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2015 10,05 06:25 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.017 2015.10.05号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Effects of Age, Sex, and Body Position on Orofacial Muscle Tone in Healthy Adults」 Angela M. Dietsch, Heather M. Clark, Jessica N. Steiner ほか Journal of Speech, Language, and Hearing Research Vol. 58 August, 2015, p1145-1150 40名の健康な成人の頬・咬筋・舌・頭部などの軟部組織の硬度を測定したという研究。結果、軟部組織の硬度は部位によって異なり一貫性はなかったとのこと。 しかし一方高齢者では全体に硬い傾向がみられ、今後のデータ集積が大切と著者らは述べています。 顔面の筋緊張の異常の識別を容易にするため軟部組織の硬度を調べたというちょっと珍しい研究です。 身体のポジションによって硬さが変わらないかも調べていますが、はっきりした傾向はなかったようで残念でした。 能力との相関などが出れば役立つことも多いでしょう。今後が期待されます。 PR |
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2015 10,05 06:22 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.017 2015.10.05号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 発声練習の際、手始めに使われる音というとたいていの場合は母音です。どのボイストレーニングの本をみてもおよそ共通していますし、実際やりやすいものです。 発声練習でまず母音を使うのは、母音が発音の基本だから、という説明がよくされています。それは間違いありませんが、もう少し機能的な理由もあります。 母音とは、ことばを発音するときの音声の種類のひとつで、声帯のふるえを伴う有声音であり、かつある程度の時間、声を保持する持続音のことです。 そして舌・歯・唇または声門で息の通り道を、完全にも部分的にも瞬間的にも閉鎖せず、また息の通り道を狭くすることによる息の摩擦音を伴うこともない、というもののことです。 一方子音とは、舌・歯・唇または声門で息の通り道を、完全にまたは部分的に、かつ瞬間的に閉鎖して出す発音です。 従って子音の方が多くの部位を動かして複雑な動作をしており、母音の方は比較すると動かす部位も範囲も少なく動作も単純です。 動かす部位が多く複雑だとそれだけ脳の活動も複雑になりますので、子音の発声をしようとすると、ついつられて喉頭あたりの筋肉も一緒に活動させてしまうという脳の指令の混乱が起こります。 このような理由で子音の発声時には喉頭に余分な力が入ってしまうという現象が起こりやすくなります。 一方、母音であれば動きが単純なのでそのような混乱が起こりにくく喉頭に余分な力が入ることも少ない、というわけです。 ですので出だしの発声練習には母音が使いやすいのです。 さらに、日本語の母音というと「あ」「い」「う」「え」「お」ですが、実は母音の中でも発声が容易なものとそうでないものがあります。 母音のうち、舌の盛り上がりの位置が舌の前であるものを前舌母音、後であるものを後舌母音、その中間であるものを中舌母音と呼びます。 また母音発音時の舌の位置を高低で4つに分類し、最も高いものから狭母音・半狭母音・半広母音・広母音と呼びます。 舌のどの部分を盛り上げるにしても、もしくは口を開けるにしても、大きな範囲を動かしその位置を保持するのにはそれだけ力を使います。 力を使うとつられて喉頭に力が入りやすくなる理屈は子音と同じです。一番余分な力が入らないのはどちらにも寄らない中間位です。 というわけで比較的舌や顎を動かさず中間的な位置の母音というと半広母音の「え」もしくは「お」になります。 これが最も余分な力が入りにくい母音です。まず発声練習を始めるなら「え」または「お」からでしょう。 続けて「あ」「う」「い」ということになりますが、このあたりは人によって個人差がありそうです。 |
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2015 10,05 06:18 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.017 2015.10.05号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 男の声と女の声の違いが気になります。 男性の声と女性の声って違って聴こえますよね。声の高さが違うからそりゃ当然でしょうといわれればその通りです。 でも高い声の男性と低い声の女性だったらどうでしょう?同じ文章を読んだとしてどのように聴こえるでしょうか。 実はほとんどの人が男性の声・女性の声と聴きわけることができるのだそうです。男性の声と女性の声ってなにが違うんでしょうか。気になります。 そもそも男女で喉頭のサイズは異なりますが、話しているときの声の高さを平均基本周波数で比較すると、男性が130Hz、女性が190Hzです。 はっきり言って大した差ではありません。なにしろその差は約半オクターブでしかありません。では声の違いはどこで生じるのでしょう? 実は喉頭の位置が違います。比較すると男性は声帯の位置が女性よりも低く、そのため声道が女性よりも長くなっています。 比率にして女性の約1.2倍です。声は楽器と同じで、音の通り道が短ければ短いほど高い音、長ければ長いほど低い音が出ます。 楽器でもそうですね。短めのピッコロとかフルートは高い音が出ます。対して長めのクラリネットやオーボエは低めの音が出ます。 つまり声帯で出る喉頭原音の高さに差がさほどないにもかかわらず、男性の声が女性の声に聞こえないのは、基本周波数ではなく、その音の響き方によるということになります。 さらに男性と女性では、会話で出す音の高さの範囲にも違いがあるといわれています。 会話時に男性が出す音の高さが60~260Hzであるのに対し、女性が出す音の高さは120~520Hzなのだそうです。 つまり男性では低い声と高い声の差が200Hzなのに対して、女性の場合の差は400Hzと、男性の倍の範囲の声を出していることになります。 要するに男性と女性を比較すると、女性は会話の抑揚やイントネーションがとても大きく、男性は抑揚が少なくて一定に近いということなのです。前途した高い声の男性と低い声の女性が聴き分けられるポイントはここにあると思われます。 従ってもし高い声の男性が大きく抑揚をつけて喋ったら女性と区別がつかなくなるかもしれません。 声の低い女性は抑揚を大きくつけて喋れば男性に間違われてしまって気分悪い、ということも減るのではないでしょうか。 女性声優で声の高い男性の声を当てるなら抑揚を乏しくするとそれらしくなると思われます。 ところで生物学的に言うと、雌雄で声が違う生物はそれほどありません。進化的にヒトに近いサル類でも哺乳類でもヒトのように明確に異なるものはなかなかありません。 どこにメリットがあったのでしょうか。男女の声の聴き分けが原始の生活で重要だったのでしょうか。 男の声と女の声の違いがまだまだ気になります。 |
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2015 10,05 06:13 |
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◆声のなんでもQA◆ vol.017 2015.10.05号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】声が疲れたときにはどうしたらいいのでしょうか 【A】声はちょっと続けて使うと結構疲れてしまいますよね。 疲れたら休む、は基本ですが、その際ちょっとしたケアも行っておくと良いでしょう。 第一は水分摂取です。声は声帯粘膜の振動で出るわけですが、粘膜は常に湿潤していないといけません。 声を続けて使うと呼吸も頻繁になり外気の出入りで粘膜は乾燥がちになってしまいます。水分を取って粘膜を湿らせておきましょう。クールダウンにもなります。 第二は安静です。声帯をぶつけるような強い発声をする傾向のある方であれば声帯が腫れている可能性もありますのでなおさらです。 安静にして声をあまり出さないだけでなく、咳払いやささやき声も控えましょう。 ささやき声のときは声としては出ていませんが、実は声帯には力が入っています。ささやき声は安静状態にはならないことを知っておきましょう。 第三に喫煙・飲酒を控えましょう。喫煙は粘膜に炎症や浮腫を生じさせます。疲れて一服したいかもしれませんが、疲労回復には繋がりません。 飲酒は血行は良くなりますが、充血を引き起こしたりすることがあります。 何より酩酊状態になると声を大事にしようとする気持ちがどこかに行ってしまって、また大声をだしたり使いすぎたりしてしまいます。 声が回復するまで喫煙・飲酒は止めておきましょう。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 09,21 05:58 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.016 2015.09.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します NHK Eテレ きょうの健康 筋肉を強くしよう「筋肉って何?」 2015年08月31日放送 先日NHKの「きょうの健康」で筋肉についての最新知識の特集がありました。 重要な番組のポイントは、1)筋肉量は齢と共に減り70歳代では20歳代の4割程度に減少、 2)30~50歳代頃にあまり運動しないと筋肉が急激に減少、 3)高齢者では筋肉の量が多いほど長生きで生存率に3倍程度の開き、4)運動や適切な食事で生存率を伸ばせる、というところです。 筋肉は20歳代から減っていきます。気がつきにくいのですが、声も何もしなければ衰えていきます。 30~50歳代頃にトレーニングしておけば、声も保てますし、長生きもできて一石二鳥ではないでしょか。 |
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2015 09,21 05:54 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.016 2015.09.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ NHK Eテレ きょうの健康 筋肉を強くしよう「サルコペニアを防ぐ」 2015年09月01日放送 トピックス016-1の続きです。最近健康関連でサルコペニアという言葉がよく使われるようになりました。サルコペニアとは加齢や生活習慣によって、筋肉が急激に減ってしまう状態です。 番組のポイントは、1)サルコペニアになると転倒・骨折しやすく死亡率も上昇、2)若い人にもサルコペニア予備群がいる、 3)サルコペニア予備群は、やせている75歳以上の高齢者・メタボで脚が細い人・若い女性、 4)サルコペニアのチェックは、横断歩道を渡りきれるか、手すりにつかまらず階段を上がれるか、ペットボトルのキャップを開けられるか、です。 若い女性はダイエットをしていたりして筋肉が少なく、将来サルコペニアになりやすいのだそうです。 運動に縁遠いメタボ傾向の中年男性も同様。発声トレーニングを行っておけば長生きもできて一石二鳥です。 |
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2015 09,21 05:51 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.016 2015.09.21号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 発声関係の文献を調べているとよくチェストボイスとかヘッドボイスという言葉を目にしますね。 チェストボイス(胸声)とは、音色的に倍音が豊富で、太いといわれることが多いような発声です。したがって低い音域のほうが充実した声となります。 体感的に「胸に響く」様に感じられることからそう呼ばれます。発声機構としては声帯全体が振動します。声帯伸展はあまり起こらないため高音発声にはあまり適しません。 一方、ヘッドボイス(頭声)とは、起声がしっかりしていて、低次倍音が多く明瞭で息漏れが少なく大音量が出せる、などの特徴を持つ発声です。 体感的に「胸に響く」様に感じられることからそう呼ばれます。ファルセットと似ていますが、ファルセットは息漏れが多く、起声が曖昧なところが異なります。 さらにヘッドボイスとファルセットは仕組みも全く違っていて、ヘッドボイスは声帯の1/4程度が閉鎖し振動して音が鳴るのに対し、ファルセットは声帯は閉鎖せず開いたままで振動だけして音が鳴ります。 なお、頭に響く声が全て頭声というわけではありませんので念のため。通常の発声と何が違うのかというと、チェストボイスもヘッドボイスも通常の発声よりも倍音が多い発声法になっています。 音響的に倍音が多いことで豊かで深く響く声に聴こえます。体感的に頭とか胸に響くように感じられるのはそのためです。 倍音が多いのは声帯が弛緩して厚くなっているためです。他に被裂軟骨が前方へ動き声帯を短くして声帯を厚くしている場合もあるようです。豊かで深く響く声にするためには声帯のリラックスが不可欠であることがよくわかります。 |
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2015 09,21 05:48 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.016 2015.09.21号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ コロッケさんの発声法が気になります。 タレントのコロッケさんといえばものまねタレントの代表格のおひとり。その芸はますます磨きがかかり、その暴走気味なところも含めて近年は独自の世界を築いていらっしゃいます。 でもものまねって仕草とか表情とかしゃべり癖とか似せるポイントはいろいろあるでしょうが、まずは声ですよね。声が似ていないとそもそも似てる感じがしません。 ではコロッケさんやものまねタレントの方々ってどうやって声を似せているんでしょうか。その発声法、気になります。 これについてはコロッケさんご本人がテレビ番組の中でおっしゃっていました。 コロッケさんは、まず自分の顔を中心に置いて、その人が自分の顔より下で声を出しているか上で出しているか考え、次に下でも前に押して声を出しているか後ろに引いて出しているかを考えて声を出す、のだそうです。 ちなみに下で前に押して出すと美川憲一さんになり、下で後ろに引くとピーターさんになるのだそうです。なかなか独創的です。でもとても面白い表現とおもいました。 コロッケさんが例として出された声を聴く限りでは、顔の下か上かというのは声が高い低いというだけでなく、おそらくチェストボイス(胸声)・ヘッドボイス(頭声)を指していると思われます。 今号(vol.016)のワンポイント解説でも書きましたが、チェストボイスは太くてよく響く声、ヘッドボイスは高くてもファルセットのように息漏れせず明瞭で響く声です。 頭に響く感覚・胸に響く感覚があるので顔の上か下かという表現は納得できるところです。 そして前に押す声とは、聴くところ民謡とか演歌のような声帯を締める発声法です。 声帯は締めますが、喉頭から咽頭の空間はむしろ広げているのでよく共鳴し苦しい声にはなりません。 反対に後ろに引く声とは、声帯は締めず喉頭の空間全体を広げて出す西洋風の発声法です。声帯を締めているので押す、声帯を広げているので引く、というイメージを持たれたのでしょう。 コロッケさんは、ものまねの練習をする際には鏡も見ないしビデオ撮りもしないで、全て自分のイメージだけで作り上げていくそうです。 イメージだけなのでどんどん暴走していってしまうそうですが、そのぐらいイメージングが豊かだからこそ、声の出し方も独特のイメージで捉えて創り上げることができたのではないでしょうか。 さらには10mぐらい先に向かってトンと落とすような声とか、もっと複雑なイメージもあるそうです。どうももっともっとありそうです。 コロッケさんの豊富なイメージによる発声法が気になります。 |
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2015 09,21 05:39 |
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◆10年後の発声トレーニング◆ vol.016 2015.09.21号より
☆これからの発声トレーニングのあるべき姿について提案します☆ 【提案3】 ペア発声トレーニング トピックスvol.003-1で紹介しましたが、独立行政法人 情報通信研究機構によれば、初心者がペアになって運動を触覚で感じつつ練習すると、一人よりも効果的に運動学習が進むとのことです。 そこで発声トレーニングもペアになって喉や呼吸筋に触りながら練習すると、一人でやるより上達する可能性があります。 ペア相手の上手下手は関係ないそうですから、練習者同士で組んでも、指導者と練習者で組んでもいいでしょう。 片手で自分、もう一方の手で相手を触って練習すると比較できて良さそうです。特に呼吸筋は動きが大きいので分かりやすいのではないでしょうか。 喉頭とか頚部も、緊張しているかリラックスしているかお互いに触って感じながら練習すると効果ありそうです。 これは簡単にできて特にリスクもないですから、10年後と言わず今からでも使えると思います。 時々なら触ってみることはあるでしょうが、ずっととなるとやっていそうであまりやられていない方法なのではないでしょうか。これは有望な方法だと思います。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 09,07 11:51 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.015 2015.09.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「 Measurement of Voice Quality, Anxiety and Depression Symptoms After Speech Therapy」 Chenia Caldeira Martinez, Mauriceia Cassol Journal of Voice Vol 29, Issue 4, 2015, p446-449 発声障害外来患者68名に音声治療の前後で不安・抑うつ状態を測定したという研究。 結果、音声治療の前後で不安・抑うつ尺度は有意に変化しており、著者らは声の改善は不安・抑うつの軽減に有効ではないかとしています。 不安・抑うつが何に起因して出ていたかが重要ですが、病院に来るぐらい声を気にしている方々ですから声が改善すれば心の負担もひとつ軽くなることでしょう。 もちろん不安・抑うつがある人は皆発声練習をしましょうということではありません。声の問題はそれだけ心理面にも影を落とすということです。 |
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2015 09,07 11:46 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.015 2015.09.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「 Occupational Vocal Health of Elite Sports Coaches: An Exploratory Pilot Study of Football Coaches 」 Katie L. Buckley, Paul D. O'Halloran, Jennifer M. Oates Journal of Voice Vol 29, Issue 4, 2015, p476-483 オーストラリアのプロサッカーのコーチ12名に、音声・音響測定・インタビュー・音声症状アンケートを行ったというもの。 結果、全員が業務により声に負荷がかかっていると感じているが、特にサポートは行っていないとのことでした。 声を酷使する仕事は色々あると思いますが、プロスポーツコーチもそのひとつといえるでしょう。 職業人が健康管理をしっかり行うことは個人として当然のこと。またも雇用側もそのように配慮すべきですが、声の衛生もプロであるならば健康管理のひとつとして意識すべき事項ということです。 |
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2015 09,07 11:39 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.015 2015.09.07号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 大きな声・綺麗な声・通りの良い声などを出すために絶対的に不可欠なのは声帯に余分な力が入らないことです。 つまり声帯やその周囲の筋肉が必要以上に緊張していないことが求められるのですが、筋肉が緊張するとはどういうことでしょう。 そもそも筋肉(この場合は骨格筋)は何も活動していないときでも意図せずに絶えずわずかに緊張をしています。 この場合の緊張というのは持続的に弱く筋肉が収縮している状態のことです。なぜ静止時に筋が緊張しているのか。それは姿勢などの状態の保持や体温調節のためです。 もし筋肉に全く力が入っていなければ、座っていること、立っていること、姿勢を保つことなどが全てできなくなってしまいます。 また筋肉が緊張することでエネルギーを消費し熱を発生させる源にもなっています。そして静止時に筋が緊張していることで運動の準備状態を保つことができます。 さて一方、精神的に緊張すると全身の筋肉が硬くなります。硬くなることによって自分自身の身体を外的な危険から守ったり、攻撃しやすくしています。 これは人が大昔から引き継いできている防衛本能です。このような現象は自律神経のひとつ交感神経の作用によって起こるものです。 緊張して呼吸や動悸が早くなるのも同じ自律神経によるもので、呼吸を多くして酸素をたくさん取り込み、動悸を早くして脳に酸素を多量に運び、脳がフル回転できるようにしているのです。 このように筋肉は普段から一定の緊張状態を保っており、必要な時に目的の筋肉を動かしやすくするために備えています。そして精神的な緊張をともなうと筋肉の緊張は全体に高まります。 適度な緊張感は準備の整ったアイドリング状態を作り出し、その人の力を充分に引き出す助けとなる必要なシステムです。 しかし緊張しすぎると逆に本来の力を発揮できなくなってしまいます。ここのバランスは非常に微妙なラインです。 思い通りの声を出すために、声帯やその周囲の筋肉がある程度緊張していながら、必要以上には緊張していない状態を練習によって作り出すことが必要です。 |
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2015 09,07 11:32 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.015 2015.09.07号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ こぶしが気になります。 bこぶしとっても拳じゃありません。演歌で使われる歌唱法であるこぶしの方です。「こぶしを回す」というように使われますが、漢字で書くと「小節」になるようです。 こぶしというのはポップスとか他の種類の歌ではまずみられませんし、これを聴くとああ演歌だって印象づけられる独特の歌唱法です。 そもそもこぶしってどういうものなんでしょうか。こぶしはどのように出来上がったものなんでしょうか。似たようなものにビブラートがありますがどう違うんでしょうか。 この辺り気になります。 まずこぶしってどういうものでしょう。こぶしとは、音階と音階の間に楽譜上にはない細かなメロディを入れて歌う技法です。 例えばドーミの音階の場合、これをド―レファ―ミと歌ったり、ド―シレド―ミのように歌ったりします。 もちろんメロディ変化をするといってもリズムを崩すわけにはいきませんから、この変化はごく短い時間で素早く行なわねばなりません。 変化の仕方は特に決まったものはなく、低音に下げても高音にあげても力んでもよく、ファルセットにする出し方もよく使われるようです。 その変化の仕方は歌い手に任されているので、どのように出すかがその歌手の個性になるわけです。他に2小節以上伸ばす所では2小節目から入れることが多いようです。 また、こぶしはもともと長唄や民謡などで昔から用いられてきた歌唱法で、演歌がそれを取り入れたということのようです。 そもそも演歌の成立は、諸説ありますが概ね戦後の昭和20〜30年代頃と比較的新しいのです。しかも当初は演歌=こぶしではありませんでした。 それが長唄や民謡出身の歌手たちが演歌にこぶしを取り入れ始め、それが定番となり今のこぶし=演歌として定着したもののようです。 こぶしは演歌など日本独特のものと思われがちですが、実は西洋音楽にもあります。 メリスマ (melisma) と呼ばれるものがそうで、歌詞の1音節に対して、いくつかの音符を当てはめるような曲付けの仕方、あるいは、もともと1音節対1音符で作曲されている部分(シラブル様式)に、2つ以上の音符を用いて歌うことを言います。 これはグレゴリオ聖歌などのミサ曲やヨーデルによくみられます。 こぶしとビブラートは混同しやすいのですが、ビブラートは音量や高さを振動のように細かく変化させることで響きに変化をつける技法です。 両者は喉頭の動きも全く異なりますし、注意して聴き取れば区別できます。 どうして演歌にこぶしが定着したんでしょうか。演歌には情緒的な心情を歌い上げる歌が多いようです。 こぶしの音の変化はちょっと穿った見方かもしれませんが嗚咽に似ているような気がします。泣いているように聴こえる歌い方が、演歌の歌詞や曲調とぴったりだったのではないでしょうか。 こぶしが演歌の感情や情緒を表現するのに丁度良かったのかもしれません。 しかし今演歌はあまり元気がないようです。もう多くの日本人には飽きられてしまったのかもしれません。 今後、演歌は詩吟や長唄のように伝統芸能になってしまうのでしょうか。こぶしも伝統技に組み入れられてしまうのでしょうか。こぶしの今後が気になります。 |
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2015 09,07 11:26 |
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声の相談室◆ vol.008 2015.05.18号より
☆ベテラン言語聴覚士が声に関するご相談にお答えします。 ご相談の概要は個人情報に配慮した上でメルマガに掲載、お答えの詳細はご相談者様に直接メールでお送りします。ご相談はメルマガ購読者であれば、どなたでもOKです☆ 【Q】多系統萎縮症の60代男性、かなりの嗄声が気になり、耳鼻科で左声帯麻痺と診断。努力性・粗ぞう性が混じっているような聴覚印象。 口唇・舌や明瞭さ・呼気の強さは保たれています。主治医からは制限はないのでどんどん声を鍛えてくださいとのこと。どんな発声練習をしたら良いでしょう? 【A】声が努力性・粗ぞう性であることから喉頭が過緊張になっていると予測されます。過緊張である場合は、筋緊張の軽減による動きの促進が主目的になります。 まず両側の喉頭ストレッチ・マッサージをたっぷりやって、あとは呼気強化を図ってから発声練習をh起声でやりましょう。 この場合は発声そのものが過緊張を促進してしまうので、いかに楽に声を出させるか、がポイントになります。 ウォームアップをたっぷりやった後、h起声で短く低い声を喉頭下部側方ストレッチをしながら出す、というやり方をすると成功率が高いでしょう。 うまくいかない場合は喉頭下部側方ストレッチの場所を変えて下さい。 さらに麻痺側の声帯位との関係ですが、固定されている声帯が正中位なら効果は出やすいと思われます。 中間位なら健側の喉頭ストレッチを組み合わせて健側の動きを促進し、声門閉鎖をさせやすくしてからh起声をするとよいでしょう。 開大位の場合は予後は最も不良ですが、麻痺側の喉頭ストレッチと健側の喉頭ストレッチを両方やって動きを少しでも良くすることを狙って実施してからh起声を試みるというやり方になります。 特に中間位・開大位の場合は、ストレッチ・マッサージ量を増やしましょう。ストレッチと同時発声も有効なことが多いと思います。 なお呼気はある程度充分でも強ければ声帯を振動させやすくなりますし、いざとなればファルセットを代わりに出させる方法もありますので呼気強化は多かれ少なかれやっておいて損はありません。 どちらの場合でも主に鍛えるのは健側です。健側が正中位を超えて声門閉鎖ができるようにすることを目指します。 麻痺が改善すればそれに越したことはありませんし、一応そちらにもアプローチをしますが、あくまで希望的観測で確実性をとるなら健側の強化です。 そこに発声を有利にするための環境整備として呼気筋力の強化が入るという構図です。そのようなバランスでプログラムは重点配分して下さい。 進行性の疾患ではありますが、健側の強化ですし他の機能も保たれているようなので 改善は充分ありえると思います。 改善してもいずれまた困難が生じるでしょうが、QOLとして考えるならば今改善させることには充分意味があると思います。嚥下にも有利に働くでしょう。ぜひ試してみて下さい ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 08,17 07:56 |
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「The Effect of Voice Ambulatory Biofeedback on the Daily Performance and Retention of a Modified Vocal Motor Behavior in Participants With Normal Voices」
Jarrad H. Van Stan, Daryush D. Mehta, and Robert E. Hillman Journal of Speech, Language, and Hearing Research Vol. 58 June, 2015, p713-721 6名の被験者に4日間KayPENTAX歩行発声モニターをつけてもらい日常音声を測定したという研究。 結果、モニターをつけた日は平均4.4dB声量増加がみられたが、モニターを外すと元のレベルに戻ってしまったとのこと。著者らはより革新的なアプローチが必要だろうとしています。 モニターがあると意識するのでつい声が大きくなるのだろうと思われます。 今回は数日間のみしか行っていないので元に戻ってしまったようですが、もっと長い時間つけ続ければ筋肉も鍛えられますし習慣化する可能性もあります。 やってみると意外にうまく定着するかもしれません。 |
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2015 08,17 07:53 |
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「Results of Early Versus Intermediate or Delayed Voice Therapy in Patients With Unilateral Vocal Fold Paralysis: Our Experience in 171 Patients」
F. Mattioli, M. Menichetti, G. Bergamini, G. Molteni ほか Journal of Voice Vol 29 Issue 4, 2015, p455-458 一側声帯麻痺患者171人を、発声トレーニング発症4週間以内開始群・発症8週間以降開始群・中間群に分け改善状況を調査した研究。 結果、改善がみられたのは4週以内群の65%、中間群の61%、8週以降群の56%であったとのこと。やはり早期の開始が重要と著者らは述べています。 問題が起こったら早期の解決が望ましいのはすべての事柄に共通して言えることのように思われますが、それにしても逆に4週間以内と8週以降の治療成績の差が10%未満しかないことの方が驚きです。 これではそれほど早期開始を推奨することにならないかもしれません。ただ8週以降といっても8週め開始と24週め開始が同じとは思えませんし、それが1年後開始なら尚更でしょう。 逆に1週め開始と4週め開始も違うかもしれません。ここはもう少し詳しい分析が欲しいところです。 |
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2015 08,17 07:50 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.014 2015.08.17号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 声の出し始めの瞬間を「起声」といいます。「声立て」「唄口」という言い方もあり、英語では「アタック」と言います。この起声の状態によってその後に続く発声がどんな声になるか変わってきてしまいます。 逆に言えば起声さえうまく出せればその後の発声は比較的容易にコントロールできます。そのため起声は発声トレーニングではとても重要です。 さて起声には、軟起声・硬起声・気息性起声(HA起声)などいくつかの種類があります。 軟起声(ソフト・アタック)は、文字通り軟らかい感じの起声です。優しいソフトな声として聴こえます。 この時は声帯がゆっくり中央に寄り部分的に声帯が合わさって振動を始め、次第に全体へと振動が大きくなることで生じます。喉に負担をかけない発声法なので最も推奨される起声といえます。 硬起声(ハード・アタック)は、軟起声と反対に力を入れて爆発するような感じで出す起声です。硬く厳しい印象の声として聴こえます。 両声帯がぶつかるように合わさって声帯にいきなり大きな振動が起こった状態です。息止めをしてから、喉に力を入れて声を出すとこの起声になりやすくなります。 過緊張発声の方はほとんどがこの起声になっており、両声帯をぶつけるようにして声を出していますので、声帯に負担がかかり、より声が悪くなったり声帯結節ができたりしやすい、あまり推奨されない発声法です。 気息性起声/HA起声(ブレスド・アタック)は、息まじりの感じの起声です。合わさって振動している声帯が部分的で、声帯全体は合わさらず開いている時に生じます。 硬起声をやめて喉に負担をかけない発声法にしたいのに軟起声がうまくできない方はこの方法を用いると比較的容易に目的を達成できます。 この他に、圧迫起声という喉全体を締めて行う起声もあります。「うなり」ともいいますが、演歌や浪曲などで使われる起声です。 起声は発声トレーニングにとってとても重要な要素ですので、しっかり理解し、自分で自由にコントロールようになると良いでしょう。 |
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2015 08,17 07:38 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.014 2015.08.17号より |
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2015 08,17 07:35 |
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◆声のなんでもQA◆ vol.014 2015.08.17号より
☆お寄せいただいたご質問にすべてお答えします メルマガ購読者であればどなたでもどんな質問でもOKです☆ 【Q】マッサージをどのくらいの強さでやったら良いかわかりません。 【A】マッサージの基本原理はストレッチと同じです。ストレッチが引っ張って筋線維を伸ばしているのに対して、マッサージは筋肉を押したり揺することによって筋線維を伸ばしているのです。 ですから筋線維を伸ばす、ということを意識してマッサージすれば良いのですが、押しすぎると痛くなってしまいますね。痛みを感じると筋は収縮しがちになってしまい逆効果です。 痛みを与えない程度の強さで伸ばすようなマッサージを心がけると良いと思います。同じ場所を長い時間マッサージするのも痛みの原因になりますので適度に変えつつ行うと良いでしょう。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 08,03 07:36 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.013 2015.08.03号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します Respiratory and Acoustical Differences Between Belt and Neutral Style of Singing Johan Sundberg, Margareta Thalén Journal of Voice Vol 29, Issue 4, 2015, p418-425 過緊張発声の喉頭触診法に信頼性と妥当性があるかどうかMEDLINEやScienceDirectなど五つのデータベースから文献を洗い出し検討した研究。結果、喉頭触診法はターゲットとなる部位や方法・判定法などでかなりばらつきがあり、妥当性・信頼性という点で不足があったとのこと。今後の研究の進展が期待される、と結ばれています。 こういう徒手的なテクニックはどうしても実施者によってばらつきが出てしまい、判断も主観に頼らざるを得ませんので、こういう統計的な検討を行ってしまうと問題ばかりが浮き出てしまいます。徒手的なテクニックに信頼性や妥当性を求めようというのはそもそも性質上無理な話。有用な面があることに疑いはありませんので、もっと違う方法で活用法を示してもらいたいものです。 |
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2015 08,03 07:32 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.013 2015.08.03号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ Review on Laryngeal Palpation Methods in Muscle Tension Dysphonia: Validity and Reliability Issues Seyyedeh Maryam Khoddami, Noureddin Nakhostin Ansari, Shohreh Jalaie Journal of Voice July 2015 Vol 29, Issue 4, p459-468 6名の女性歌手にベルトスタイルと非ベルトスタイルで歌ってもらい、呼吸状態や音響特徴を分析した研究。結果、ベルトスタイルの方が声は大きかったが、呼吸パターンに差はなかったとのこと。ここからベルトスタイルはより強い声門閉鎖を生じさせていると考えられたとのことです。 お話としては面白いのですが、この6名の女性歌手の皆さんは全員普段ベルトスタイルで歌われているとのこと。となるとプラシーポ効果が混入する可能性が出てしまいますね。つまりこれは非ベルトスタイルと比較した実験だと本人が分かってしまうので、無意識にベルトスタイル応援してしまっている可能性を否定できません。そうでなくとも慣れているスタイルの方が力が発揮しやすいということはあるでしょう。ぜひ普段が非ベルトスタイルの方のデータを混ぜるとよろしいでしょう。 |
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2015 08,03 07:30 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.013 2015.08.03号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 発声に呼吸が大切なのは言うまでもありませんが、その呼吸法を解説した本のほぼ全てに「息は鼻から吸って口から吐くように」と書いてあります。これはどうしてなんでしょうか。 別に鼻からでないとたくさん吸えないというわけではありません。声を出すには声帯が適度に湿潤している必要があるのですが、鼻から吸われた息は鼻腔内で加湿されて気道に入ります。鼻から吸われた息が気道を通っても加湿されているので声帯粘膜は乾燥せずに済みます。 これが口から吸うと口腔内ではあまり加湿されませんので、乾燥した息が気道を通ることになります。そうなると声帯粘膜は乾燥しやすくなり声も出しにくくなってしまいます。そのために鼻から吸いましょうと言われているものと思われます。 さて後は口から吐くという方ですが、これは発声のための呼吸ですからできるだけ本番に近い状況で行った方が良いわけです。そういうことで口から吐きましょうということと思います。 他にヨガとか気功とか、最近よく見かけるピラティスなどでも鼻から吸って口から吐く呼吸法が指導されるようです。喉が乾燥してしまうと充分リラックスできないでしょうから鼻から吸うことが推奨されるのかもしれません。一方、口から吐くのが推奨されるのは正直よくわかりません。呼吸は意図的に繰り返すとリラクセーションを促す効果がありますから、そんな理由で呼吸を意識させているのかもしれません。 |
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2015 08,03 07:24 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.013 2015.08.03号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 先日、NHKの番組「スタジオパークからこんにちは」に3人組ボーカルユニットのKalafinaの皆さんが出演されていました。Kalafinaというお名前、ご存知でしょうか? 実は私もよく存じ上げなかったのですが、NHK「歴史ヒストリア」のオープニング曲やエンディング曲を歌われている方たちです。 かなり印象的なハーモニーですし、知らずに耳にされていて聴けばああと思い当たる方も多いのではないかと思います。 リンク→ https://m.youtube.com/watch?v=OG6u8CDvpI4 さてこのKalafinaというユニットの面白いところは、メインボーカルが特定の一人ではなく全員というところです。しかもそれぞれの声の特徴がものすごく異なるというところが出色にすごい。全く印象の異なる声の3人がユニットを組むだけでも異質ですが、さらにKalafinaはひとつの曲の中で次々とメインボーカルが交代していくということをやっています。そのためにひとつの曲の中で曲の印象がジェットコースターのように変化するという、とても面白いことをやっています。 ところで「スタジオパーク・・・」の中でKalafinaのメンバーが興味深いことをおっしゃっていました。Kalafinaの曲では誰かがメインボーカルの時には他の二人はコーラスとかサイドボーカルに回るのですが、メンバーの声同士があまり違うのでそのままだと浮いてしまって綺麗なハーモニーにならない。それで同じ高さの音でも出し方を変えて下から出したり上から出したりするんです、とのこと。上から?下から?どういうことなんでしょう?ここは気になります。 リンク→ https://m.youtube.com/watch?v=sc9WAWnXvek その声を番組内で実演していらっしゃいました。同じ高さの声を3種類出していましたが、拝見したところ、ひとつはほぼ地声の声。もうひとつの下から、とおっしゃっていた声は、喉頭を下げて口腔・咽頭の空間を広げ、響きを強くした声でした。もうひとつの上から、とおっしゃっていた声は、舌を平たくしつつ口角(口の両端)を横に引いて口腔の空間を横に広くして音を加工しながら響きを強めた声でした。これを時によって出し分けて綺麗なハーモニーになるようにしているのだそうです。 響きを強めた声というのは色々な周波数の音が重なっている状態ですから、重なっている音のうちのどれかがメインボーカルの周波数と一致すれば綺麗なハーモニーとして聴こえます。つまり響きを強くした声はメインボーカルと綺麗なハーモニーを作りやすいということですね。 ところでどうして口腔・咽頭を広げて響きを強くした声を「下からの声」、口腔を横に広くして響きを強くした声を「上からの声」と表現されたのでしょう。おそらく「下からの声」は重なった音に比較的低音の音が含まれやすかったことが挙げられるでしょう。これは縦に広い空間が作られたためで、低音混じりなので下からという感じがした可能性が考えられます。喉頭を下げていることも直感的に下という感じとしてあるのでしょう。「上からの声」は別に高音が多く重なっているわけではありませんが、下からの対比でそう名付けられたという印象です。 それにしてもKalafinaの皆さんはどのようにして今の多様な発声法を身につけられたのでしょうか。試行錯誤などの努力の末でしょうか。音楽プロデューサーさんの指導の賜物でしょうか。いずれにしろとても印象的で素敵なハーモニーです。Kalafinaの皆さんの声がとても気になります。 |
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2015 08,03 07:19 |
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◆10年後の発声トレーニング◆ vol.013 2015.08.03号より ☆
これからの発声トレーニングのあるべき姿について提案します☆ 【提案2】 発声トレーニング後のクールダウン クールダウンとは整理運動とも呼ばれ、筋肉疲労の回復を目的に行われる運動です。ウォームアップ(準備運動)が筋肉内の血行を促し、筋肉の柔軟性を高める役割を持つのに対し、クールダウンは運動中に生じた疲労物質を筋肉から除去する役割があります。 トレーニングの後にいきなり休止すると、大量の血液が筋肉中に留まり疲労物質も同時に蓄積されるため筋肉痛の原因となってしまいます。クールダウンは、筋肉内に留まった疲労物質(老廃物)を除去することで疲労の回復を図る運動です。 クールダウンの効果的な方法の代表はストレッチです。疲労した筋肉をしっかりとストレッチし血行を促進することで、筋肉疲労の早めの回復をもたらし、筋肉痛の軽減に繋がります。 またアイシングによる直接的なクーリング手法でも体を静止させたま疲労物質を抑制することができます。 筋肉を鍛える種類の発声トレーニングをたっぷり行った場合、特に呼気筋や喉頭筋には疲労物質が蓄積してしまっていることが推測されます。このような状態の時はさっと発声トレーニングを終わらず、確実なクールダウンを入れることで後に疲れを残したり喉に痛みを生じたりといったことを回避できると考えられます。 呼吸筋についてはストレッチを行いながらの深呼吸が良いと思われます。具体的な例ではラジオ体操の最後に入っている深呼吸体操が適当でしょう。あれをゆっくり数回行う行うことで呼吸筋のクールダウンになると考えられます。 声帯のほうもクールダウンが必要ですが、こちらはなかなか難しいことが予測されます。声帯そのものをストレッチすることは高音と低音の反復発声でできますが、声帯を閉鎖するための外側輪状披裂筋や横披裂筋、高音を出すための輪状甲状筋や甲状披裂筋をストレッチすることは基本的に方法がありませんのでできません。これらはみな甲状軟骨の内側にあるので直接触ったり伸ばしたりできないからです。 輪状甲状筋のみは可能性がありますが、どれほど効果があるか分かりません。後はアイシングによる直接的なクーリングが考えられますが、これも直接冷やせるわけではありませんので効果は未知数です。しかしうまくいけば超回復の助けになり発声トレーニングの効果を高められると考えられます。適正なクールダウンが確立されればと思います。 ■QAコーナーへのご質問もお待ちしております。 → http://physiexvoice.client.jp/mail.html |
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2015 07,20 03:40 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.012 2015.07.20号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 南 和彦ほか「チューブ発声法による声帯振動への影響」 音声言語医学 56巻 2号, 2015, p180-185 チューブ発声時の声帯振動を電子スコープで観察したところ、声帯振幅が増大する傾向がみられた、という報告。 チューブ発声法は細く長い管をくわえながら発声する練習法です。自分で簡便に練習でき、基本的にどんな声の問題にも適応があるとされているので随分とお得な方法なのですが、理屈が明らかでなく今ひとつ広まっていません。おそらくは声の配置法と同じような感じで効くイメージトレーニング法のひとつと思われますが、道具があるぶん使いやすいのではないでしょうか。試してみる価値は充分あると思います。 |
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