりにくいという声をいくつかいただきました。 振り返ると確かにその通りで、抽象的な記述や、慣れないとできないような判断を求める箇所もかなりありました。これでは実施そのものが難しいのも当然と思います。 今回、これらの部分を思い切ってできるだけ整理し、バージョンアップ版として再編成、名称も一新しました。 これまでも部分的に公開してきましたが、改めてこの場でまとめてご紹介したいと思います。 1)名称の変更 一番分かりにくい、と言われたのが、「フィジカル」という言葉です。 日本語の文脈で使われる場合、だいたいは「肉体」とか「運動する身体」というような意味になるようですが、 特にちょっと物理的な、という意味を足したいときに「フィジカル」という言葉が使われる印象です。 その点でこのエクセサイズと合っていると思われたのですが、なんとなくの使われ方ですので、ピンと来ない方も多かったようです。 ということでこの機会に、フィジカルという言葉はなくしました。 代わりに、このエクセサイズでは運動を重視しているので、ストレートに「発声運動エクセサイズ」としました。 2)基本概念明確化 概念自体は特に変わりありません。基本にあるのは発声は運動で、筋肉が動かしやすくなるよう条件を整えれば声は良くなる、という考え方です。 筋肉を動かしやすくする柱としてリラクセーションと筋力増強をおくところも同じです。 ただ、従来法と決定的に違うところは「トレーニングにより筋繊維そのものが変わる、それで声も変わる」ということで、 根幹に関わることですから、ここを強調して分かりやすくなるようサイトの説明を書き直しました。 3)用語の変更 これまで発声練習時に、工夫を加えて発声しやすくすることを「本番(発声)の工夫」と記載していましたが、 本番とか工夫という言葉が今ひとつ分かりにくいので「アシスト発声」と改めました。 内容は同じですが、ただの発声ではなく発声しやすいよう補助を入れている、というイメージを表した感じにしました。 またこれまでは筋力増強に使う運動の種類を「無酸素運動」としていましたが、ブローイング練習などは厳密には無酸素運動と異なる可能性があることなどから、 「負荷運動」に改めました。筋力増強には特に負荷が重要ですので、その意味でもこちらの方が分かりやすくて良いと思います。 4)栄養との関係を明記 メルマガでも何回か触れましたが、筋力増強の効果を上げるには適切なタイミングでの栄養摂取が必要です。今回、概要の原則の項で、その点を追記しました。 5)トライアルの削除 これまではアセスメントでトレーニング部位を決定した後に、トライアルで幾つかある選択肢の中からお試しをやって最適なものを選ぶ、という流れになっていました。 しかし何から選ぶべきか、ダメなときにやり直せばいいのか変えるべきか、実際難しかったと思います。 ですのでトライアルは削除しました。 新バージョンでは、最も効果がありそうなプログラムが自動選択されるようになっています。うまくいかないときにその場でとるべき対処法も複数つけました。 そして1週間程度実施して効果がなけれ第二選択に移る、となっています。この選択順はこれまでのデータに依っています。 6)フローチャート方式の導入 エクセサイズ実施の具体的な流れがわからない、という面がかなりありました。 そこで上にも書いたようにプログラムが自動選択されるようにフローチャート方式を導入しました。 特に最初に過緊張性を判断し、そこから分かれていくようにしてあります。これは過緊張性でトレーニングのやり方が全く異なるためです。 またひな形として実施して欲しい回数なども具体的に明記しました。もちろんこの回数は目安であって絶対的なものではありません。 とにかく全体に難しい判断を要せず、流れに沿って行っていけば簡単にプログラムを選べて実施できるように構成しました。 7)ストローロングブローイング 最も筋力増強効果を見込める「ストローロングブローイング」を新設しました。 TABATAメソッドに近い要素を取り入れ、インターバルトレーニングを基本としています。実施の難しさが想定されるので、順位は第3選択にしてあります。 8)嗄声解消エクセサイズと過緊張発声解消エクセサイズの分離 これまで嗄声・過緊張発声としてまとめていましたが、今回両者を分離しました。 嗄声の中には過緊張性を伴うものと伴わないものがあり、全体には過緊張性のものが多いのでまとめていましたが、 色々なケースを想定して分かりやすくするには分離した方がいいだろうと考えたためです。 9)実施方式の変更 これまで実施方式は、自主練習法と指導法に分かれていましたが、これを統一し基本的に自主練習法のみとしました。 結局、積極的に行っていくなら自主トレーニングが中心になるはずですし、指導のみ行うにしても自主練習法を指導すれば済むと思われるからです。 そのため全て自分で行うことを前提とした実施法に改めました。 10)上級知識の再編 これまでのエクセサイズの中で、テクニック的に難しいもの、微妙な判断が必要なもの、文章化が難しいものはフローチャートから分離し、 「高度な実施法」として別にまとめました。あくまで自主練習として、どなたにでも実施できることが目標だからです。 上級知識については、いつか講習会など開くことができれば、とは思いますが、まずは標準技法の普及の方が先でしょう。 上級知識については、たぶん動画公開して、それに解説を入れるという手っ取り早いやり方をとることになるような気がします。 11)ダウンロード用テキスト版メルマガ 特にバージョンアップとは関係ありませんが、ついでに過去のメルマガをテキストファイルでダウンロードできるようにしました。とりあえずvol.015までです。 12)マスキング法/DAF 実は実施が容易でオススメなマスキング法ですが、装置が欠かせない点がイマイチです。 ホワイトノイズの入手はちょっと手間でしょうから、サウンドファイルをダウンロードできるようにしたかったのですが、サイズが大きすぎてアップロードできませんでした。 これはなんとかしたいと思います。 果たしていかがでしたしょうか。基本的には広く用いていただけることが目的ですので、技法を簡略化し、自己診断でできて、複雑な判断を要さない、という方向性です。 ただし、誤字脱字・表記ミス・バグなど、まだあちこちに修正点が残っている可能性があります。 暇をみてはチェックを行っていますが、見るたびに何がしか見つかり、エンドレスな作業になってしまっています。 不具合を見つけた方、もしよろしければメールでもツイッターでも構いませんので気軽にお知らせいただければ幸いです。確認次第、すぐ修正させていただきます。 なかなか取りかかれないでいますが、今後は実施方法とコツを解説した動画の公開ができればと思っています。 さらにフローチャートを手元で見ながらエクセサイズができるよう、スマホアプリも開発したいと考えています。 ただしまだまだ先の話ではあります。気長にお待ちください。今後ともよろしくお願い申し上げます。 |
|
2016 05,16 06:16 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.032 2016.05.16号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 最新健康ニュース 「筋力トレーニングを繰り返す際には長めの休息を挟むと効果的」 1分休息で筋力トレーニングを繰り返した場合と、5分休息で筋力トレーニングを繰り返した場合の筋線維タンパク質合成率の違いを調査した研究。 Experimental Physiology誌掲載のバーミンガム大学の研究です。 結果、5分の休息を挟んだグループは1分しか休息を挟まなかったグループに比べて、筋線維タンパク質の合成の増加率が2倍だったとのこと。 ここから研究チームは筋力トレーニングを繰り返す際には2~3分の休息を挟むことを推奨しています。 これもインターバルトレーニングの効果を実証した研究といえるでしょう。 回復をより効率的にできるのはどの条件かということがポイントで、つまりメニューそのものだけでなく、その間と終了後が大きく影響してくるということです。 |
|
2016 05,16 06:14 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.032 2016.05.16号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「The Americans With Disabilities Act and Voice Disorders: Practical Guidelines for Voice Clinicians」 Derek Isetti, Tanya Eadie Department of Speech-Language Pathology and Audiology, University of the Pacific, Stockton, California Journal of Voice Vol 30, Issue 3, 2016, p 293-300 2008年のアメリカ人障害者法の改正法(ADAAA)成立により音声障害を持つ者も合理的配慮を受けられるようになったが、その効果を文献的に調査した研究。 結果、音声障害に対しては、就労場所や医療サービス提供などの点で配慮がなされているが、重度なケースについては充分ではなかったとのことです。 ADAAAは障害の範囲を非常に幅広くとらえた画期的な法律といわれています。 対象は、1)生活上主要な活動に実質的な制限を受ける者、2)そのような障害があるとの記録がある者、3)そのような障害があると人々にとらえられてしまう者、の3種です。 そのため音声障害も対象として入りました。就労政策についてはまだ不充分な点もあるようですが、徐々に整備されていくことでしょう。 |
|
2016 05,16 06:10 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.032 2016.05.16号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 胎教というのがありますね。クラシックなどの音楽を聴くとお腹の赤ちゃんの情操教育にいいという巷説です。胎教の一つとして英語教材を使うなんていうのも耳にします。 さてこのあたりどうなんでしょうか。もちろん充分に外界の音が聴こえないだろうことは想像に難くありません。 でも骨伝導でママの声なら聴こえるのだ、というありそうな説を聴くと、はてと思う気持ちもあります。 本当のところはどうなのでしょう。胎教はどう聴こえているのでしょうか。気になります。 発生学的にいうと、胎生4週ごろから耳の形成は始まりますが、音が聴こえるぐらいに耳ができ上がるのは胎生20週くらいのようです。 胎生28週を過ぎる頃には、ママの声に反応して動いたりすることがある、といわれています。 さて、胎児の聴こえを科学的に検証した実験は幾つかなされています。 たとえば帝京大学の名誉教授で耳鼻科医の田中美郷先生は、胃を子宮に見立て羊水の代わりに水を満たし、胃にマイクを仕込んで聴こえる外界の音を分析しています。 結果、聴こえるは聴こえるものの、音の大きさはかなり減衰し、外界の音を100%とすると体内の音は30%であったとのこと。 つまりかなり大音量でなければ聴こえないということです。しかも不明瞭で、口を手で塞いで喋ったようなこもった声に聴こえたそうです。 胎児は羊水に浮かんでいるため、水中で外界の音を聞くことになることが作用していると考えられます。 では骨伝導でママの声なら聴こえる、というのはどうでしょう。これもまた別の実験結果があります。 それによると、高音域と低音域の音が極端に減衰して聴こえず、そのためにかなり歪んで聴こえたとのこと。却って外界の音の方が歪んでいなくて聴きやすかったそうです。 実は骨伝導では音の減衰や反響というのがあり、いろんな経路で音が伝わるので音が重複したり一部が伝わらなかったりするのです。 骨伝導イヤホンというのがありますが、あれは耳のすぐ横や後ろに端子を当てますね。離れたところに当てると減衰してよく聴こえなくなってしまうためです。 ママの声帯から子宮はかなり離れていますから、ちょっと綺麗に聴くのは難しそうです。 さらに体内ではいろんな音が鳴っています。心音、血流音、呼吸音、消化器官の活動音など。お腹に耳を当ててみるとわかるでしょう。 これらは基本低音域の音です。この上に聴こえる音をかぶせるなら高音域の音ですが、高音域の音は減衰してしまって届きません。結局、少なくとも外界から音楽や、まして英語など聴かせてもほとんど耳には届かないと思われます。 といっても胎教が全く無意味なのではなく、ママが好きな音楽を聴いて落ち着き、リラックスした気分になることが胎児の環境としていいのは間違いありません。 ですから好きでもないクラシック曲をがまんして聴くことにはなんの意味もありません。要はママが楽しいかどうかなのでしょう。 ところで我が家でもその折には、夏川りみさんのCDを買ってきたりしたものですが、果たして効果があったのか今もって全くわかりません。 ちなみに誕生前の記憶がある子供がいる、と聞いたので、子供達が小さい頃に訊いてみました。 ところが期待はずれも甚だしく、子供たちはポカンとして、全くもって要領を得ない答えしか返ってきませんでした。まあこんなものかもしれないと思ったものでした。 |
|
2016 05,16 06:07 |
|
【発声運動エクセサイズ マニュアル】 vol.032 2016.05.16号より
☆リニューアル準備中の運動的発声エクセサイズの実施法を先行してご紹介します☆ 【アセスメント編 その3】 ステップ1 アセスメント はじめにどこの部位(筋肉)をどのような方法で鍛えるか決定します。下の選択肢の中から解消したい声の問題に当てはまる項目を選んでクリックして下さい。 続いて声の問題がどのような原因によって生じているか推定するための質問が並んでいますので、当てはまる項目の右の数字をクリックして下さい。 ステップ2 アセスメント結果 アセスメント1・2によってどのような原因で声の問題が生じているか推定した結果、および強化すべき部位(筋肉)や能力が表示されます。 続けて「プログラムへ」をクリックして下さい。 ステップ3 プログラム 実施すべきプログラムとその説明が表示されますので、それを参考にして練習をやってみましょう。 発声運動エクセでは「ウォームアップ」と「アシスト発声」が組になってひとつのエクセサイズになっています。 確実に効果を上げるために、ウォームアップにあたるプログラムと発声練習のプログラムを必ずセットにしてエクセサイズを行ってください。 |
|
2016 05,02 07:21 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.031 2016.05.02号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します NHK ためしてガッテン「結果にコミットー!効果2倍の筋肉UP術」 2016年4月20日放送 10回がギリギリできる負荷量の運動をゆっくり10回、余裕があればさらに素早く10回、2セットでおよそ3分程度。 1日おきに行い、運動の直後に「たんぱく質」と「糖質」を摂ると、筋肉を2倍効率的にアップさせることができる、とのこと。 運動の後にたんぱく質などの栄養を入れると効果が高まる、というのは近年特に強調されているところです。 全体に特に目新しいことを言っているわけではありませんが、分かりやすく整理されていたと思います。声量アップのトレーニングに取り入れたいところです。 |
|
2016 05,02 07:16 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.031 2016.05.02号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Bilateral In-Office Injection Laryngoplasty as an Adjunctive Treatment for Recalcitrant Puberphonia: A Case Report and Review of the Literature」 Emke M.J.M. van den Broek, David E. Vokes ほか Department of Otorhinolaryngology/Head and Neck Surgery, Auckland City Hospital, Auckland, New Zealand Journal of Voice March Vol 30, Issue 2, 2016, p221-223 22歳の突然変異ファルセット(Puberphonia)の男性。声帯両側にヒアルロン酸を注入し、ボイスセラピーを行ったところ、基本周波数は152Hzから102Hzに下降したとのこと。 1年後でも108Hzに維持されていたそうです。 突然変異ファルセットとは変声障害のひとつです。 通常はボイスセラピーと心理カウンセリングで容易に改善するそうですが、このケースでは効果がなかったため、ヒアルロン酸注入を試したという報告です。 ボイスセラピーはいずれにしろ必要なようです。 |
|
2016 05,02 07:12 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.031 2016.05.02号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ (前編からの続き)心を入れ替えて基礎から声の勉強を始めた私ですが、いかんせん座学の悲しさ。発声指導の具体的な運び方が今ひとつわかりませんでした。 少しだけ資料VTRは見ましたが、全然足りませんでした。今ならyoutubeでいくらでも動画を見つけることができます。 しかし当時はyoutubeもニコニコ動画もありませんでした。近県に見学に行けるような病院もつてもありませんでした。 こうなったら、ボイス・トレーニング教室に潜り込むしかない、と私は思いました。 むしろそっちの方が営業としてやっているぶん、わかりやすくて学ぶべき点が多いかもしれない、そんな期待もありました。 さて、探してみるとこれまた色々とありました。プロ歌手向けから、カラオケ上達、アナウンス、朗読、演劇向けなどなど。 実に多様なニーズがあるものだ…と妙に感心しました。 その中にビジネスマン向けというのがありました。良い声を出して営業やプレゼンなどビジネスに生かそうというコースです。 これがいいのではないか、と早速申し込みました。 さて行ってみるとそこはスタジオを兼ねたいわゆる普通のボーカルスクールで、手広くやっているひとつとしてビジネスマン向けのコースも設けている、という感じでした。 コースの生徒は大学生やフレッシュマンの若者から中年男性まで様々。 理由も、上司から声が小さいと言われてという人や、人と喋るのが苦手でという人、就活に有利なようにという人までこれまた様々でした。 先生はいかにも業界の人、という感じのお洒落でダンディな40代の男性、快活でよく通る声、抑揚や身振りが大きく、ソフトな口調、そして笑顔が爽やかでした。 まず初めにストレッチ、そして腹式呼吸練習。しかしここでつまづく人がたくさんいるようでした。 そして発声練習ですが、先生はここでイメージの持ちようということを繰り返し繰り返し説明し、それは発声練習をさせている間も続きました。あとは基本その反復でした。 レッスンは他の生徒とペアを組まされて行うのですが、私はもともと知っていましたので腹式呼吸も発声法も、初めから難なくできてしまいました。 ところがペアの人が腹式呼吸からしてちっともできないのです。私はつい習慣で「もっと力を抜いて、ここをへこませて」などと言ってしまいました。 先生は怪訝な顔をして、「あなたは何かやっている人ですか」。私はしまったと思いましたが時すでに遅し。 恐縮して「言語聴覚士でして・・・声の勉強をもっとしたくて」というと、先生は「そうでしたか。私も資格を取ろうかと思ったことがありますよ」と、笑顔で言って下さってホッとしたりしました。 そんなこんなでこの体験は私には色々な意味で勉強になりました。 第一に声で悩んでいる方が想像以上に多いこと、第二に腹式呼吸でつまづいて先に進めない方がたくさんいること、 第三にイメージによるトレーニングは有効だがうまくできない人も多いこと、 さらに指導者の誘導はセリフだけが重要なのではなく、声や雰囲気やリズムそして勢いなどが総合されて効果を出すこと、などです。 この後、私は音大で教えている先生にも教わったりして、様子を掴んでいくことができました。 しかし、実際に目の前にいる患者さんたちの声を変えることができるようになるには、まだひとつ大きなハードルがあったのです。でもそれはまたの機会に。 |
|
2016 05,02 07:09 |
|
◆発声フィジ・エクセ事例紹介◆ vol.031 2016.05.02号より
☆発声フィジ・エクセの実施事例をご紹介します☆ 数年前に脳梗塞を発症。著明な運動麻痺はないものの認知機能が低下し家ではほとんど動かない生活。 食欲の低下が続いたため検査のため入院してきた70代の男性。声が聞き取りにくいので、なんとかして欲しいとの要望がご家族からあり。 ご本人は自分から話すことはほとんどなく、問われれば短く答える程度。 声は過緊張発声で特にガラガラ声の粗ぞう声が著明。声量も乏しく、呼吸数に問題はないが呼気は弱い。 咳は可能。栄養状態不良。 活動性の低下から全身に廃用が進んだための声量低下で、無理に発声するのでガラガラ声になっていると判断。 目標は呼気筋の可動域と筋力の向上、過緊張発声の消去。 体幹・肋間筋のストレッチと負荷ブローイング、楽なポジションである30度臥位姿勢からの発声練習を週5回実施。 同時に食形態を工夫、食べやすい食事にして栄養状態改善を図る。 開始1週め、30度臥位にすると過緊張発声はかなり軽減。 食欲改善、ほぼ全量摂取。 開始2週め、呼気筋力改善みられ始める。発声練習の姿勢を60度にアップ。この姿勢でも過緊張軽減した発声が可。 座位姿勢では変わらず。 開始3週め、座位姿勢では依然ガラガラ声が主だが、時折クリアな発声が可。 開始4週め、ガラガラ声は残るものの全般に声量アップし聞き取りやすさ向上。自宅退院のためエクセサイズ終了。 コメント:ベースは脳梗塞ですが、それよりもその後の不活発な生活行動で発声に問題が生じたと考えられたケースです。 数年前の脳梗塞から引き続いた問題であれば改善には困難が予測されますが、比較的問題が発生して時間が経っていない様子でしたので実施してみました。 さすがに完全回復には至りませんでしたが、そこそこ実用的な発声ができるようになりました。栄養不良も一因と考えられ、そこの回復も大きかったと思います。 |
|
2016 04,18 09:12 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.030 2016.04.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Screening for Voice Disorders in Older Adults (Rastreamento de Alterações Vocais em Idosos-RAVI)-Part I: Validity Evidence Based on Test Content and Response Processes」 Leandro de Araújo Pernambu, Albert Espelt, Hipólito Virgílio Magalhães Júnior ほか Department of Speech, Language and Hearing Sciences, Universidade Federal do Rio Grande do Norte (UFRN), Rio Grande do Norte, Brazil Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p246.e9-246.e17 60歳以上の高齢者40名に高齢者発声障害スクリーニング(RAVI)を実施、妥当性指数を算出しRAVIの妥当性検証を行った研究。 結果、妥当性は充分とはいえず調整の必要があったとのこと。パートIIに続くとのことです。 スクリーニングとはどんな問題があるか面倒な検査をせずにとりあえず判定することです。RAVIは質問紙でそれを行おうとするもの。 この種のものは精度を高めようとすると複雑化してしまい簡便にならなくなってしまいがちです。 初期バージョンでの質問項目は20、修正バージョンでの質問項目は16とのことで、このぐらいなら項目数としては簡便と言えるでしょう。問題は精度ですが、それはパートIIのようです。 |
|
2016 04,18 09:09 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.030 2016.04.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Screening for Voice Disorders in Older Adults (Rastreamento de Alterações Vocais em Idosos-RAVI)-Part II: Validity Evidence and Reliability」 Leandro de Araújo Pernambu, Albert Espelt, Hipólito Virgílio Magalhães Júnior ほか Department of Speech, Language and Hearing Sciences, Universidade Federal do Rio Grande do Norte (UFRN), Rio Grande do Norte, Brazil Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p246.e19-246.e27 030-1の続き。今度は性別や生活環境条件を統制した160名の高齢者にRAVIを実施、項目の相関、主成分分析、確証的因子分析などにより信頼性と妥当性を分析したというもの。 結果、充分な妥当性と信頼性が示されたとのこと。今後はRAVIのカットオフ値を算出したいとのことでした。 パート1で充分な妥当性が出なかったので、被験者を増やし条件も細かくコントロールして分析したところ、まあ良い数字が出た、ということのようです。 簡便なスクリーニングはあっていいと思いますが、質問紙はどうしても回答者によって解釈や判断に差が出てしまいます。高齢者であればなおさらです。 認知機能に低下があれば信頼性にも疑問が出てきます。そのあたりどう補償するか、まだ難しい面が残されていると思われます。 |
|
2016 04,18 09:05 |
|
◆気になるボイスコラム◆ vol.030 2016.04.18号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 今回は30号とキリ番ですので、また思い出話を書こうと思います。暇つぶしに読んでいただければ幸いです。時系列としては20・21号のコラムで書いたエピソードの後になります。 声についての知識も経験も乏しかった当時の私でしたが、試行錯誤の末、劇的に声が出るようになったSさんというケースを経験しました。 このエピソードを経て、私は声というものは不思議だ、そして、もっと声について知りたい、もっと声に詳しくなって声の問題を解決できるようになりたい、そう強く思うようになりました。 そう意識を変えて改めて周りを見てみると、私の勤めている病院には、声が出なかったり、声に問題がある患者さんが随分いることに気づきました。 当時私の勤めていたところは高齢者医療を専門的に行う研究機関も兼ねた病院であり、認知症を伴うような方を含め高齢者が非常に多かったのです。 こんなに声に問題がある方がいたなんて・・・。一体自分は今まで何を見ていたのだろう、と愕然としました。 とりあえず数人の方に発声トレーニングを試みてみました。内容は教科書的なことの見よう見まねです。 しかしいかんせん、思うように声はよくなりませんでした。少し良くなって行き詰まってしまったり、全く変わらなかったり、そもそも行ってくれなかったり。 Sさんに行ったような工夫も何の効果もありませんでした。手も足もでませんでした。 こりゃあダメだ・・・と私は思いました。声をよくするには、声の問題の原因がどこにあるのか突き止めるのが第一。 その上で原因を取り除くか、別の方法で補うようにすると良いだろうと考えていたのですが、そもそも声の問題の原因がどこにあるのかも皆目わかりませんでした。 そこをとばして闇雲にやってみたのですが、やっぱりダメだった、というわけです。 原因の見当がつかない理由は簡単で、私の声についての知識が本当に薄かったからです。なにしろ喉の筋肉には何があるのか、どうやって声が出るのかもうろ覚え状態でした。 これでは声の問題の原因がどこにあるのか突き止めるどころではありません。 自分でもここはちょっと曖昧だな、と思いながら学生時代おざなりにしていたツケが今頃回ってきたというわけです。 ここは一番正攻法で行くしかない、ということで、色々書店や図書館を巡り、これはという書籍は購入しました。 インターネットでも色々調べてみました。日本音声言語医学会が主催するセミナーにも参加しました。 ノートを作って自分になりにまとめ、わからないことは書き出し、わかった時点でノートに書き足していきました。日本音声言語医学会発行の聴覚判定ドリルDVDも繰り返しやりました。 そうこうするうちに知識は徐々についてきました。全く分からなかった状態から脱し、ようやく少しずつ分かるようになってきました。 しかしここでひとつ大きな問題がありました。それは発声指導の具体的な運び方がよくわからない、ということです。 プログラムは立てられるとして、どう声をかけたらいいのか、どんな言い方をしたらいいのか、どう始めてどう終わるのか、その具体的なことがよくわからなかったのです。 近県に見学に行けるような病院はありませんでした。つてもありませんでした。 こうなったら、と私は思いました。ボイス・トレーニング教室に潜り込むしかない、と。 (後編に続きます) |
|
2016 04,18 08:59 |
|
☆リニューアル準備中の運動的発声エクセサイズの実施法を先行してご紹介します☆
vol.030 2016.04.18号より 【アセスメント編 その2】 ・過緊張発声・低緊張発声の判定を行い、過緊張発声に当てはまった場合、次の項目のチェックを行います。 □常に声がかすれる、もしくはガラガラする □声を出しはじめる際、声が詰まる感じがする □「あっあっあっ…」と素早く10回繰り返す発声が難しい ・このいずれかにあてはまる場合、声帯の過緊張が特に強いと考えられます。 ・その場合は、通常よりも多めに声帯をリラックスさせるウォームアップを行うことになります。 ・次のステップでは、過緊張が声帯のみか、喉頭全体や口腔にも及んでいるか、判定します。 |
|
2016 04,04 06:49 |
|
◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.029 2016.04.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Voice Tremor in Patients With Essential Tremor: Effects of Deep Brain Stimulation of Caudal Zona Incerta」 Patricia Hägglund, Linda Sandström, Patric Blomstedt ほか Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p228-233 深部脳刺激(DBS)を実施した本態性振戦患者26名の音声振戦について調査した研究。音声振戦の有病率は50%(13例)で、うち6名がDBS治療によって大幅に改善したとのこと。 全体としては効果があるものの個人差が大きいので手術前に充分な説明が必要だろうと著者らは結んでいます。 深部脳刺激(DBS)とは脳内に電極を埋め込んで定期的に電気刺激することにより、脳を活性化させ、振戦や運動障害などの症状の軽減を図る治療法です。 脳に電極を埋めるというと恐ろしく感じる人もいるでしょうが、大学病院などでは既に多くの人に治療がなされ安全性も確認されています。 しかし声の震えに注目されたことはこれまであまりなかったと思われます。効果は約半数の症例にあったようですが、もう少しデータが揃って事前予測ができるといいですね。 |
|
忍者ブログ [PR] |