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2015 07,20 03:38 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.012 2015.07.20号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します Brett R. Myers, Eileen M. Finnegan 「The Effects of Articulation on the Perceived Loudness of the Projected Voice」 Journal of Voice Vol 29, Issue 3, 2015, p390.e9–390.e15 20人の大学院生に普通の発音・不明瞭な発音・オーバーな発音のフレーズを聴かせたところ、フレーズの明瞭度が増すと共に声量も増したと判断した者が多かったという研究。ここから発声だけでなく発音練習も結構大事なのではないかと著者らは結論づけています。 まあはっきり聞こえたから大きい声と錯覚したのでは、という気もしますが、滑舌など発音練習はしておいて損はありません。何より発音練習は発声練習より簡単です。しかもやれば誰でもちゃんと上手になります。錯覚かもしれませんが手っ取り早く聴き映えを良くするにはお薦めの方法です。 PR |
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2015 07,20 03:36 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.012 2015.07.20号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ エッジボイスという言葉をご存知でしょうか。世界基準では「ボーカルフライ」といいますが、日本では「エッジボイス」という呼び方の方が広まっているようです。 エッジボイスとは発声練習法のひとつで、ウォームアップとしてこの声を出すことにより、本練習で声が出しやすくなる、ということでよく用いられている方法です。 エッジボイスの出し方は、まずしっかりした声量で声を出しながら音を低くしていきます。これ以上下げられないという高さまで行くと、声がとぎれとぎれのガラガラ声になります。これがエッジボイスです。このエッジボイスを大きな声でしっかり出してみることで、発声器官がリラックスしたり、声帯閉鎖の感覚を掴むことができるといわれています。ただしこのエッジボイスには明確な定義はありません。恐らく指導者によって出し方に少しずつ違いがあるものと思われます。 さて、科学的に言うとこのエッジボイスは租ぞう声発声をしていることになります。人によっては努力声も混じっているかもしれません。声帯の筋肉および声帯粘膜を緊張させることによって出る声です。なぜこれを出すことで声が出しやすくなるかというと、運動学でいう「最大緊張後の最大弛緩」という理論がその答えになります。筋肉は最大限に力を入れるとその直後に最も力が抜けてリラックスした状態になる、という原則です。敢えて緊張度の高い声をガツンと出すことにより、その後に声帯をリラックスした状態に持っていき、しかる後に発声練習をしよう、ということです。 確実に実施できれば合理的な方法です。一方中途半端に行うと効果がないばかりか、声帯を痛めかねない方法でもあります。確実に理論を理解した上で実行したい方法です。 |
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2015 07,20 03:31 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.012 2015.07.20号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 入試や採用試験の面接とか、大勢の前でしゃべらなければならない時ってものすごく緊張しますね。緊張してアガってしまうと、声って震えてしまったり上ずってしまったりします。私にも経験がありますが、声が震えて、今緊張している!と思うとますます緊張が強くなってしまって、もう自分でもどうにもならなくなってしまったりします。緊張した場面というのは声に何が起こっているんでしょうか。またどうして緊張するとこうなってしまうのでしょうか。考えてみると気になります。 緊張して声に起こる現象は、1)声の震え、2)声のかすれ、3)声の裏返り(翻転)・ピッチ上昇、といったところでしょうか。 声の震えはどこから来るのかというとこれは呼吸筋になります。声は呼気筋が働いて息を出すことによって出るわけですが、この呼気筋が緊張で震えてしまい、スムーズに息を吐けず、断続的になってしまった結果、あのような震え声になります。 緊張すると声はなぜかすれるのでしょう。これはおそらく声帯粘膜です。声帯は声帯筋を声帯粘膜という軟らかいカバーが覆っているような構造になっています。この声帯粘膜が滑らかに動くと綺麗な声が出るわけですが、この声帯筋が緊張でかちかちになってしまって、その上の声帯粘膜の動きも滑らかでなくなってしまっている、と考えられます。 かすれについてはもうひとつ。緊張すると喉が渇きますね。なぜか。緊張すると心拍数が上がって呼吸が速くなります。そうすると呼気・吸気が普段よりも頻繁に気道を通ります。息が頻繁に通ると風にさらされて声帯粘膜の水分が減って乾燥してしまいます。声帯粘膜は湿っていないと滑らかな動きができないため、結果かすれ声になってしまいます。 緊張による声の翻転やピッチ上昇、つまり裏返ったり高くなったりの原因は声帯筋です。緊張すると筋肉は硬くなりますが、それだけでなく筋肉のコントロールも充分効かなくなってしまいます。よくあるのは緊張して筋肉が硬くなり動きにくくなっているので思い切って動かそうとして力を入れすぎてしまった場合。もうひとつは舞い上がって冷静な判断ができなくなり、思い切り力を入れすぎてしまった場合。声帯に力をいれると声帯は引っ張られるので、声は高くなります。時には引っ張りすぎて翻転してしまうこともあります。このあたりが原因といえるでしょう。 ところでどうして緊張すると力が入ってしまったり、震えたりするのでしょうか。力が入るのは、自律神経系のうちの交感神経の働きによるものです。血圧上昇とか動悸と一緒で、ノルアドレナリンという物質が分泌されることにより生じます。 さてではなぜ緊張場面で交感神経が働き力が入るのかというと、まあアイドリング状態ということですね。一種の危機場面ですから筋肉に力を込めてすぐに危険に対処できるようにということだと思います。と言う割には緊張しすぎて動きが鈍くなってしまったりなんていう本末転倒な現象もありますので、危機対処としてはそれほど優秀なシステムとはいえない気もしますが。 さらに緊張した時に起こる震えは動きが余計に阻害されるなどリスクばかり目立って合理的な理由が見当たりません。それとも分かりやすい警告システムなんでしょうか。寒いときに起こる震えは振動により体温上昇を図るという合理的な理由があるのですが。 私も今は人前で話す機会が結構多いので慣れてしまいましたが、昔は大変緊張しました。初めて学会で発表した時などは緊張してどうにかなってしまいそうでしたので、やたら大声を張り上げて原稿を読んだりしました。不思議なことに大声を出していると緊張はどこかに行ってしまうのですが、会場の出席者にはまるで選手宣誓のように聴こえたかもしれません。 というわけで、緊張した場面での声が気になります。 |
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2015 07,20 03:27 |
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声のなんでもQA◆ vol.012 2015.07.20号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】歌声と喋る声の出し方に違いはありますか。 【A】どちらもその人の声ですので基本的なところに違いはありません。 歌だから腹式にしなければならないとか、姿勢を正さなければならないとか、そういう特別なこともありません。 ただ歌の場合、聴こえ方を工夫しようと思うなら、幾つかの注意点はあります。 ひとつは声をよく響かせて歌全体の聴こえ方を良くしたい場合。この時は舌を平たくして全体に下げると同時に軟口蓋を少し上げ口腔内の空間を広げます。これで声を出すと口腔内で反響しやすくなり響きのある声になります。 もうひとつは高音の音程をしっかり取りたい場合。高音をパッと出すときには音を外しやすいものです。高音の音程をしっかり取るには、まず高音に行く前に充分息を吸っておくことが必要です。息が足りないと高周波の声帯振動ができず、目標音から下がってしまたり、裏声になってしまったりします。思い切って声も出せません。 あとはビブラートをかけるとか、ウィスパーにするとか、その曲に合わせた発声法のテクニックがあると思いますが、これは煩雑になりますのでここでは割愛します。 |
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2015 07,06 15:58 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.011 2015.07.06号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します ムック編集部 (編), 比嘉 一雄 (監) エイムックシリーズ 「自重筋トレ 100の基本」[Kindle版] 自重筋トレとはマシンやトレーニング器具を使わず、自分の体重を負荷として行うトレーニング方法です。利点はいつでもどこでもできること。代表的なものは腕立て伏せや腹筋運動ですが、実は多様なやり方があり、この本をみれば自分にあった方法を選べます。このムック本はコンビニでもまだよく見かけますが、今回Kindle版が出てより便利になったようです。発声トレーニングに使えるやり方もありますので、機会があれば一度見てみてはいかがでしょうか。 |
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2015 07,06 15:57 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.011 2015.07.06号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します Nikolaos Spantideas ほか「Voice Disorders in the General Greek Population and in Patients With Laryngopharyngeal Reflux. Prevalence and Risk Factors」 Journal of voice Vol 29, Issue 3, 2015, p389.e27–389.e32 340人のギリシャ人に声の問題を感じているかアンケート調査した研究。結果、一般人では38.5%、胃食道逆流症患者では90.6%が声の問題を感じており、いずれも喫煙と飲酒を習慣的に繰り返している者であったとのことでした。 胃食道逆流症は胃液などが食道や咽頭に逆流し粘膜を刺激することによって起こる胸やけやみぞおち・喉の痛み・喉の違和感などが主な症状の疾患です。声帯粘膜にも炎症が生じ声の問題が起こることがあるといわれています。最近この病気に悩まされる人が増えてきたことから日本でも注目されていますが、90.6%というのはかなりの高率ですね。頻繁な喫煙と飲酒をしていて症状に心当たりのある方には耳鼻科の受診をお薦めします。 |
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2015 07,06 15:55 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.011 2015.07.06号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 筋力トレーニングを行うための運動には2種類あります。ひとつは等尺性運動、もうひとつは等張性運動です。等尺性運動はアイソメトリック運動、等張性運動はアイソトニック運動ともいいます。 ものを動かそうと引っ張っている時のように力を込めながら関節を動かす運動を等張性運動・アイソメトリック運動といいます。関節が動くのは筋が長さを変えるからで、言い換えれば等張性運動とは筋が長さを変えながら行う運動のことです。抵抗よりも筋の収縮力が大きいと筋が短くなりながら力を出しますので、これをコンセントリック収縮・短縮性筋収縮、抵抗よりも筋の力が小さいと筋が伸ばされながら力を出すことになりますので、これををエキセントリック収縮・伸張性筋収縮と呼びます。 一方、関節を動かさないで行う運動を、等尺性運動・アイソメトリック運動と呼びます。関節を動かさないので筋の長さは変わりませんが、筋は収縮して力を出しています。動いていないので運動のようにみえないかもしれませんが、筋が収縮していますのでこれも立派な運動のひとつです。動かないものを押したり引いたりするとこの運動になります。もしくはじっとしたまま筋肉にぐっと力を入れてもこの運動になります。等張性運動は動的運動、等尺性運動は静的運動とも呼ばれます。 筋力トレーニングというと抵抗を加えながら行う等張性運動のことばかり想像してしまいがちですが、発声に関わる筋肉のトレーニングをしようとしても等張性運動を実施しにくいことが結構あります。そんな時はこの等尺性運動を行います。等尺性運動だからトレーニング効果があまり期待できないということは決してありません。外部から筋収縮に見合う最大抵抗を加えて等尺運動させると最大の筋収縮を出しやすいことが知られています。可能なら等張運動と組み合わせるとさらに効果的です。知っておくと良いでしょう。 |
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2015 07,06 15:51 |
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◇声の芸能 ◆気になるボイスコラム◆ vol.011 2015.07.06号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ アナウンサーの声が気になります。 毎年人気アナウンサーランキングというものが発表されていますね。アナウンサーの人気は喋りのうまさとか、親しみやすさとか、ルックスとか色々なものが影響して決まるのでしょうが、それよりも何よりも、アナウンサーですから伝えるべき言葉が聴き取りやすくなければさすがに仕事にならないと思います。そして聴き取りやすいための要素として声は無視できない要素です。つまり耳に聴こえた声の感じが良いことがアナウンサー人気には大きいんじゃないでしょうか。というかそもそもアナウンスに向いた声とはなんでしょうか。気になります。 さて男性アナウンサーというと、アナウンサーランキング殿堂入りを果たしているTBSの安住紳一郎さんが代表格として思い浮かびます。ここはひとつ安住さんの声を分析してみようと思います。 安住さんの声はというと、まず地声はやや低めです。声帯が緊張すると声が高くなることから、私たちは高くない声を聴くと自然に声帯が緊張していない=リラックスしている、落ち着いているという印象を受けます。落ち着いた印象というのは信頼性に繋がりますからアナウンサーにとってこれはとても有利なことでしょう。でもそれだけではありません。安住さんは時に抑揚をとても大きくつけており、かなり高い声も出しています。大きいイントネーションは感情の伝達に役立ちますので、視聴者にはとても分かりやすいことと思います。 さらに安住さんの声は空気の音や喉を締めたようなくぐもった音が混じっておらずスッキリとしています。つまり気息声とか努力声などの余分な要素がないため、声質はクリアでストレートに耳に届く聴き取りやすい声といえるでしょう。 安住さんの起声、つまり声の出し始めの部分は典型的な軟起声、つまりフェードインするような徐々に声を出す発声法をしています。この発声法はソフトな印象を与えます。 安住さんの声の響きは良い時もありますが、全体にはそれほど目立って前面には出ていません。その代わり発音時には鼻音化をきっちりさせています。タ行・ダ行・カ行・ガ行などの音はそのままはっきり発音すると聴いている人には強く聴こえてしまい、厳しい口調とか怒った口調に聴こえてしまいます。そこでこれを少し鼻にかかったように、息を鼻に抜きながら発音すると少し弱まって聴こえるのでソフトな印象を与えます。ただし鼻に抜きすぎると発音として不明瞭になってしまいますから、適度なバランスが必要です。安住さんはここのバランスの取り方が抜群です。 まとめますと、安住さんはやや低めの落ち着いた声と抑揚をきかせた伝わりやすい声を巧みに使いわけながらストレートかつソフトに聴こえる発声法を駆使してアナウンスを実行している、といえるでしょう。さすがアナウンサーランキング殿堂入りを果たしているだけある、見事な発声法です。聴いていても他の男性アナウンサーと比べて群を抜いて素晴らしい発声といわざるを得ません。 さてアナウンサーはフリーまで含めると星の数ほどいらっしゃいます。聴いているとここをこうすればいいのにな、と思うこともしばしばです。そして女性アナウンサー、いわゆる女子アナ。彼女たちの発声は? 長くなりそうですのでそれはまた改めて。 アナウンサーの声が常に気になります。 |
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2015 07,06 15:49 |
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◆04. 10年後の発声トレーニング◆ vol.011 2015.07.06号より
☆これからの発声トレーニングのあるべき姿について提案します☆ インターバルトレーニング(Interval training)という方法があります。今やオリンピック級アスリートがこぞって取り入れる、非常に効果の高い方法といわれています。無酸素運動のトレーニング方法の一つで、高負荷と低負荷を交互に繰り返すことを基本としています。高負荷の運動を何度も繰り返すことにより最大心拍状態を何度も繰り返すことができるので、その結果心肺機能が鍛えられるというのがその原理です。これにより持久力を付けて疲れに強い身体をつくることができます。ただし遅筋と速筋の両方が強化されますので、疲労度が高くかなりの負担がかかります。そのため実施は週に2〜3回ほどが一般的とされています。なおインターバルトレーニングでは休息期間中も低負荷で運動し続けますので不完全休息になります。完全休息をとるトレーニングは「レペティッショントレーニング(Repetition training)」とよばれインターバルトレーニングと区別されます。筋線維を休ませてより多く働かすためには、インターバルは90秒から3分ほどに設定すると良いとされています。メルマガ006号で紹介したTABATAトレーニングもこのインターバルトレーニングの要素が入っていると考えて良いと思います。 発声トレーニングにこの方法を取り入れれば効果がぐんと上がる可能性が考えられます。想定されるのは声量増加のトレーニングと発声持続時間延長のトレーニングです。方法としては声量増加のために行う負荷ブローイングを高負荷と低負荷を交互に行う方法が考えられます。心拍数を測りながら思いっきり強く、しかも長く負荷ブローイングをします。心拍数が上がったところで口すぼめ呼吸を1分ほど。そしてまた強く負荷ブローイング、の繰り返しでどうでしょうか。心拍数測定はリアルタイムで測ることのできる機器が今は簡単に手に入りますから容易に実施できると思います。Apple WatchでもOKですね。長く吹くことで声量増加と呼気持続の両方のトレーニングを兼ねることになります。問題は呼吸の負荷を繰り返すことでやや危険性が考えられること。具体的には過換気症候群や血圧上昇などを招く可能性があります。また、負荷ブローイングの持続時間の上限をどのぐらいに設定すべきか、心拍数上昇を一つの目安と考えてはいますが、時間としても上限がないと効果が下がってしまう可能性があります。このあたりをうまく解決できれば実現の可能性は高まります。それとこれは呼気のみで発声を鍛えるトレーニングとして想定していますが、実際に発声も一緒に行った方がいいかどうか、ここはよくわかりません。しかし可能性としては非常に有望な方法と考えられます。ぜひ10年後には実用化されスタンダードになっていて欲しいと思っています。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 06,15 15:28 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.010 2015.06.15号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 2015年02月18日放送 NHK ためしてガッテン スタティック(静的)ストレッチには、筋の柔軟性を高めると同時に筋緊張を低下させ筋をリラックスさせる効果があります。従ってこれをやりすぎるとリラックスしすぎて力が入りにくくなる、ということがNHKためしてガッテンで紹介されていました。 もちろん一時的なことですのですぐに回復はしますが、ストレッチ直後にベストな筋力は発揮しにくいというのは本当です。番組ではそれを防ぐために運動の中で筋をストレッチするダイナミックストレッチを薦めていました。他にもスタティックストレッチをして少しインターバルを取る方法、スタティックストレッチをしてからダイナミックストレッチに移る方法、と幾つか工夫がありえます。発声フィジ・エクセでは中心的なテクニックとしてストレッチを用いていますので、この辺りもう少し工夫が必要だろうと考えています。 |
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2015 06,15 15:25 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.010 2015.06.15号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します Haewon Byeon「Relationships Among Smoking, Organic, and Functional Voice Disorders in Korean General Population」 journal of voice Vol 29 Issue 3, 2015,p312-316 喫煙と声の障害の関係を検討するために韓国の成人男性3,422人と女性4,519人に、年齢・性別・教育レベル・職業・収入・飲酒・喫煙歴と発声・喉頭の状態などを調査した研究です。結果、喫煙者には器質性の音声障害が多い傾向がみられたが、機能的音声障害には関連していなかったとのことです。 器質性の音声障害とはポリープとか癌など喉の病気による発声障害で、機能的音声障害とは声の出し方が悪くて起こる発声障害です。喫煙と発声の関係はいまひとつはっきりしていないのですが、少なくとも喉の病気を引き起こしやすくはなりそうです。喫煙者の方、ご注意下さい。 |
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2015 06,15 15:23 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.010 2015.06.15号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 声楽やボーカル指導を受けるとよく喉を開いてとか喉をあけろとか言われます。これはどこをどうしろと言うことでしょうか。 あける場所としては大きく分けて二つあって、ひとつは口腔〜鼻咽腔にかけての空間、口の中とその奥の喉ヒコのあたりの空間です。ここの空間を広げると声帯で出した声がここで反響して増幅されるので、いわゆる深い声とか響く声になります。空間をあけるために動かす主な部分は上あごの後半分にあたる軟口蓋と口蓋垂(喉ヒコ)と舌です。軟口蓋と口蓋垂は上にあげる感じ、舌は平たくして喉の方に下げる感じにします。ただし軟口蓋と口蓋垂は上げ過ぎると閉鼻声という鼻が詰まった感じの声になってしまいますので、適度なところを探す必要があります。口を開けた突き当たりにある咽頭壁も動きますが、ちょっとコツが必要で練習は難しいと思います。首とか喉に力が入らず軟口蓋や舌を動かせるようになれば理想的です。 さてもうひとつのあける場所は喉頭前庭・喉頭腔から中咽頭にかけての空間、つまり声帯の上から舌の根元あたりにかけての空間です。ここの空間を広げると声帯で出した声がそのまま口腔に届くのでよく通る声になります。この喉頭前庭・喉頭腔から中咽頭にかけての空間はあけるためにどこかを動かす必要はありません。ここの空間はもともと何もしない状態で開いているので、余分な力さえ入らなければ通る声になるはずです。しかし声を出すということは声帯に力を入れるということですので、つい発声と一緒に喉頭や口腔の筋肉にも力が入ってしまいます。そうなるとこの空間は狭くなって声は通らなくなってしまいます。できるだけリラックスして目的の筋肉のみに力を入れられるようトレーニングしましょう。 なお頭の位置・首の角度などにより自然に舌や声道の形は変わりますので、それを利用して空間を広くする工夫もありますが、自分でコントロールできたほうがどんな状況でも使えて便利でしょう。喉頭を圧迫するような無理な角度はNGです。 |
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2015 06,15 15:20 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.010 2015.06.15号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 「透明感のある声」という表現が気になります。 声の特徴を現わすのによくこのような「◯◯声」という言い方をしますね。「透明感のある」という言い方の他にも、もっと単純に冷たい声とか、明るい声や暗い声、軽い声や重い声、深い声、などという表現はよく聞きます。もちろん意味がわからないわけではありません。なんとなくイメージはわかります。でもなにしろ声は目に見えないものです。手で触われるわけでもありません。温度もありません。なのになぜ冷たいとか明るいとか軽いとかいう言い方をするのでしょう。あげく「透明感のある声」とは。目に見えない声を見える物のように、しかし実は見えていない「透明」という表現を使って表すというのはなんとも不思議です。気になります。 とりあえず冷たい声って何でしょう?辞書によると声に抑揚がなく、感情がこもっていないさま、ということです。声に抑揚がない=感情に変化がない=冷静=冷たい、というところでしょうか。逆から言うと、冷たい人は感情をあまり変化させず声の抑揚も乏しいので、典型的な冷たい人が出すような抑揚のない声が冷たい声、というような連想になるのでしょう。 そう考えると明るい声や暗い声、軽い声、重い声も合点がいきます。明るい声の定義って特にないようですが、典型的な性格が明るい人がよく出しそうな声が明るい声、ということになりそうです。こういう人はたぶんリラックスしていながらテンションが高いイメージですから、声が高くて声量があり、声道が広くなっているのでよく通る声が出ると思います。このあたりが明るい声じゃないでしょうか。重い声は重い性格というのはないでしょうから重々しい態度の人でしょうか。落ち着いていてテンションは低く抑えられた感じのイメージですから、声は低く抑揚に乏しい声というところでしょうか。その他の暗い声・軽い声なども性格がそのような人がよく出しそうな声ということでよさそうです。 一方、綺麗な声、というのはよく言われますが、こちらは典型的な綺麗な人が出す声が綺麗な声、ではないようです。なぜなら綺麗な人といっても様々で、これといった声のイメージはありません。そもそも容姿と声には関連はないのです。綺麗な声というのは多分、声に気息声といわれるかすれ声の成分や粗ぞう声といわれるガラガラ声の成分などが混じっていない声、要するに余分な雑音の混じっていない声が綺麗な声だと思います。雑音がなくてスッキリ聴こえるので綺麗、というところでしょうか。上が学習によるものなのに比べてこっちは純粋に聴覚的と言えそうですね。 さて、では透明感のある声とは何でしょう? 始めの例で言えば透明感のある人の声、ということになるでしょうが、しかしこの透明感のある人というのがちょっとはっきりしません。恐らくどの色も示していないので透明、ということで、つまりまだ染まっていない=キャラクターが定まっていない未成長な状態、もしくはそのような状態のままで成長した少年少女のような印象の人ということでしょうか。そうなると声は何でしょう? 少年少女のような声とするなら少年少女は喉頭のサイズが小さいので高めの声になります。でも高いだけで透明感があるという感じはしませんね。先程の綺麗な声のように余分な雑音が混じっていない声であると「余分がなくてクリア」というイメージから、透明感がある声と感じるかもしれません。そうなると高めで綺麗な声が透明感のある声なんでしょうか。低いと透明には感じないのでしょうか。声の大きさは関連するでしょうか。 というわけで、まだまだ謎は解けませんが、「透明感のある声」という表現が気になります。 |
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2015 06,15 15:17 |
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声のなんでもQA◆ vol.010 2015.06.15号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】発声フィジ・エクセというのは他の方法と何が違うのか、何が新しいのかわかりません 【A】ごもっともです。実は他の方法と発声フィジ・エクセは根本的に原理から異なっています。 前号のQAでも述べたように、声に問題があってそれを矯正する発声練習はボイスセラピー、普通の声をもっと良くする、いわゆるスーパーノーマルにする発声練習はボイストレーニングといわれます。これらには、あくびーため息法とかh起声とかアクセント法とかリー・シルバーマン法とか、YUBAメソッドとか割り箸発声法とか、ともかく色々な方法があります。色々な方法がありますが、これらはほぼ全て『声の出し方を変える』ことを根本原理に置いています。つまり今まで小股で歩いていたのを大股歩行に変えるように、行動のパターンを変えてしまうのです。新たに学習し直すといった方がいいかもしれません。今まで無意識にしていた行動パターンを、意識して新しい行動パターンに変えるということです。ですからこれらは発声行動変容法といわれます。そのため戻そうとおもえばいつでも元の発声法に戻すことができます。 これに対し発声フィジ・エクセが変えるのは、行動パターンではなく筋肉そのものです。筋構造と神経伝達性などを根本から作り変えることにより発声の問題の原因となっている呼気不足とか喉頭の過緊張などの軽減・解消を図ります。無酸素運動による筋力トレーニングやストレッチを中心的に用いるのは筋構造や神経伝達性などを作り変えるためです。筋肉そのものが変われば発声も変わりますし、意識・無意識は関係ありませんので自覚に乏しい方、高齢の方でも行えます。一度変わってしまえば元に戻ることもありません。ただし相応のトレーニングと期間が必要です。また中途半端なやり方やいい加減なやり方では筋構造を変えるトレーニングにはなりません。 発声行動変容法でも今まで使っていなかった部位を使うことにより、結果的に筋力トレーニングになることはあります。また発声フィジ・エクセにも行動パターンの学習的な側面は入っています。しかし元々の根本原理は全く異なっている、ということは知っておいていただきたいと思います。 ■QAコーナーへのご質問をお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 06,15 15:15 |
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このメルマガも10号となりましたが、次回からQAコーナーと交互掲載の形で「10年後の発声トレーニング」という新連載を始めます。基本はこれからの発声トレーニングはこうあるべきではないか、という提案なのですが、ウェブサイトの「メルマガについて」にも記載されている通り、そもそも発声フィジ・エクセ自体もまだ完成してはおりませんので、この新連載は今後ありうる発声フィジ・エクセのバージョンアップの模索、という意味合いも持っております。といっても具体的なものもあれば夢のようなぼんやりしたものもありますので、形になるのはいつになるか分かりません。しかし10年後にはスタンダードになっていて欲しい、というような願いのような気持ちからタイトルを「10年後の発声トレーニング」としました。この連載を通じて皆さまに現在の問題点と向かうべき方向性をお伝えし、可能であればご意見などお寄せいただければと考えております。ぜひご一読下さい。そのため次回の 「声のなんでもQA」はお休みです。
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2015 06,01 11:05 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.009 2015.06.01号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 木場克己 「『体幹』を鍛えるとなぜいいのか?」 PHP文庫 最近体幹トレーニングが流行っているようです。体幹とは胴体部分のことで、体を支える深層筋と動かす表層筋から成り、そのふたつを鍛えることで、姿勢の改善や腰痛・肩こりの軽減、基礎代謝アップが期待できるとのことです。 体幹トレーニングといっても大抵の本では腹筋トレーニングが盛んに推奨されていて、その点でいえば新しいというよりは再発見という感じですね。この本でもドローインと呼んで腹式呼吸を推奨しているようですが、要は腹式呼吸をしながら日常生活を送ることで腹筋など体幹のトレーニングになるということのようです。腹式呼吸を基礎におくやり方はロングブレスと似ていますね。腹式呼吸の促進は発声にも役立ちますのでやってみるのも良いかもしれません。 |
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2015 06,01 11:03 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.009 2015.06.01号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「How Do Laryngeal and Respiratory Functions Contribute to Differentiate Actors/Actresses and Untrained Voices?」 Suely Master, Marco Guzman, Maria Josefina Azócar, ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 3, 2015, p333-345 20名のプロの俳優と20名の発声トレーニングを受けていない者の喉頭に電気グロトグラフィー等をつけて測定し比較したという研究です。結果、両者では吸気流の持続時間や吸気・呼気流量などの呼吸関連の能力が大きく異なっていたとのことでした。 つまりプロと素人の差の多くは呼吸にあるということです。とすると声を鍛えるなら最初から呼吸筋を主にすればいいということになるのかもしれません。発声フィジ・エクセにとっても重要な知見です。 |
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2015 06,01 10:44 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.009 2015.06.01号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ h起声とはハ行起声とも言い、発声エクセサイズをする際に「あ」「い」「う」「え」「お」ではなく、「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」を用いて発声する練習法です。なにしろ発音を変えるだけですから簡便ですし、それでいて効果が出やすいので発声エクセサイズでは最もよく使われるテクニックのひとつです。声量を上げたい場合、かすれ声や喉詰め声を軽減させたい場合、発声持続時間を伸ばしたい場合などに適応があります。 h起声でなぜ効果があるかというと、例えば「は」と言うためにはまず声帯を開いて息を出さねばなりません。それが声のない息だけの「ハー」という部分になります。その後で声帯を閉じると母音の「あー」になり、先の「ハー」と滑らかに連続することによって「は」の発音になります。ただの「あー」と違うところは先に「ハー」があり、そこから滑らかに母音の「あー」に移っていくので、徐々に声帯を閉じる動きをしていることになります。声量が乏しい方、かすれ声や喉詰め声の方、発声持続時間が短い方はこの徐々に閉じる動きが難しく急に閉じてしまうとか、もしくは喉全体に力が入ってぎゅっと締めて声を出してしまっている場合が多いと思われます。最初に「ハー」ということで喉全体に力が入るのを防ぎ、滑らかに母音の「あー」に移っていくことで声帯が急に閉じることを防ぎます。これがh起声が効果的であることの原理です。 多くの場合はこれともうひとつかふたつ程度のテクニックを併用して練習すると最も効果が上がります。かなり万能な方法ですので声を変えたい場合はまずこれで練習して様子を見てみることをお薦めします。 |
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2015 06,01 10:39 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.009 2015.06.01号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ スポーツ選手の声枯れが気になります。 スポーツ選手って声が枯れている人が多いようなイメージがあります。全てのスポーツに渡ってというわけではないのですが、力士やプロレスラー、柔道の重量クラスの選手のような、持久力よりも瞬発的な筋力を要するような種目の選手に特にハスキーボイスが多いような気がします。どうしてなんでしょうか。 まず声枯れについておさらいしておくと、「声が枯れる」というのは一時的に声がしゃがれることをといいます。これは誰でもが経験することで、ほとんどが風邪の時か、長時間発声した後に起こります。 風邪で声が枯れるのは、ウィルス等により声帯に炎症が起こって声帯粘膜が腫れてしまったか、咳による強い声門閉鎖を繰り返した結果、声帯粘膜が腫れてしまったことが原因です。声帯粘膜は腫れると柔軟性が低下し、声門に隙間ができて声門閉鎖不全になります。どちらも診断名は急性喉頭炎です。 長時間の発声で枯れるのは、喉頭炎が原因のときと、筋疲労が原因のときがあります。喉頭炎の場合は上と同じで声帯が腫れてしまっています。声としては粗ぞう声というガラガラ声になることが多いようです。筋疲労の場合は声帯筋が疲れて動かなくなっているので声帯が充分閉じず気息声というかすれ声になります。回復の仕方も、喉頭炎は腫れが引かないと治らないのである程度の期間が必要です。筋疲労は休息すれば治りますので比較的早期に治ります。 しかしこれらはどの道一時的なものでいずれ元に戻ります。これがずっと続いて起こるのは「コラムその4 ハスキーボイスが気になる」でも書いたように、声帯にタコのような結節やポリープが出来てしまっている場合です。 さてそれでスポーツ選手の声枯れですが、風邪を引いているわけではないでしょう。掛け声は相撲でも柔道でもプロレスでもそこそこは掛けるでしょうが、長時間の発声というほどでもないと思います。声帯粘膜の酷使というほどにはならないのではないでしょか。少なくともカラオケの方がよっぽど声を出していると思います。となるとここにそれほどの原因はみあたらないようです。 調べてみると、実はこれらのスポーツ選手に声枯れが多いのは声帯に脂肪がついているからだそうです。体重により勝敗が左右される競技の選手は体重を増加させるために高カロリーの食事を取るそうですが、体重のコントロールは脂肪がもっとも容易であるので、結局全身に脂肪がつくことになるそうです。それで通常ではあまり脂肪がつかない声帯にも脂肪がつくので、声帯に隙間ができ声枯れのようなハスキーボイスになるというわけです。割とこもった声に聴こえるのも声道に脂肪がついて狭くなっているからですね。 ところで瞬発的な筋力を要するスポーツではよく「えい!」とか「はあっ!」とか掛け声を掛けますね。テニスとか剣道などが代表的なイメージです。これは声帯を締めるという動作(筋収縮)が、スポーツの動作をする際の筋収縮と協調することにより一層の収縮を促し目標筋のパワーを引き出せるからです。奥歯を噛みしめても同じ効果があります。ただしこの掛け声は咳による強い声門閉鎖と似たような原理ですので、喉頭炎の原因にはなりえます。注意が必要ですね。 さてこれで謎はずいぶん解けたようですが、スポーツの中には瞬発的な筋力を要するような種目ながら基本掛け声をあまり描けない種目もあります。サッカーとかはそうですよね。そしてサッカー選手はどう見てもあまり脂肪が多そうにはみえません。にも関わらず声枯れが目立つ方が結構いらっしゃいます。女子サッカー選手などは特にそうです。これはどうしてなんでしょうか。 というわけでまだまだ謎は解けません。 スポーツ選手の声枯れがまだまだ気になります。 |
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2015 06,01 10:35 |
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声のなんでもQA◆ vol.009 2015.06.01号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします
メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆
【Q】発声トレーニングとかボイストレーニングとかボイスセラピーとか、発声練習には色々な呼び方がありますが、それぞれで違いはありますか
【A】わかりにくいですよね。どれも声の練習ではありますが、一応区別はある程度あります。
社会生活上で不利益を被るような声の問題があってそれを矯正する発声練習はボイスセラピーといいます。声がかすれて授業に差し支える学校の先生とか受付の方とかアナウンサーの方とかですね。
一方特に声に問題はないがその普通の声をもっと良くする、いわゆるスーパーノーマルにする発声練習はボイストレーニング、通称ボイトレといいます。歌手や俳優を目指す方が受けるような発声練習です。
これらは似ていますが練習方法は異なります。原因が違うので方法も異なるというわけです。それぞれ別のものといっても良いくらいでしょう。
さて発声フィジ・エクセはというと、実は両者に適応があります。従ってボイスセラピーであり、ボイストレーニングでもあるのです。そこで発声フィジ・エクセで行う発声練習は両者とは異なるという意味を込めて「発声エクセサイズ」と呼称しています。
ただし人によって全く区別していなかったり混同していることもありますので、その辺りはよく注意してご判断ください。
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2015 05,18 09:03 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.008 2015.05.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します web R25「40男は加圧トレーニングでダイエットも効率的に」2015.04.04 加圧トレーニングとは、腕や脚の付け根などに専用のベルトを巻いて血流を制限しながら行うトレーニングのことです。こうすることで軽い負荷運動でも筋は疲労しやすくなり、長く強い負荷をかけ続けたのと同じ効果がみられることになります。 これの良いところは運動時の負荷が軽くてOKというところですね。筋肉を鍛えるには強い負荷をかけたトレーニングを行うことが必要ですが、強い負荷は筋以外にも負担を及ぼして骨を痛めたり腱に炎症を起こしたりというような危険を伴います。軽い負荷ならそれらの危険を避けることができるという訳です。ただ血流を制限するので専門のトレーナーなどに指導を仰ぐ必要があります。自分でやるならこれと類似した方法である「スロトレ」が良いでしょう。004-1で紹介しましたのでご参照下さい。 |
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2015 05,18 09:00 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.008 2015.05.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Teachers' Voice Disorders and Loss of Work Ability: A Case-Control Study」 Susana Pimentel Pinto Giannini, Maria do Rosário Dias de Oliveira Latorre, Frida Marina Fischer, ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 2, 2015, P209–217 ブラジル・サンパウロの耳鼻科で嗄声などで発声に問題ありと診断された教師とそれ以外の教師にアンケートを取って比較したところ、両者では仕事の継続時間に明らかな差があったとの報告です。 学校の先生は仕事上どうしても無理に大きな声を出さねばならなかったりするので、嗄声などの問題が起こってしまうケースがよくあります。続けるとどんどん声が出なくなってしまうので休まざるを得ないのでしょう。放っておくと本人にとっても学校側にとっても損失は大きくなるばかりですので、早めに治療なり発声トレーニングなり受けることが大切でしょう。 |
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2015 05,18 08:58 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.008 2015.05.18号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 発声エクセサイズをする際には必ず姿勢に注意するように言われます。背筋をまっすぐにとか、足を肩幅に開くとか、頭は肩の線に揃えてとか。中には姿勢がちょっとでも崩れると非常に厳しく注意する指導者もいます。足とか背筋とか実際声とどの程度関係あるのか疑問に思われる方もいると思います。 実のところ足幅にしろ背筋にしろその形でなければならない、ということは全くありません。発声時に一番大切なことは喉に余分な力が入っておらずリラックスしていることなのです。 足をどうこう言うのは、例えば足を揃えて立っていたりすると不安定でふらふらしやすい。そうすると立て直そうと思って体に力が入る、自然に喉にも力が入る、だからふらふらしない足幅をとっておこう、というわけです。足を閉じていてもふらふらせず、リラックスして立っていられるならわざわざ肩幅に足を開く必要はありません。頭も背筋も肩も全て同じことです。いわれた姿勢を維持しようとしてガチガチに力を込めてしまったりすると、もうなんのための姿勢だか全く分からなくなってしまいます。あくまでその姿勢をとるとリラックスする人が多い、ということにすぎません。ただし位置的に喉頭を圧迫したり、息を吸いにくい姿勢はお薦めできませんが、それを除けばあまり杓子定規に考えすぎないことです。 ところで声をよくするための工夫として、上体を倒して発声するとか、首を振りながら発声するとか、前屈しながら発声するなどのようなやり方があります。これは固定していると緊張してしまう筋を動かすことでリラックスさせようという意図で行われるものです。動きそのものには大抵それほどの意味はありません。 いずれにしろ訳も分からず言われたから、書いてあるからその通り守るではなく、意味を考えつつ自分にあったやり方を探してみるのがよいでしょう。 |
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2015 05,18 08:55 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.008 2015.05.18号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 声優山寺宏一さんは声優界の第一人者で、その声は七色の声といわれるとか。七色の発声法!これは気になります。 山寺宏一さんといえば「山ちゃん」の愛称で知られ、若者から老人、シリアスからコメディ、二枚目から三枚目、熱血漢でも悪役でもと、実に多くの役の声を演じ分け、人気声優100人が選んだ本当にスゴイ声優ランキングでも第一位になったとか。役でいえば、アンパンマンのめいけんチーズからドナルドダック、エディー・マーフィーからブラッド・ピットまでという幅の広さ。業界では「困った時の山寺宏一」と言われるという話もあるそうです。 さてどうやってそんなに色々な声を出しているんでしょうか。 それについてはご本人が述べていらっしゃいます。山寺さんによると、声のこもりと息、そして高低の割合で出し分けているとのこと。つまり、声のこもり度合いをX軸、息の混じり度合いをY軸、声の高低をZ軸にして三次元グラフを描き、そのどこに位置するかで若者や老人、シリアス、コメディ、二枚目、三枚目などを出し分けているということでした。発声という捉えどころのないものを三次元グラフという数学的発想で視覚化して捉え直しているところがとっても面白く、さすがと思いました。山寺さんは同じ作品の中で何役もされることがあるそうですが、この三次元グラフが頭にあれば、正反対に位置する声などすぐにイメージできて、大変便利なことでしょう。 さて解剖学的に言うと、声がこもるのは口腔から喉頭に至る声道の狭さになります。息が混じるのは声帯の弛緩度合いです。声の高いのも声帯の過緊張度合いで決まりますから、だいたい声道と声帯の緊張・弛緩で声を出し分けていることになります。 山寺さんの理論を色々な役に当てはめて考えてみましょう。例えば高めの声を出すと若者という印象になりますが、これはまだ喉頭が成長途中で成人ほど大きくなっていないので必然的に若者は声が高めになるためです。一方息混じりでこもる感じにすると老人ぽくなりますが、これは声帯にシワが寄ってぴったり閉じなくなり息混じりになるためと、舌や口の筋力が衰え大きく動かなくなって声道が狭くなるためです。声を低めにして息混じりにするとどうでしょうか。どちらも喉頭や声帯の弛緩状態によるものですから、緊張していない=落ち着いて安定している、もしくは動じない人・余裕のある人という感じです。さしずめ二枚目といったところですね。これの息混じりを減らすとやや緊張感が増してシリアスな役どころになりそうです。反対に声を高めに息混じりもなしにすれば喉頭や声帯の緊張状態ということでテンションの高い感じになり、コメディっぽい印象になりますね。あとはそれぞれの人物像にあわせてはきはきしゃべったり、ゆっくりしゃべったり、大きい声でしゃべったりと味付けをするのでしょう。こうしてみると年齢やシリアス・コメディ、二枚目・三枚目など、このグラフで確かに出し分けられそうです。 しかし演じる役柄というのはこれだけでなく、おとなしい人、活発な人、ずる賢い人、のんびりした人などもっと多種多様あり、それらも演じ分けられていることから、実はもっと軸があるのではないでしょうか。抑揚の大小とか発話速度とか発音の正確さとか。これらも加味して考えてみるともっともっと新たな発見がありそうです。 それにしても声優さんというのは面白い仕事だと思います。顔だしの俳優さんは見た目があるので、さすがに全く違う役柄、例えば女性が男性を演じたり子供を演じたりは演出ならともかく、通常は無理があってできない場合が多いと思います。しかし声優さんは声の出し方次第で年齢・性別・国籍・種や生物無生物まで越えて演じられるのです。そう考えるととても幅の広いお仕事です。今、声優は憧れの職業ランキングの上位だそうですが、それもわかる気がします。その第一人者である山寺宏一さんはこれからどんな声を聴かせてくれるのでしょうか。 山寺宏一さんの今後の七色の発声法がとても気になります。 |
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2015 05,18 08:53 |
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声のなんでもQA◆ vol.008 2015.05.18号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】声は指紋と同じようにその人固有のもので変えられないと聞いたことがありますが、声は鍛えられるのでしょうか 【A】確かに声を音響分析をして出たグラフの形はその人固有のもの、ということで指紋に対し「声紋」といわれます。声は喉頭や声道の形や大きさで決まりますが、形や大きさは基本的には変わりません。声の根本は喉頭原音という声帯で発生される生の音です。これが声道を通って反響することで加工され、その人の声になります。この喉頭原音の周波数成分などは基本的特徴は変えることができないのです。その意味で声を全く違うものに変えることはできません。 ただし声でも鍛えられる要素はあります。例えば声量です。声量は主に呼気の量と圧力で決まるので声道の形や大きさの影響を受けません。発声の持続力も同じです。これも声道の形や大きさの影響を受けません。声の中の雑音の入り具合も概ね変えることができます。一方、声の響きや高さは喉頭や声道の形や大きさの影響を受けるので際限なく変えることはできませんが、ある程度なら変えることができます。 声には鍛えられる部分と鍛えるのに限界がある部分、変えられない部分があることを知っておいていただくとよろしいかと思います。 |
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