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2015 12,21 06:02 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.022 2015.12.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Delivery of Intensive Voice Therapy for Vocal Fold Nodules Via Telepractice: A Pilot Feasibility and Efficacy Study 」 Sherry Fu, Deborah G. Theodoros, Elizabeth C. Ward The University of Queensland, School of Health and Rehabilitation Sciences, Brisbane, Queensland, Australia Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p696-706 声帯結節と診断された10名の女性に遠隔テレビシステムを用い、3週間8セッションの音声治療を試みたというパイロット研究。 結果、音響面・結節サイズ・満足度すべてで大幅な改善がみられ、別研究で得られた対面型治療の結果と遜色なかったとのことでした。 音声治療を受けることができる施設は限られています。日本ではなおさらであり、この状況を改善したいというのが、このメルマガのひとつの目的でもあります。 遠隔テレビシステムはその解決のための最も有効な手段であり、今後間違いなく普及に向かっていく思われます。当サイトでも時期は未定ですが、必ず取り入れることになるでしょう。 PR |
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2015 12,21 05:53 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.022 2015.12.21号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 騒がしい場所でしゃべると反射的に声が大きくなってしまいます。 この現象のことをLombard効果といいますが、この現象を利用して声を大きくしようとする発声練習方法があり、これをマスキング法といいます。 マスキング法の一般的な実施方法は,まず40dB程度のホワイトノイズをヘッドホンで両耳に聞かせ、聞こえることを確認し文章等の音読をさせます。 次に90dB程度のノイズをon-offを繰り返しながら聞かせ、声の大きさの変化を確認します。これで声の大きさに増加が認められれば適応ありということで、同じ手順で練習を繰り返します。 実施に際して特に具体的指示や発声の注意点はないため、難しい指示には従いにくい高齢者や、そもそも練習そのものが難しい認知症の方でも実施できる可能性がある方法です。 実施にはノイズの聴取確認と文章音読を要しますが、これらの実施困難が予測される場合には、まず95dBのホワイトノイズをヘッドホンで両耳に聴かせ会話をします。 そこで拒否がなく声の大きさが変化していたなら、ノイズ音量を徐々に減衰させましょう。 95dB時と同じ声の大きさを維持可能なノイズ音量を探し,そこでノイズ音量を固定し、その状態で自由会話を約15分間行い適時ノイズのon-off を実施しましょう。 週2〜3回、1〜2ヶ月ほどでヘッドホンをつかわなくとも普段から大きな声を出せるようになります。 |
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2015 12,21 05:28 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.022 2015.12.21号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ アニメ映画などの声優に有名な俳優さんやお笑いの芸人さんが起用されることがあります。これについて話題先行とか人気取りとか、とかく賛否両論いわれることが多いようです。 素人ですので演技の技術うんぬんはもちろんよくわかりませんが、一観客としての意見を率直に言うと、確かに違和感を感じることも少なくありません。 それがベテランの有名俳優さんであってでもです。どうしてなんでしょう。声優と俳優で何が違うんでしょうか。気になります。 俳優さんへの否定的意見では、「棒読み」「棒演技」という意見が多いように思われます。確かにそう言われるとその辺りが違和感の正体である気がします。 つまり抑揚が乏しく、登場人物の感情があまり伝わってこない気がするのです。 しかし俳優さんは演技のプロです。感情表現など俳優さんにとってはお手の物のはずです。別に声だけで出演しようが演技をすることに変わりはないように思われます。 それなのに専門の声優さんとの間にそれほど大きな隔たりが生まれるのはどうしてでしょう。 演技者の資質でないとすると実写とアニメ、両者の違いのカギは画面ということになります。 画面の差とは?それは情報量です。画面に映し出されているのはどちらも立体視はできない二次元画像です。 そこに差はありません。あとは細かいところまで映しだされているか、単純化して情報量が落とされているか、それだけです。むろん後者がアニメです。 アニメは色とか動きとか形とかの情報量が落とされてできています。情報が落ちている分だけ単純になり分かりやすくなっているといえます。しかし逆にアニメでは細かな違いが表せません。 つまり実写はほんの細かな表情の違いとかしぐさとか、そういった視覚情報と演技者の声とで感情表現がなされます。 それに比較するとアニメは感情表現の視覚情報が実写に比べるとどうしても少なくなっています。これはアニメがアニメである以上あたりまえのことです。 さて、視覚情報が少ないところに俳優さんが実写感覚で声を当てるとどうなるでしょう。情報の総量が足りないことになります。 つまり感情表現が乏しく、「棒読み」に聞こえる、というわけです。 これを解決するためには画面をより実写に近づけて視覚情報を増やすか、演技者が感情表現を大きくつけて情報の総量を増やすか、どちらかしかありません。 プロの声優さんは確かに抑揚を大きくつけて、例えば驚くにもいちいち「ええっ」とか言っているように思われます。 実写では自然な演技ができることが望まれるのでしょうが、情報の足りないアニメでそれをやるともの足りなくなってしまうのでしょう。 ただ最近は声優さんの過剰な演技を嫌う監督さんもいるという話です。おそらく画面の視覚情報に自信があって、情報過多になるのを避けているのでしょう。 画面の質によって演技の量を切り替えることができればベストなのかもしれません。本当に優れた人なら声優・俳優の別なくそこをコントロールできるのでしょうか。 声優さん俳優さんそれぞれの演技の差が気になります。 |
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2015 12,21 05:22 |
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◆声のなんでもQA◆ vol.022 2015.12.21号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】 上級者になると腹式発声をお腹をへこませずにできると聞きましたが、これはどうなっているのでしょうか? 【A】 腹式呼吸は肺の真下にある横隔膜を収縮させて肺を押し上げ容積を縮めることにより息を出す呼吸法です。 従って正式にはこの呼吸法は横隔膜呼吸と言われています。これを使って声を出すと腹式発声になるわけです。 ところが横隔膜を収縮させるといっても普通はどうやっていいか分かりません。 そこで腹式呼吸を分かりやすく習得するために腹筋を使ってお腹をへこませる、という方法を一般的に使います。 腹筋が収縮するとお腹がへこみます。そうなると風船を押した時のようなものですから、どこかに空気が逃げようとします。 その空気が横隔膜を押し、結果、横隔膜が収縮したのと同じように肺を押し上げて容積を縮め息を出すわけです。 従って腹筋の収縮は横隔膜の収縮とイコールではありません。横隔膜が収縮していなくても腹式発声はできる理屈です。 いわば擬似的に横隔膜呼吸をしているといえるでしょう。ですので本当に横隔膜呼吸で発声をするなら腹筋は関係なく、横隔膜だけが上がることになります。 これで声を出せば、お腹をへこませずに腹式発声をしている状態、ということになります。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 12,07 06:25 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.021 2015.12.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Natural Voice Use in Patients With Voice Disorders and Vocally Healthy Speakers Based on 2 Days Voice Accumulator Information From a Database」 Maria Södersten, Gláucia Laís Salomão, Anita McAllister, ほか Division of Speech-Language Pathology, Department of Clinical Science, Intervention and Technology, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p646.e1-646.e9 自然な状況での音声使用の基準とするために、20名の声に問題を持つ患者と10名の健常者の声を2日間モニターし、基本周波数・発声時間・音声の音圧レベル・背景雑音レベルを記録・分析したという研究。 結果、平均F0と声の音圧レベルは実験室のデータよりも高値だったとのこと。やはりこのような自然状況のデータは必要、と著者らは結んでいます。 平均F0と声の音圧レベルが高値ということは、自然な場面では声は高く大きくなりやすいということです。 人工的な環境と差があることは充分ありうることですが、これまでの技術ではデータの集積に制限がありました。 スウェーデンの研究者の報告ですが、モニターされたデータは中央データベースに遠隔アップロードされる仕組みとのこと。 その合計は計682時間分にも及んだそうです。IT機器の進歩でどんどんこのようなことが可能になってくることでしょう。データの集積が楽しみです。 |
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2015 12,07 06:22 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.021 2015.12.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Multidimensional Analysis on the Effect of Vocal Function Exercises on Aged Vocal Fold Atrophy」 Mami Kaneko, Shigeru Hirano, Ichiro Tateya, ほか Department of Otolaryngology - Head and Neck Surgery, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p638-644 声帯萎縮を持つ65〜81歳の16名に発声機能エクセサイズを実施、65〜85歳の6名の過去データと比較したという研究。 結果、声帯そのものには変化はみられなかったものの、声質や最大発声時間および自己評価に改善がみられたとのこと。 著者らは発声の筋機能を改善することで声の改善ができた、と結論づけています。 これは重要な報告です。高齢者では声帯萎縮がどんどん起こってきて声がかすれたり出しにくくなるのです。 声帯萎縮そのものはトレーニングでは変わらないのですが、周囲の筋や呼吸筋を鍛えることで声を変えられることをこの研究では示しています。 発声フィジカル・エクセサイズも基本的に同じ考え方に基づいています。あとはやりやすさの問題でしょう。 |
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2015 12,07 06:20 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.021 2015.12.07号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 舌と声は一見関連なさそうにみえますが、実は舌の状態は声にかなり影響します。 そもそも舌を動かす神経と喉頭周辺の筋肉を動かす神経は解剖学的に非常に密接な関係にあり、舌が過緊張な状態にあると喉頭周辺の筋肉も過緊張になりやすい傾向にあります。 喉頭周辺の筋肉が過緊張になると、喉頭の上下運動などが妨げられますので、声の高さ調節などがやりにくくなることが想定されます。 また喉頭周辺の筋肉が過緊張であると、つられて内喉頭筋にまで過緊張が及ぶことがありえます。そうなるとかすれ声の気息声や喉詰め声の努力声が起こることになります。 さらに舌を動かす筋肉には内舌筋と外舌筋という2つの筋肉があります。 内舌筋は舌の中にあり舌を形作っていますが、外舌筋は舌の根元から下あごにかけて伸びています。つまり外舌筋は喉頭のすぐ上にあるといえるでしょう。 この外舌筋が過緊張であった場合に舌全体の位置が下降してしまうことがあります。下降の方向によって影響は異なりますが、もっともありそうなのは声道を狭窄させることです。 声道が狭窄すると声はこもり、声量も小さくなってしまいます。 また舌全体の下降が喉頭の上下運動を妨げることもあります。その場合はやはり声の高さ調節がやりにくくなります。 さらに舌全体の下降が顕著な場合には喉頭全体を圧迫することもあります。 そうなると発声そのものがやりにくくなり、声量低下や高さ調節困難・努力声など過緊張発声全般の特徴がみられるようになるでしょう。 このように舌の状態は声にかなり影響を及ぼします。そのため声のトレーニングに際しては舌の形や舌の動きのチェックは欠かせない、といえるでしょう。 |
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2015 12,07 06:15 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.021 2015.12.07号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 今を去ること十数年前、当時の私は発声に関する知識も経験も乏しい状態でした。 でもなんとかSさん(仮名)の声を出させたい、なんとかしてSさん(仮名)の喉の力を抜かせたい。ワラをも掴む思いの試行錯誤が始まりました。 まず試したのは指圧法です。喉を指で押し下げると喉の構造上声帯がゆるみます。これは知識の乏しい私にもわかりやすい納得のいく方法でした。 しかし色々何度となくやってみましたが、全く効果はありませんでした。 次の選択肢、咀嚼法では口をもぐもぐさせながら声を出さなばなりません。普通でも慣れないとやりにくそうな方法です。ちょっとやってみましたがSさん(仮名)は喉だけでなく首から口全体に力が入ってしまいました。実施は難しそうでした。これは断念しました。 残るは開口法か舌突出法です。 開口法は口を大きく開けながら声を出させる方法、舌突出法は舌を出して声を出させる方法です。どちらもやり方としては単純な方法です。 仕組みとしては、口をだらんと大きく開けたり、舌をだらんと出したりすれば力が抜けた感じになるので、ついでに繋がっている喉も力が抜ける、というものです。 なんだか嘘っぽい、こんなもので効くのか、と私は半信半疑でした。しかしワラでもなんでもとにかく掴まねばなりません。 まず開口法をやってみました。実施はとても容易でした。なにしろ口を大きく開けさせるだけなのです。 しかし残念ながら特に効果はありませんでした。口を大きく開いても声は相変わらず「あ”っ、あ”・・・」でした。 続けて舌突出法をやってみました。やってみるとまず舌を出し続けることが難しいのでした。Sさん(仮名)は舌は出せます。 しかし声を出そうとすると引っ込んでしまうのです。喉に力が入ると自然に舌にも力が入ってしまうようでした。 そこで舌が引っ込まないよう押さえておくことにしました。舌鉗子というトングのような器具を使って舌をずっと引っ張っておくのです。そして声を出させました。 果たして声が少しだけ出やすくなったような気がしました。私は当面これを続けることにしました。 Sさんはそのうちにこの方法に慣れてきて、舌鉗子を使わなくとも舌を出して声を少しだけ出せるようになりました。 しかしそこからなかなか変わってきません。もうひと押しが足りないのです。 私は医学専門書だけでなく声楽の専門書も探してみることにしました。専門書に声の訓練法は声楽のテクニックを応用している、と書いてあったからです。 ネットで探してみるといろいろ出てきました。といっても精神論とかイメージ重視の発声法では使えません。あまり医学的に根拠のない理論でも困ります。 中でよさそうな一冊の本が目に留まりました。荻野仁志・後野仁彦共著「医師と声楽家が解き明かす発声のメカニズム」(音楽之友社)です。 著者は医師と声楽家のようです。2,400円とちょっと高めでしたが注文してみました。 2〜3日して届いた包みを開けたときは少しがっかりしました。ずいぶん薄い本だったからです。これで2,400円はどうなのか、と。しかしとにかく読んでみました。 すると驚くなかれ、実は内容は良かったのです。本の大半が図版と写真です。発声の仕組みを図版と写真をこれでもかというくらい使って説明してありました。 これだけでも私にはありがたかったのですが、さらにプロの発声と素人の発声の違いをMRIを使って比較してありました。実にわかりやすい本でした。 そしてひときわ目を引いたのは「第5章 喉詰め発声から抜け出す方法」と「第7章 私たちの提案する声の作り方1」でした。 喉詰め発声とは要するに緊張した声です。すなわち度合いは違うがSさん(仮名)のような声です。 喉詰め発声では喉が全体に上にあがります。喉詰めを防ぐには喉を下げて声を出させれば良いのです。 しかし喉を下げて声を出すことは簡単にはできません。普通でも声を出すと喉は少し上にあがってしまうのです。 そこでこの本では口を大きく斜め後方に開け声を出す方法を推奨していました。それで喉が上がらずにすむことをMRI図で示していました。 開口法は開けるだけでしたが、これはそれを少し変えています。いわば開口法のバリエーションといえそうです。 早速Sさん(仮名)に実践してみました。口を大きく開かせ、私が顎を斜め後方に押しながら声を出させてみました。すると声が少し出やすくなったようでした。 もうひと押しです。私はこれにこれまで行ってきた舌突出法を組み合わせてみました。すると劇的なことが起こったのです。 いきなりきれいな「あ~~」という声が出たのです。これまでどんなにやってもほとんどだめだったのに、です。 それは本当に見事な声でした。 その時、私はびっくりしましたが、Sさん(仮名)もびっくりしたようでした。そして嬉しそうに笑ったのです。私がSさんの笑顔をみたのは恥ずかしながらその時が初めてでした。 好々爺のように柔和な顔になったSさんを見て、私は諦めなくて良かった、としみじみ思いました。 そして同時に、この不思議な声というものをもっと知りたい、もっと声のことに詳しくなって声の問題を解決できるようになりたい、そう強く思いました。 これが私が発声研究を始めたきっかけです。もう十数年前のことになります。昨日のことのように想い出されます。 それは今思い返してみても私のエポック・メイキングになった瞬間だったと思います。 |
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2015 12,07 06:09 |
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◆10年後の発声トレーニング◆ vol.021 2015.12.07号より
☆これからの発声トレーニングのあるべき姿について提案します☆ 非常に効果的といわれる運動トレーニングにTABATAトレーニングという方法があります。 立命館大学スポーツ健康科学部長の田畑泉教授考案によるトレーニング法で、全力での運動20秒、休息10秒をワンセットとし、8回繰り返し合計1日4分。週2~3回実施というものです。 これで1時間相当の運動量になるそうです。 等尺性運動に等張性運動を組み合わせて加圧トレーニング条件を作りだし、インターバルトレーニングも組み合わせている効率的な方法です。 これを負荷ブローイングに取り入れれば現状より効率良く呼吸筋の筋力向上ができそうです。 今の負荷ブローイングでは負荷を1秒程度与えるだけですが、できれば5〜8秒間、しかも全力でブローイングさせます。 そして2〜4秒で息を吸い、また全力ブローイング。これを5回繰り返します。瞬発力を出す速筋線維のトレーニングであればこの回数が適当と思われます。 かなり疲れるでしょうが、これができればかなりの効果が期待できると思われます。ただし全力が条件ですので励ましや声かけなどが重要になるでしょう。 これは多少の微調整は必要ですが実現は難しくなさそうです。 現在リニューアル・バージョンアップを進めている新しい発声フィジカル・エクセサイズの応用テクニックのひとつとして位置づけたいと考えています。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 11,16 15:04 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.020 2015.11.16号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Classroom Noise and Teachers' Voice Production」 Leena M. Rantala, Suvi Hakala, Sofia Holmqvist, ほか School of Social Sciences and Humanities, University of Tampere, Finland ほか Journal of Speech, Language, and Hearing Research, Vol 58, 2015, 1397-1406. 32人の女性教師と8人の男性教師を対象に教室のノイズと教師の声の特徴の関係を分析した研究。 結果、教室の騒がしさは教師の声に影響し、教室が騒がしい環境で働く教師は習慣的に大声で話す傾向がみられた、とのことです。 騒がしい環境で声が大きくなるのはロンバール効果といいます。発声フィジ・エクセでもロンバール効果を利用した声量増加法を推奨しています。 ロンバール効果を反復することで無意識に呼吸筋が鍛えられ、普段から声が大きくなる可能性があるからです。この研究結果もそれを支持するものと考えられます。 |
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2015 11,16 05:04 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.020 2015.11.16号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 2015年09月24日(木)放送 NHK きょうの健康 運動で健康「呼吸筋を鍛えよう」 年齢と共に呼吸筋が衰え、呼吸が浅くなったり、少し動いただけで息苦しくなったりする状態を改善する方法として呼吸筋トレーニングが紹介されていました。 呼吸筋を鍛えることで全身に酸素が十分に行き渡り、「集中力が高まる」「疲れにくくなる」「病気を抱えている人は急変が起こりにくくなる」といった効果がある、とのことです。 ちょっと簡単すぎる方法ですが、重力や抵抗を利用しているので、ちゃんと負荷運動になっています。 まずこの辺から始めて、徐々に負荷を大きくしていくというのも入りやすくていいかもしれません。 |
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2015 11,16 04:59 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.020 2015.11.16号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ ウォームアップとは元々は体温を高めることを意味する用語です。筋肉は冷えた状態では本来持っている力を充分発揮できません。 ウォームアップの目的は筋肉を温め、血流量を増やす事です。 適切なウォームアップを行えば、次に続く本番の練習を質の高いものにし、疲労回復を助け、外傷や障害を予防することができます。 ウォームアップは体温を高め筋肉を温めることがひとつの目的ですので、お湯やホットクリームなどを使って身体を直接温めたり、静的ストレッチなどを行ってもウォームアップになります。 これらはパッシブ(消極的)ウォームアップと呼ばれています。 これに対し、アクティブ(積極的)なウォームアップというものもあります。これは軽い運動のことです。 これにより筋肉内の温度が上昇し、パフォーマンスの効率も良くなることが証明されています。 パッシブとアクティブではアクティブなウォームアップの方が効果がありますが、併用することで効果をより高められます。 ストレッチは筋肉を温めるだけでなく、筋肉を伸ばしてリラックスさせ、外傷などを予防する効果があります。 しかし静的ストレッチでは伸ばされた筋肉がリラックスしすぎてしまい、筋力低下を招くという研究結果があります。 そこで現在は、動的ストレッチをウォームアップに取り入れたダイナミックストレッチが推奨されています。 これは軽い運動をしながらストレートをするもので、アクティブウォームアップのひとつに数えられます。 ウォームアップの効果の持続時間は、一般的にはウォームアップ終了後40~50分といわれています。 ただし保温に努めればかなり延長できるともいわれています。効果を高めるには室温にも配慮が必要です。 この他、ウォームアップには、精神的準備や有酸素エネルギーの増加、筋肉痛の軽減などの効果もあります。 |
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2015 11,16 04:55 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.020 2015.11.16号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ いつもこのコラムでは声に関連して筆者が気になったことを書いていますが、今号はキリのいい創刊20号ですので、特別篇ということでちょっと趣向を変えて、なぜ筆者が発声研究を始めたか、という話を書いてみたいと思います。 それは今を去ること十数年前、Sさん(仮名)から始まりました。 Sさん(仮名)は脳梗塞になり私の勤める病院に入院しました。 脳梗塞になったすぐのころは多量のたんが出ることがあります。たんがあまり多いと窒息の危険があります。 窒息は防がねばなりません。 対策として気管切開、つまり喉に穴を開ける方法があります。そして気管カニューレという管を通します。それで呼吸をしやすくするのです。 Sさん(仮名)もたんがかなり多く気管切開をしていました。気管切開をしていると声は出ません。声は息が通って声帯を震わせると出ますが、気管切開の穴は声帯のすぐ下に開けます。 声帯に行く前に息が外へ出てしまうので声は出ないのです。 しかし気管カニューレに栓をして穴をふさぐと声は出ます。気管カニューレには栓を取り付けられるタイプのものがあります。気管切開していてもこれを使えば声が出ます。 ところがSさん(仮名)さんはスピーチカニューレを使っても声がうまく出ませんでした。それで困った主治医が私のところに依頼してきたのです。 どういうことかと私はSさん(仮名)のところに行きました。そして早速気管カニューレにスピーチバルブをとりつけ声を出してもらいました。 「あ”っ、あ”っ、あ”・・・」 声がわずかにしか出ません。しかもしぼり出すようで苦しそう。そしてすぐに血中酸素濃度が下がってきました。呼吸ができていないサインです。急いでスピーチバルブをはずしました。 Sさん(仮名)が脳梗塞を起こした場所は小脳です。小脳は身体を動かすときに各部がスムーズに動くよう調整するところです。 小脳がやられると細かい運動などが特に難しくなります。力加減もうまくいかなくなります。 発声も運動のひとつです。声帯が微妙な隙間を残して閉じ、そこに息が通ると声が出ます。Sさん(仮名)はこの微妙な隙間を残すことができず、声帯を思いっきり閉じてしまうのです。 そこで無理に声を出すとこのようになります。息をすることもできないのです。発声運動の微妙な調節ができないからです。 さてどうするか。 その頃私は声にはあまり詳しくありませんでした。声の問題を扱うチャンスがあまりなかったのです。 病院勤めとしての経験的にはベテランでしたが、このようなケースはみたことがありませんでした。 通常、声帯に過度に力が入って声がうまく出せない場合には軟起声発声という発声法を使います。あくびーため息法などがその代表です。 つまりため息をつくように「はあ~」と声を出すと喉に力が入らないのです。ここから始めて徐々に力を抜いた声の感じを覚えてもらいます。嘘みたいですが結構効果もあるのです。 しかしSさん(仮名)はため息どころか息も吐けません。息を吐こうとするだけで「あ”っ、あ”・・・」となってしまいます。どんなに力を抜いてと言ってもだめなのです。すぐに呼吸困難を起こしてしまいます。 なんとか喉の力が抜けないかと思い、首のストレッチや喉のマッサージなどもしました。しかしさっぱり効果は上がりません。 Sさん(仮名)さんは柔和な顔立ちをしています。うまくいかないたび柔和な顔を曇らせました。小脳の梗塞というのは運動が難しいだけで頭の中ははっきりしているのです。 練習が徒労に終わる日々は続きました。Sさん(仮名)は悲しそうでした。 このまま終わらせるわけにはいきません。悲しそうなSさん(仮名)をそのままにできるでしょうか。私がなんとかしなければ何も変わらないのです。 私はとにかく文献をあさることにしました。本やら資料やらを大量にひっくりかえしました。 その結果、使えそうな方法としては、指圧法、咀嚼法、開口法、舌突出法などがありそうでした。 指圧法は喉を指で押し下げながら声を出させる方法、咀嚼法は口をもぐもぐさせながら声を出させる方法、開口法は口を大きく開けながら声を出させる方法、舌突出法は舌を出して声を出させる方法です。 私は少しがっかりしました。これだけ調べたのにこれという決め手の方法はみつからず、あまり大したことのなさそうな方法しか出てこなかったからです。 しかし私はワラをもつかむ心境です。とにかく片っ端から試してみることにしました。 この後、やはり危惧した通りすんなりとは行かなかったのですが、そこで私は声の不思議を思い知ることになるのです。(続く) |
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2015 11,16 04:51 |
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◆声のなんでもQA◆ vol.020 2015.11.16号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】よく声が通らないといいますが、原因はなんでしょうか? 【A】おおむね「声が通る」とは、騒がしい環境でもその人の声がかき消されず聴こえる、ということを指します。 人間の耳では、二つ以上の音が聴こえる場合、片方の音にもう一方の音がかき消されて聴こえなくなる現象が起こることがあります。これを同時マスキング効果といいます。 同時マスキングが起こる条件にはふたつあり、ひとつは誰にでも想像がつくと思いますが、弱い音波と強い音波が競合したときです。つまり大きい音に小さい音はかき消されるということです。 ふたつめは低い音と高い音が競合した時です。低い音は高い音をかき消しやすい傾向にあります。反対に高い音は低い音を妨害しません。これは周波数マスキングともいわれます。 従ってここからすると「声が通らない」人は、声が小さいか、声が高めということになります。 ということであれば考えられる対策は二つ、ひとつは周囲に負けない大きい声を出せるようになること。単純ですが、呼吸筋を鍛えることで手っ取り早く実現が見込めます。 もうひとつは周囲の音にかき消されないよう低めの声で話すことです。低めの声が出しやすいなら心がけてみましょう。 地声が高く低めの声が出しにくいという人は舌の後半分を喉の方に下げながら声を出す練習をしてみましょう。慣れてくると口腔内の空間が広がって声が響くようになります。 口腔内で共鳴すると普通に話すよりも多くの周波数の音が出ていることになるので低めの声が出ているのと同じような効果があるはずです。 もちろんこれらを組み合わせればもっとも効果的でしょう。ご参考まで。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 11,02 07:34 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.019 2015.11.02より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Voice Disorders in Teachers: Clinical, Videolaryngoscopical, and Vocal Aspects」 Eny Regina Bóia Neves Pereira, Elaine Lara Mendes Tavares, Regina Helena Garcia Martins Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p564-571 90名の教師と90名の一般人に声の症状・労働条件を訊き、ビデオ内視鏡で喉頭状態を調査したという研究。 結果、両群で声の症状の発生率に大きな差はなかったが、教師では欠勤が多かったとのことでした。 学校の先生はしゃべるお仕事ですから、声が充分出なければ仕事にならないのは当然です。 出勤すれば無理にでも声を使ってしまうので、欠勤せざるをえないというのは本当に辛いですね。 大切なお休みをこんなことで費やしてしまわないためにも、声が悪くならないような予防策の啓発と普及が特に学校の先生には不可欠でしょう。 |
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2015 11,02 07:31 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.019 2015.11.02号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Voice Problems in New Zealand Teachers: A National Survey」 Sylvia H. de S. Leão, Jennifer M. Oates, Suzanne C. Purdy, ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p645.e1–645.e13 ニュージーランドの教師1,879名に声の症状の有無や対応法などを調査したところ、33.2%が声の問題を経験しており、うち30%が回復に1週間以上要し、約28%が3日以上休んでいたとのこと。 特に女性は回復に時間を要し、より多くの休みを取っていたそうです。しかしその中で声の相談に訪れた者は22.5%に過ぎなかたようです。 こちらはニュージーランドの教師で調査した研究です。やはり多くの休みをとっていますが、特に女性に多く、しかも長引いているとのこと。 専門機関にも5人にひとり程度しかかかっておらず、声の健康対策はまだまだのようです。 どんな職業でも健康維持はとても大切なことですが、教師などの専門職ではなおさらです。職業病などと言って片付けず、国を挙げての対策が必要でしょう。 |
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2015 11,02 07:28 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.019 2015.11.02号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ かすれ声の気息声を改善させるためによく使われる方法のひとつに高い声で発声練習する、というものがあります。 また、ハスキーボイスの人で、地声はかすれてハスキーなのに、高い音はクリアな声が出ていることがしばしばあります。 高い声が出る仕組みは、ひとつには輪状甲状筋が収縮することによって声帯が引っ張られ前後径が伸びるため、もうひとつは外側輪状被裂筋が収縮することによって声帯が薄くなるためです。 輪ゴムを張って弾くと音がでますが、伸ばしてピンと張れば張るほど音が高くなります。輪状甲状筋の収縮は輪ゴムをピンと張っているのと同じ仕組みに当たります。 また、使う輪ゴムが太いものと細いものでは細いほうが高い音が出ます。外側輪状被裂筋の収縮は輪ゴムを細くしていると思っていただけると良いと思います。 さて、気息声は声門閉鎖不全により生じます。 左右の声帯の隙間が広すぎる場合には効果はありませんが、隙間が少しだけであれば輪状甲状筋を収縮させ声帯をピンと張ることで隙間を埋めることができる可能性がでてきます。 なぜなら通常の声を出す際の声帯は通常は緩んだゴムのようになっていますので、隙間が生じやすいのですが、ピンと張れば隙間が埋まりやすくなるからです。 従って気息声を改善させるためには、輪状甲状筋の収縮がひとつのポイントになります。 しかしこれだけでは充分声帯を伸ばせない場合ももちろんあります。輪状甲状筋の収縮には限りがあるからです。 その場合は喉頭を全体に上に挙げるという方法があります。喉仏が上に挙げる感じですね。 声帯の根元が固定されていて先端が上がれば声帯は全体に伸ばされることになります。顎を上げて上を向いても同じような効果があります。 高音発声が気息声やハスキーボイスを改善させるのはこにような仕組みによります。 |
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2015 11,02 07:25 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.019 2015.11.02号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 映画「櫻の園」のストレッチが気になります。 「櫻の園」という映画をご存知でしょうか。 もう25年も前の1990年に公開された邦画ですが、女子校の演劇部を舞台にチェーホフの戯曲「櫻の園」の上演に取り組む高校生の人間模様を描いて多数の映画賞も取った名作です。 劇中で演劇部員たちは上演前に揃って屋上に行き、ストレッチをしながら発声練習をするのですが、そのシーンが非常に躍動的でなぜだか今でも鮮明に印象に残っています。 もちろん映画の演出上でも、上演中止か上演か職員会議で揺れている中、上演を信じて準備を怠らない部員たちを見せている実は重要なシーンなのですが、気になったのはストレッチ内容です。 映画ではずいぶん色々なストレッチをしていました。発声のストレッチってこんな風にするものなのでしょうか。 よくなされるストレッチとはどんなものでしょうか。気になります。 まずストレッチをするなら、発声が喉頭筋と呼吸筋によってなされることから考えて、このふたつを対象とするのが妥当でしょう。 上下を向く首の運動は喉頭筋の舌骨上筋・舌骨下筋のストレッチになります。これをすると声の高低が出しやすくなるでしょう。 首の回転も同じような効果があると思われます。左右に首を回す運動は胸鎖乳突筋に主に効くストレッチですから喉頭というよりは呼吸の補助に役立つ感じです。 両腕の上げ下げや腕を左右に大きく振って体幹をねじる運動は呼吸筋である肋間筋のストレッチになります。大きな声や長い声を出す準備になるでしょう。 上体の前屈・後屈運動はちょっと微妙ですが呼吸筋である腹直筋のストレッチになっているかもしれません。 ちょっと考えて主なものはこんなところですが、映画では跳躍とか動きながらの発声とかもっと色々な複雑なことをやっていました。 正直、それらはどのような目的でなされていたのかわかりません。構成からして全くのフィクションとは考えられず、何らかの出典があると思われます。 発声のためだけでなく、演技しやすくするために全身を伸ばしていたとも考えられます。 発声に姿勢は大きく影響しますので、ひょっとすると無理のない姿勢をとるために全身をほぐしていたということかもしれません。 それとも実は知られざる効果が他にあるのでしょうか。映画であったあの躍動的で複雑なストレッチはそれぞれに深い目的があるのでしょうか。 映画「櫻の園」での複雑なストレッチの意味が気になります。 |
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2015 11,02 07:21 |
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◆発声フィジ・エクセ事例紹介◆ vol.019 2015.11.02号より
☆発声フィジ・エクセの実施事例をご紹介します☆ 【ケース01】 脳梗塞後2年、著明な過緊張発声の70代男性 70代男性。2年前脳幹梗塞(ワレンベルグ症候群)。 気息声と粗ぞう声が著明で、声は非常に高く翻転もしばしばあり。 発声時には喉頭挙上がみられ過緊張傾向が著明。発声持続は3秒程度。声量はやや乏しい程度。呼吸・発音問題なし。 喉頭の過緊張軽減を目的に、頭部の回旋ストレッチと喉頭下部側方ストレッチ・喉頭周辺部ストレッチ・舌ストレッチと喉頭マッサージ+喉頭下制発声+h起声母音練習で週5回+自主トレーニング1日3回で実施。 開始1週間後頃より、時折練習中に母音で低い地声発声が出現。練習中、気息声・粗ぞう声軽減。 開始2週間後頃より、少し練習すると母音で低い地声発声可。普段でも気息声・粗ぞう声軽減。重母音・長母音練習追加。 開始3週間後頃より、普段でも低い地声発声が聴かれるようになる。粗ぞう声は目立たなくなる。気息声は日によって差あり。h起声練習カット、単語練習追加。 開始4週間後頃より、短文練習追加。時と場合によって差あり安定しないものの、気息声のない低い地声発声が比較的可能となりトレーニングは終了となった。 コメント:ご本人によると以前はむしろ低い声だったとのこと。はっきりはしませんが脳幹梗塞で過緊張発声になった可能性が考えられました。 とすると2年も経過しており固定化してずいぶん経つことになるため改善には困難が伴うことが予測されましたが、発声トレーニングは未経験とのことでしたのでやってみました。 プログラムはかなり重点化し、自主トレーニングも相当やっていただきました。幸いご本人はとても熱心で自主トレーニングにもしっかり取り組まれていました。 経過が長いため安定発声には至りませんでしたが、約1ヶ月でかなり改善し終了しました。 |
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2015 10,19 02:54 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.018 2015.10.19号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Multidimensional Voice Data on Participants With Perceptually Normal Voices From Ages 60 to 80: A Preliminary Acoustic Reference for the Elderly Population」 Natalie Schaeffer, Melissa Knudsen, Ashley Small Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p631-637 60〜80歳台50名の音声をKayPENTAXで多次元的に分析、20〜30歳台の50名の声と比較したという研究。 結果、平均的揺らぎ、シマー、ノイズ/倍音比が高齢群では有意に高かったとのこと。これらは今後高齢者の基準データに使えるだろうと著者らは結んでいます。 要するに高齢者ではかすれ声やガラガラ声が多かったということです。老化のため声帯にシワが寄ったり萎縮が生じたりするのでこのような声になるのは必然です。 ただ高齢者の場合、標準よりもかすれ声やガラガラ声がひどいかどうかは確かに知りたいところですが、個人差はどうなんでしょうか。 その声は標準でも現実的に支障があればやはり問題と判断せざるを得ないのではないかと思うのですがどうでしょうか。 |
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2015 10,19 02:52 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.018 2015.10.19号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Temporal Variables in Voice Therapy」 Marc De Bodt, Tine Patteeuw, Athenais Versele Journal of Voice Vol 29, Issue 5, 2015, p611-617 93のPubMed文献から音声治療のデータを抽出、分析したという研究。 結果、北アメリカではセッション平均が12.52回で、対面時間が12.15時間、平均7.62週であったのに対し、ヨーロッパではセッション平均10.99回、対面時間が7.68時間、平均10.12週だった、とのこと。 北アメリカの方が頻回で期間が短いのは習慣や健康保険のルール、患者のコンプライアンスなどの要因が考えられるのではないかと結ばれています。 米国では健康保険がおよそ8週で打ち切られてしまうので、この期間内で終了するようプログラムが作られているというのはよく言われる話です。 これはそれを如実に表しているデータですね。早く終わった方が良さそうにも思えますが、定着率は大丈夫なんでしょうか。 急いだ分だけ再発してしまいやすくないか、そこはちょっと気になります。 |
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2015 10,19 02:49 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.018 2015.10.19号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 裏声とファルセット、これは同じものでしょうか、違うものでしょうか。 実は同じでもあり違うものでもあります。 曖昧ですね。これは定義が定まっていないためです。よく使われる割に人によって意味が違っています。 地声から順々に声を高くしていくと急に声がオクターブ高くなって息漏れの多い細い声になるポイントがあります。 ここから先の声が裏声と呼ばれるもので、これはおそらくこの定義で問題ないと思われます。急に声がオクターブ高くなるので「声が裏返る」と言ったりします。 専門用語では「翻転」といいます。 この裏声は仮声とも言われることがあるので、声帯のすぐ上にある仮声帯で出していると思っている人がいるようですが、これははっきり間違っています。 健康な人は仮声帯で声を出すことはできません。では裏声はどうやって出しているのか。 喉頭ファイバーで見ればすぐに分かります。地声は左右の声帯を閉じて息で振動させて出しています。唇を震わせて出すリップロールに似ています。 それに対し裏声では左右の声帯は閉じず全く接触しません。そこに強い息を通して粘膜を振動させて音を出しています。口笛的な感じでしょうか。両者は全く別の発声法です。 裏声を男性特有のものと思っている人もいますが、上に書いたように声帯を閉じず粘膜を振動させて出す発声法ですので、男性にしかできないということは全くありません。 女性でも普通に出すことができます。 一方ファルセットは、裏声と同じ意味で使う人もいますが、裏声はファルセットと解説第16回で述べたヘッドボイスに分かれるという人、ミックスボイス・ヘッドボイス・ファルセットの三段階に分かれるという人、 さらには、高いほうをヘッドボイス、低いほうをファルセットと呼ぶ人、反対に高いほうをファルセット、低いほうをヘッドボイスと呼ぶ人など、もう全くバラバラと言っていい状況です。 裏声とファルセットは同じとも違うとも言いようがないというのが分かっていただけたでしょうか。 ただし日本語でいう「裏声」は普通の話し声についても使うのに対し、ファルセットは歌唱用語なので歌うときにのみ使います。ここだけははっきり違うといえるところです。 |
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2015 10,19 02:47 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.018 2015.10.19号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 森山直太朗さんのカラオケ上達方法が気になります。 少し前になりますが、歌手の森山直太朗さんが何かの番組で、だれでもすぐできる歌の上達法という話をされていました。 それは3つの方法からなるそうですが、これをカラオケなどで歌を歌う直前にやっておけば歌が下手な人でも上手に聞こえる、というんですね。これは気になります。 その方法ですが、まず第一にすることは、歌う前に歌詞を棒読みする、だそうです。つまりなんとかかんとか・・・とぶつぶつ口に出して読んでおくんですね。 第二に、自分が筒になったイメージで響かせるつもりで歌詞を読む、だそうです。この時の声の大きさは普通に喋るときの大きさが良いそうです。 最後は、歌う前にミッキーマウスのマネをする、のだそうです。ミッキーですからあの独特の高い声ですね。 裏声で「やあミッキーだよ」とでも言えばOKです。最近のキャラで言えばふなっしーでもいいみたいです。 やってみました。確かにいい感じです。そしてこれを解釈して一言で言うと、要するに歌う前には準備運動をしましょうということですね。 第一の棒読みは口の運動です。いきなり歌うと舌がもつれたりしてつっかえやすくなります。緊張して声も硬くなります。 軽く運動をすればそこを防げます。声に出すので軽い発声練習も兼ねています。 第二の響かせる読みはイメージで声道を広げ共鳴を良くして声を綺麗に聴かせようということです。 歌でやらずに歌詞を読んでやらせることによりハードルを下げています。「筒になったつもり」とは面白いイメージです。 そして第三のミッキーのマネは声帯のストレッチです。 運動の前に筋肉のストレッチをしておけば軟らかく動きやすくなり、コントロールもしやすくなるのはよく知られていますが、実は声帯も筋肉運動なので同じことです。 これも「ミッキーのマネ」というイメージを入れることでより分かりやすくしています。これをすれば高音域が出しやすくなることでしょう。 こうしてみると森山さんの上達法はとてもとっつきやすく、だれにでもイメージしやすいように工夫されていることが分かります。 さすがと思います。発声フィジ・エクセでもウォームアップを重視しているわけですが、より効果を上げるためにイメージを利用することはとても有効なのではないかと考えています。 どんなイメージが良いのかは検討中です。森山さんの上達法にも、もっともっと他にもイメージがあるかもしれません。 森山さんの歌の上達方法が気になります。 |
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2015 10,19 02:43 |
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◆10年後の発声トレーニング◆ vol.018 2015.10.19号より
☆これからの発声トレーニングのあるべき姿について提案します☆ 近年運動科学の領域ではイメージトレーニングの重要性が強く言われるようになってきています。 つまり自分が最も理想的に身体をコントロールしている状態をイメージでき、ベストパフォーマンスイメージをいつでも想起できてこそ、それを確実に実現できるのであって、 ベストパフォーマンスを明確にイメージできないアスリートがその状態を再現できる率は明らかに低いそうです。 究極的には実際に運動しなくてもイメージ練習をするだけで充分トレーニングになるのだそうです。 これは発声トレーニングでも同じと考えられます。 ベストな発声を行っている時の喉頭や呼吸筋・姿勢の身体イメージをしっかり持てていれば、あとは実際に発声するかしないかだけになります。 問題はそのイメージをどうやって確立するかですが、いずれパーソナルなIT機器がその補助として使えるようになるのではないでしょうか。 今でもスマートウォッチは心拍数などを計測できます。これに呼吸数とか血圧とか色々なバイタルサインと重心バランスが合わせて計測できるようになれば、 ベストな発声時のデータを記録しておいて、それに合わせるようにアドバイスしてくれるスマホアプリが作れそうです。 これは今の技術でも可能ですので、対応するガジェットさえ用意されれば実現の見込みは充分あると思われます。おそらく数年以内に実現環境は整うことでしょう。 |
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2015 10,05 06:28 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.017 2015.10.05号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します NHK Eテレ きょうの健康 筋肉を強くしよう「筋肉増強栄養学」 2015年09月02日放送 筋肉を増やすには通常の必要量よりも1.2~1.5倍ほど多くのタンパク質をとる必要があり、 炭水化物中心の食事になってしまっている高齢者や、過度の食事制限をしている女性ではタンパク質が不足して筋肉は一層減少してしまいがちとのこと。 健康を保つには、メニューを工夫して、積極的にタンパク質やビタミンDを摂取し筋肉をつけるようにすると良いとのことです。 筋肉は落ちるとまたつけるのに時間がかかりますし、そもそも筋肉の材料が足りなければつくものもつきません。 近年は闇雲な食事制限よりも炭水化物の摂取を控えてタンパク質等は減らさない糖質制限ダイエットやローカーボ食が広まってきています。 タンパク質は通常より多く摂らないと筋肉はついてこないことをしっかり覚えておきましょう。 |
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