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2016 04,04 06:47 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.029 2016.04.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Voice Changes in Real Speaking Situations During a Day, With and Without Vocal Loading: Assessing Call Center Operators」 Boaz M. Ben-David, Michal Icht Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p247.e1-247.e11 コールセンターオペレーター27名と学生25名の声の基本周波数と音圧を一日の始めと終わりに記録した研究。 結果、どちらの群でも一日の終わりに基本周波数が上昇する者がみられ、それには喫煙やカフェイン摂取などの脱水行動的なライフスタイルが影響していると考えられたとのこと。 基本周波数のチェックが有用と著者らは述べています。 コールセンターオペレーターのように常に声を使う職業でもライフスタイルに気をつければ声の健康を保てるというわけですね。 喫煙やカフェイン摂取などの脱水的行動が習慣づいている人は水分摂取を心がけるなど注意しましょう、ということです。 PR |
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2016 04,04 06:39 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.029 2016.04.04号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 前にもちょっと書きましたが、声のことに興味を持って色々考えたり試したりして日々を過ごしているうちに、人の声を耳にするたびに声の質などが気になるようになりました。 そのうちさらに病が高じて、その人の喉頭がどんな状態になっているか、どの部分をどう動かしているか、自動的に頭にポワーンと思い浮かぶようになりました。 妙な習性が身についたものだと思います。 さてそうなると解剖的にみて、どの人の発声法がもっとも素晴らしいか、考えてしまうものですよね。 人それぞれあると思いますが、私がこれまで聴いた中で、他の追随を許さずトップと思われるのは故 藤山一郎さんです。これはもうダントツです。 youtubeなどでもたくさん動画が見られますから、一度ご覧になっていただけるとご参考になるでしょう。 https://m.youtube.com/watch?v=P-QUP13GAeA https://m.youtube.com/watch?v=MCdT05hLYFA とにかく発声が非常に安定しています。長いフレーズでも息が苦しそうな様子が全くない。余裕綽々です。 高音になると大抵の歌手は声帯や声道を締めすぎてしまい、声量が落ちてしまったり、くぐもってしまったり、かすれたりします。藤山さんはそれが全くありません。 高音でも声量は全然落ちません。相当な高音になっても、くぐもった感じにも全くなりません。実にストレートに地声と全く同じ声が出ています。 これは書くと簡単そうですが、実際藤山さんレベルにできる人はほとんどいません。 さらに音程の揺れも全くなく、スパッと目標の高音音程を出しています。しかもどんな音程でも息や雑音の混じらない綺麗な声を出しています。 声は非常に響きのある軟らかい声です。本当に完璧な発声法です。奇跡としか言いようがありません。 おそらく藤山さんは、声帯と喉頭周囲の筋肉のコントロールが恐ろしく巧みで、発声に際してピンポイントに声門閉鎖に関わる筋だけを収縮させることができたのだと思います。 そうでなければあのストレートな高音はだせないでしょう。もちろん口蓋帆挙筋や咽頭収縮筋、輪状甲状筋のコントロールも自在。 だからこそ口腔・咽頭腔を広げて声を存分に共鳴させたり、目標の音程をスパッと出せたりしたのでしょう。 さらに藤山さんは歌によってクルーナー唱法を用いていたとのこと。 クルーナー唱法とはマイクロフォン使用を前提として、声を張り上げず、滑らかに耳元でささやくように歌う唱法だそうです。 最初に確立したのはビング・クロスビーで、フランク・シナトラに受け継がれていったそうです。 代表的なものはビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」だそうですのでご参考まで。 https://m.youtube.com/watch?v=NF9FEtI4Li4 この唱法をも使いこなし、しかも長いフレーズでも安定して発声できるとは、クレバーであり、かつ呼吸筋のコントロールも自在であったことになります。 クレバーで声帯・喉頭周囲筋・呼吸筋全てのコントロールは完璧。藤山さんはどのようにしてその奇跡とも言える発声法を身につけられたのでしょうか。 そしてその発声法は無意識にできてしまったものなのでしょうか、自覚的に掴んだものなのでしょうか。 藤山一郎さんは明治44年生まれで、東京音楽学校(後の東京藝術大学音楽学部)を首席で卒業されているのだそうです。 おそらくその折に発声法のトレーニングを積まれたのでしょう。東京音楽学校の新しい歴史を作る逸材、といわれたそうです。 藤山さんはその後、傾いた実家の借金を返すために流行歌手として活躍したのそうですが、 時に「増永丈夫」の本名でクラシック音楽の声楽家・バリトン歌手としても活躍されたそうです。 オペラなどのクラシック曲の発声と流行歌の発声をバランスをとりながら模索し、正当な音楽技術と知的解釈をもって歌謡曲の詠唱に独自の境地を開拓した、 との功績により平成4年に国民栄誉賞を受賞しています。 そこからするとおそらく無自覚な天才性により身につけた、というよりは、自覚して使えるように身につけた、と思われます。 ただ晩年になっても全く衰えないその発声法の維持についてはやはり天賦の才としか言いようがありません。 藤山一郎さんが亡くなられてもう23年経ちます。まだ藤山さんを超える発声法の持ち主には寡聞にしてお目にかかれていません。 藤山さんは100年に1人のレベルの傑物なのでしょうか。藤山一郎さんレベルの奇跡の発声法が気になります。 |
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2016 03,21 15:11 |
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【028-1】 ◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.028 2016.03.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Vocal Assessment Before, After, and the Day After Opera Performance」 Monica McHenry, Joseph Evans, Eric Powitzky New York Medical College, NY. Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p186-191 通常のトレーニングを受けた歌手男女5名のオペラ直前、直後、後日の声門下圧・呼気流率・音圧などを測定した研究。 結果、喉頭に変化なく声量のバランスの取れていた男性と翌朝教会で歌わなかった女性2名は呼気量増加と喉頭負荷の低下がみられ、 一方翌朝教会で歌った男性2名は後日、喉頭負荷増加がみられたとのこと。翌日の声の休息が回復に重要なことが示唆された、と著者らは結論づけています。 筋肉に強い負荷がかかると筋は微細なダメージを受けます。 その後休養を取ることでダメージは修復がなされますが、休養が足りないとオーバートレーニングとなりダメージが残ってしまいます。 やはり筋肉を酷使した後、少なくとも24時間以内は充分な休息が必要でしょう。 |
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2016 03,21 15:08 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.028 2016.03.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Effects of Bel Canto Training on Acoustic and Aerodynamic Characteristics of the Singing Voice」 Monica A. McHenry, Joseph Evans, Eric Powitzky Journal of Voice Vol 30, Issue 2, 2016, p198-204 ベルカント唱法のトレーニングを2年間受けた大学院生21名と学部生16名の音響的・空気力学的特性の変化を調査した研究。 結果、全員大幅に声域と声量の増加がみられ、個人差はあるものの呼気量の増加と喉頭負荷の減少がみられたとのこと。 呼気量増加と声量増加は集中的トレーニングの順当な結果と著者らは結んでいます。 ベルカント唱法については一言では説明できませんが、理想的な発声法のひとつです。結論は著者らの言うとおり順当です。 なお大学院生2名が呼気量の増加なしに声量増加がみられたとのことですが、これは声帯を締めて呼気の出口を狭くすることで声量増加を実現させたものと考えられます。 ただこの2名はベルカント唱法を修得したとはいえないかもしれませんね。 |
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2016 03,21 15:06 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.028 2016.03.21号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ ドギーブレスが気になります。 ドギーブレスとはなんでしょう? 発声トレーニング法のひとつだそうですが、あまり聞いたことのない名称ですよね。 音声治療の教科書にも載っていません。これをやると声に張りが出て大きくなり、ビブラートもかけやすくなるとのことだそうです。 いったいどんなトレーニング方法なのでしょう。気になります。 ドギープレスは英語で書けばdogy breastで、日本語に訳すと犬式呼吸になります。つまり犬が暑い時にやっている呼吸方法のことなのだそうです。 やり方は口を楽に開けて、犬がするような感じで「ハッハッハッハ…」というような呼吸を行います。 これを1回に30秒から60秒程度、一日2から5セット行うようにするそうです。 バリエーションとして、「ハッハッハッハッ」と2拍で4回吐いて、3拍目で「ハッ!」と止め、4秒目で息を吸う。これを15セットというものもあるようです。 このトレーニングで横隔膜を鍛え、腹式呼吸のコツを得ることが出来る、簡単で気軽に行える方法とのことです。 これは運動学的に見ると、短い負荷運動を細かく繰り返していることになります。効果としては呼気筋の筋力および持続力の増強でしょう。 特にバリエーションの方はインターバルトレーニングに類すると考えられます。 持続負荷と間欠的負荷では後者がより効果的との報告(Yamazaki 2003)もありますので、確かに呼気筋の筋力がつき、声が大きくなるというのはありそうではあります。 ただ横隔膜を鍛えることができるかどうかは、やり方によるでしょう。横隔膜を使わなくともこのドギーブレスはできてしまいます。 腹式呼吸のコツを得られるかどうかも同じですね。単に「犬がするような感じで」では色々なやり方ができてしまいます。 腹式呼吸の習得が目的なのであれば、やはり理屈は知っておいた方がいいでしょう。 さらにビブラートがかけやすくなる、というこの場合のビブラートは呼気ビブラートですね。 ビブラートのかけ方は運動学的には3種類あると思いますが、呼気ビブラートは最も容易な方法です。これはその通りではあるでしょう。 ただ呼気ビブラートは簡単ですから、ドギーブレスで練習しなくとも習得はできると思います。こちらのコラムもぜひご覧ください。 http://physiexvoice.side-story.net/column/c003 ところで、やり方は違いますが当サイトにも間欠的負荷ブローイングという、同じ原理のトレーニング法があります。 http://physiexvoice.client.jp/kaisetsu25.html 個人的にはこの方が負荷がかかるのでトレーニングとしては効果が高いと思いますが、あくまで予想です。 一度実験的にデータをとってみると面白いかもしれません。ドギーブレスと間欠的負荷ブローイング、どちらが効果的か、気になります。 |
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2016 03,21 15:02 |
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【運動的発声エクセサイズ マニュアル】 vol.028 2016.03.21号より
☆リニューアル準備中の運動的発声エクセサイズの実施法を先行してご紹介します☆ ・運動的発声エクセサイズでは、声量を上げたい、通る声にしたい、かすれ声を直したいなど、 声にどのような希望がある場合でも、まず初めにその声が過緊張発声か低緊張発声か、そこの区別を行います。 ・初めに声の緊張状態を区別するのは、両者でエクセサイズの内容が全く異なるからです。 ・過緊張発声傾向の場合は、声帯や喉頭周辺の筋肉が過剰に緊張状態にあることが根本的な原因と考えられます。 ・従って過緊張発声の場合のエクセサイズは、筋肉をリラックスさせ過緊張を軽減させることに最も重点を置きます。その上で筋力増強を行ないます。 ・低緊張発声傾向の場合は、声帯や呼吸関連の筋肉の力が足りないことが根本的な原因と考えられます。 ・従って低緊張発声の場合のエクセサイズは、必要な筋肉の力をつけ低緊張状態を改善させることに最も重点を置きます。 ・区別の方法としては以下の項目をチェックします。 □声が詰まる感じがする □声が裏返りやすい □声がこもる感じがする □しゃべっていると声がだんだん出なくなる □大きな声をだそうとすると喉が痛くなる ・ひとつでも当てはまれば過緊張発声傾向、ひとつも当てはまらなければ低緊張発声傾向です。 ・適切な筋緊張状態、というのはもちろんありえます。ここではそれは低緊張発声に分類します。 |
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2016 03,07 05:29 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.027 2016.03.07号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 日本静脈経腸栄養学会の年次学術集会といえば、発表演題数1500以上、参加者1万人以上という巨大なイベントです。 今回は福岡で行われ、4つの隣接する建物に分かれての開催でした。 ものすごく大雑把に言えば、栄養と身体の関連について研究するのがこの学会のテーマといえます。 特に近年では、高齢者の見かけではわからない栄養不足が身体の色々な不都合を生じさせている、ということが重要な問題として取り上げられています。 今回は特別シンポジウムにおいて国立長寿医療研究センターの荒井秀典先生が「高齢者の栄養不良-サルコペニア・フレイルの観点から-」という講演をされていました。 それによると筋骨格量が低下した高齢者に、負荷運動を行わせ、さらにタンパク質とビタミンDを補充したところ3ヶ月間で有意に筋骨格量が増加した、とのことでした。 筋骨格量の増加は発声にとっても非常に重要です。特に運動後30分以内でのタンパク質摂取が最も有効とのデータもあります。 ぜひ、これらの知見を総合して発声トレーニングに取り入れていきたいと考えています。 |
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2016 03,07 05:24 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.027 2016.03.07号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ テレビの海外ドラマや洋画の吹き替え声が気になります。 テレビでやる海外ドラマや洋画は日本語に吹き替えされていますよね。 あれって画面を観ていなくても、今放送されている番組が日本製なのか外国製の吹き替えなのか、ほんの数秒聞いているだけで分かってしまいます。 例えばセリフ回しだけとってみても私たちの通常の喋り言葉とは違うと感じます。 男性なら「〜ぜ」とか「〜かい?」、女性なら「〜わ」とか「〜だわ」など、特に語尾の部分が顕著に芝居掛かった口調になっています。 しかしそれだけでなく、声の調子も違っている気がします。何が違うんでしょうか? 気になります。 さて、吹き替え声を改めて聴いてみると、第一に目立つのは全体に早口だということです。その割に聞き取りにくくないのは、文の途中に長めに切れ目が入るからです。 ただその切れ目の位置と長さが、私たちの日常のしゃべり言葉とは違っているので、やや不自然に感じます。 例えば普通なら「手がかりがありましたよ」とすっと言うところが、「手ぇがかりが〜、ありましたよ」など。 これは、なにしろ原語の口の動きに吹き替えの声を合わせねばならないので、どうしてもリズムが早口に、そして切れ目を入れねばならないためなのでしょう。 同じくセリフの始めに「ん〜」とか「あ〜」という溜めが入ることも多いのですが、これは英語の芝居に「ア〜ンド...」とか「ウェ〜ル...」というセリフが文頭に多いためと思われます。 そしてやはり際立つのは、語頭から声が大きく、全体に抑揚が非常に激しいこと。テンションがずっと高いと言ってもいいかもしれません。 いわゆるオーバーな演技で、昔の大映ドラマを彷彿とさせます。 この理由については吹替愛好家の漫画家とり・みきさんが『吹替の帝王』というサイトで考察していらっしゃいます。 http://video.foxjapan.com/library/fukikae/specialcolumn04.html 第一に、息継ぎやタイミングなどが異なる吹き替えで日本語をナチュラルに合わせるのはそもそも難しいので、オーバーにアテることでセリフに勢いや説得力を持たせようとしたのではないか。 第二に、黎明期の小さくて解像度の悪いテレビ画面で、当時の日本人にとって顔の区別のつきにくい欧米人の芝居を見せるために、声優によるキャラクターのフレームアップが必要だったのではないか。 第三に、初期はごく少人数の声優でたくさんの登場人物の声をアテており、ほとんど一発録りだったため、よりはっきりしたキャラ付けが行われ、オーバーアクト気味になったのではないか。 第四に、「欧米人はジェスチャーがオーバー」というイメージから、少々ショーウィーな話し方のほうが外国のドラマっぽく、しっくりくる、と思われていたのではないか。 第五に、初期の声優は新劇出身者が多く、リアルさの表現として新劇的セリフ回しを吹き替えに応用し、それが定着したのではないか。 吹き替え声は芸人さんのネタにもなっています。つまり誰が聞いても吹き替えだとわかるパターンがあり、世間でも認知されていることになります。 ひとつの文化が成立するには様々な要因があって、偶然と必然の中で淘汰され定着していくと思われます。吹き替え声の成立過程も面白いものだと思います。 ただ今後はどうでしょうか。時代に応じて人々の感じ方は変わるものです。吹き替え声もナチュラルな方向性に移行していくか、わかりやすさがより求められていくか、興味深いところです。 吹き替え声の今後が気になります。 |
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2016 03,07 05:19 |
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◆03. 声の相談室◆ vol.027 2016.03.07号より
☆ベテラン言語聴覚士が声に関するご相談にお答えします ご相談の概要は個人情報に配慮した上でメルマガに掲載、 お答えの詳細はご相談者様に直接メールでお送りします ご相談はメルマガ購読者であれば、どなたでもOKです☆ 【Q】朗読のボランティアをやっています。5分くらいしゃべると声帯の周囲が焼けたように感じて、声が枯れて出なくなってしまいます。 唾液の出が少ないためかと思いますが継続して長く声が出るようになるには、どうしたら良いでしょうか? ちなみに昨年も朗読録音のやりすぎで気息声となり音声外来で言語聴覚士の指導を受け3ヵ月のリハビリ訓練(ストロー発声法)でやっと声が出るようになりました。 【A】お困りのことと思います。 5分くらい声を出すと声帯の周囲が焼けたように感じる、というのは声帯の過緊張状態と思われます。血液が集中することで熱く感じるものです。 続けると声が出なくなってしまうのは声帯粘膜が腫れてしまうためと考えられます。昨年声が出なくなったのも同じく声帯が腫れてしまったためでしょう。 その防止対策ですが、まず呼気を強化しましょう。呼気が強くなれば声を出しやすくなり声帯の負担が減ります。 サイトにある負荷ブローイングをやってみてください。思いっきり5〜10秒間吹くというのを5回x2セットやりましょう。休憩は入れても構いません。 その後で「はー、ひー、ふー、へー、ほー」と発声練習をしてください。 これを毎日か一日おきにやり、4週間続けると変わってきます。なお喉の乾燥はもちろんいけませんので、練習の前には必ず喉を潤して下さい。 文面から判断できることはこのぐらいです。音声サンプルがあればさらに正確なご助言ができるかもしれません。 ご参考にしていただければ幸いです。 |
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2016 02,15 06:50 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.026 2016.02.15号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Effect of Voice Onset Type on Vocal Attack Time 」 Ben C. Watson, R.J. Baken, Rick M. Roark Department of Speech-Language Pathology, New York Medical College, Valhalla, New York Journal of Voice Vol. 30, Issue 1, 2016, p11-14 55名の女性と57名の男性でVocal attack timeへの起声のタイプの影響を調査した研究。結果、気息性起声では他の2つよりVocal attack timeが大きかったとのこと。 著者らはVocal attack time測定の有用性を示唆しています。 ボーカルアタックタイムとは発声開始時の喉の動きと声の大きさの上昇の時間差を測ろうということ。 起声には硬起声・軟起声・気息性起声の3タイプがありますが、その中で喉が動いても声が大きくなりにくいものがあるのではないかということ。 結局、息が混じると声量が上がらないという結論なのですが、今回の研究では強制的に気息性起声になる単語を言わせて比較しています。 ちょっと手法に無理がある印象です。今度は本当に気息性の被験者を使ってもう少し細かいところまで調べて頂きたいところです。 |
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2016 02,15 06:46 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.026 2016.02.15号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Relationship Between Subglottal Pressure and Sound Pressure Level in Untrained Voices」 Staffan Björklund, Johan Sundberg Department of Neuroscience, Speech-Language Pathology, Uppsala University, Uppsala, Sweden Journal of Voice Vol. 30, Issue 1, 2016, p15–20 16名の女性と15名の男性に4つの高さの声を出させ声門下圧と音圧の関係を調べた研究。 結果、どの音の高さでも声門下圧と音圧には高い相関がみられ男女差もなかったが、同じ声門下圧を加えても男性は女性よりも音圧上昇が少ない傾向が見られた、とのこと。 発声させる言葉の種類によって違いそうだが、このようなデータは有益であろうと著者らは結んでいます。 男女では管の太さが違うので同じ圧を加えても同じ大きさの音にならない、ということです。 単純に男女の比較はちょっと大雑把な印象を受けます。 MRIなどを使えばもっと精密に喉頭サイズと呼気圧・音圧の関係を明らかにできると思いますし、 MRI画像からデータを解析して発声シミュレーションを行うことも現在の技術で充分可能と思われます。 さらに3Dプリンタで喉頭を複製することすらできると思います。誰かやっていただけないでしょうか。 |
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2016 02,15 06:41 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.026 2016.02.15号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ よそ行き声が気になります。 改まった場面で話すとき、例えば電話に出たときなど、普段とはちょっと違ったいわゆるよそ行き声を出す人は多いですね。 側で聴いていても、急に変わるのでびっくりすることがありますし、電話で話したとき目当ての本人なのに誰が出たのか分からなかったりします。 よそ行き声とはそもそもどんな声なんでしょうか、どんな効果があるんでしょうか。気になります。 よそ行き声が使われる代表的場面といえば電話でしょうか。特に女性で目立つ印象があります。電話での女性のよそ行き声は、声が高くなる傾向が高いようです。 なぜ電話で話すときに声が高くなるのでしょうか。 その理由はいろいろ考えられます。 第一には相手に聴き取りやすく、という配慮からというもの。聴覚心理的にいうと高い音は低い音に比べて聴取者が聴き取りやすい傾向にあります。 電話などのこもって聴き取りにくい条件下や騒音下では声を高くした方がいい、という判断が意識的、あるいは無意識になされた結果高くなったという解釈です。 第二は緊張して声が高くなるというもの。電話は相手がどのような状況かわかりませんし、かかってきた電話は誰からか分からない場合もあります。 精神的な緊張は筋緊張をもたらし、喉頭で声帯が引き伸ばされて声が高くなった、という解釈です。 第三は相手に好感を持ってもらいたいという気持ちからというもの。ある調査によると、高い声の女性は低い声の女性よりも好感度を持たれやすいとのことです。 先にも書いたように筋のテンションが高いと声は高くなり、テンションが低いと声は低くなります。 声が高い=テンションが高い=元気がある、という類推から、声を高くすることで元気で快活な印象を与えたい、という判断が意識的、あるいは無意識になされた結果高くなったという解釈です。 人により理由は違うでしょうし、これ以外にもあると思います。 他によそ行き声の特徴としては、口腔〜咽頭腔を広げて声の響きを良くするというのもあるようです。 これも倍音を多くして聞き手に聴き取りやすくしようとする判断が働いた結果と解釈できます。ただし聴きようによっては気取った声に聴こえるかもしれません。 この声は聴き取りやすいものの、普段からそのような声を出す人物はなかなかいないため、非常に意図的に作り出している声に思われてしまいがちだからです。 一方、男性でもよそ行き声はあると思いますが、男性は概ね声が高くなるよりは大きくなるように思われます。 これは男性は女性よりも出せる声の幅が狭く、あまり高くは変えられない、という構造上の問題があるためと思われます。 聴き取りやすく、という目的であれば、大きな声でも事足ります。声が大きい=テンションが高い=元気がある、も成り立ちます。 つまり男性は高い声を出すより大きな声を出す方が得意で、女性は大きな声より高い声を出す方が得意、と言えます。 それにしても別にそうしなさいと教わったわけではないと想像しますが、人間とはつくづく複雑で高等な活動をするものだと思います。 ところで、低い声は安心感や信頼感、落ち着きの印象を与えるため、少なくともビジネスシーンでは低い声を使う方が良い、という意見があります。 ビジネス声もよそ行き声のひとつではあるでしょう。果たしてよそ行き声に適した声とはなんなのでしょうか。 よそ行き声が気になります。 |
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2016 02,15 06:34 |
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◆発声フィジ・エクセ事例紹介◆ vol.026 2016.02.15号より
☆発声フィジ・エクセの実施事例をご紹介します☆ 1年前パーキンソン症候群との診断を受けた70代男性。 普段の話し声でも意図的場面でも有声は全くみられず、出されるのは全て弱い息のみ。意思疎通は弱いささやきと身振りと筆談で可。舌や口の運動機能に大きな問題はなし。呼吸数には問題はないが呼気は弱い。 ただし咳は可能。 咳が出せることから声門閉鎖は可能、問題は呼気筋の機能低下と判断。目的は呼気筋の可動域と筋力の向上。 体幹・肋間筋のストレッチと負荷ブローイング、お腹を押しながらの母音介助発声練習を週5回+自主トレーニング1日1回で実施。 開始1週め、呼気持続力当初6秒→9秒、練習中に母音の一部で短い有声発声が可能となる。 開始2週め、呼気持続力10秒、練習中母音で短い有声発声が可能。単語の発声練習追加。ただし自主トレでは有声困難。 開始3週め、呼気持続力11秒、練習中短い単語の一部で有声発声が可能。呼気が強くなり普段のささやきが聞き取りやすくなる。 開始4週め、短い単語が一部有声で可能。自主トレでも有声が出せるようになる。以後は自主トレ中心に行うこととしエクセサイズ終了。 コメント:かなり前から声は小さかったとのことですが、肺炎で数週間入院してから、声が出なくなったとのことでした。 はっきりはしませんが、入院による呼吸筋の廃用症候群で声が出なくなった可能性が考えられました。 とすると廃用を起こしてからそれほど経っていませんので、改善の見込みありと考えやってみました。 プログラムは呼気筋強化にかなり重点化し、ご本人も主旨を理解されてしっかり取り組んでいただけました。 約1ヶ月で一定の改善が得られ、自主トレもできるようになりましたので終了しました。ご家族にも分かりやすくなったと喜ばれたとのことでした。 |
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2016 02,01 05:34 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.025 2016.02.01創刊1周年特別号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「The Flow and Pressure Relationships in Different Tubes Commonly Used for Semi-occluded Vocal Tract Exercises」 Pedro Amarante Andrade, Greta Wistbacka, Hans Larsson, Maria Södersten, Britta Hammarberg, Susanna Simberg, Jan G. Švec, Svante Granqvist Voice Research Lab, Department of Biophysics, Palacký University Olomouc, Olomouc, The Czech Republic Journal of Voice Vol 30, Issue 1, 2016, p36-41 10個の様々なチューブを使い、1〜7センチメートルの水深でバック圧と流量の関係を調べることで、semioccluded vocal tract exercisesに最適なチューブを検討した研究。 結果、広いチューブでは概ねバック圧が一定だったが、細いチューブでは流量が上がるとバック圧も上がった、とのことでした。 semioccluded vocal tract exercisesというのは022-2でも紹介しましたが、ブローイングとチューブ発声法をミックスしたような方法です。 チューブ発声法はチューブに注目させることで喉頭から注意を逸らせる声の配置法的な意味合いを持ちますが、 それだけでなく呼気が喉頭に逆流して圧がかかり喉頭の圧迫を抑える可能性があることが知られています。 この結果からすると細いチューブの方が圧が強くなるわけですから喉頭の圧迫を抑えやすいことになりますが、実際はどうでしょうか。続報が待たれます。 |
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2016 02,01 05:32 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.025 2016.02.01創刊1周年特別号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Behavior Assessment Battery: A Pilot Study of the Affective, Behavioral, and Cognitive Correlates Surrounding Spasmodic Dysphonia」 Martine Vanryckeghem, Bari Hoffman Ruddy, Jeffrey Lehman Department of Communication Sciences and Disorders, University of Central Florida, Orlando, Florida Journal of Voice Vol 30, Issue 1, 2016, p53-60 音声障害のない成人32名と内転型痙攣性発声障害(ADSD)32名に行動評価バッテリーを実施、特定場面での声への不安や音声関連の負の態度などを調査した研究。 結果、ADSDでは全ての面で一般成人と差がみられ、かなりの不安や負の態度を示したとのこと。 ADSDへの行動評価バッテリーの適用は包括的な治療法につながる可能性がある、と著者らは結んでいます。 痙攣性発声障害は意図せず声帯に力が入ってしまって瞬間的に声が出なくなってしまう疾患です。 苦手な発音とか場面がそれぞれの人にあるので、予期不安や忌避的態度がみられる場合もあります。 それらが症状をより重くするので発声練習だけでなく、心理行動面への対処も必要と言われています。 この研究はその重要性を強調していますが、具体的にはこれからというところでしょう。 |
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2016 02,01 05:24 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.025 2016.02.01創刊1周年特別号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ このメールマガジンは昨年2月の第1週に第一号を配信しました。ですので今号でちょうど創刊一周年となります。 というわけで今回のコラムはいつもと趣向を変え、今準備を進めておりますリニューアルの概要を先行してお知らせしたいと思います。創刊一周年記念企画です。 1)発声エクセサイズについて まずもっとも肝心な発声エクセサイズについてですが、根本の考え方に変わりはありません。 発声は運動で、筋肉を鍛えて動かしやすくすれば声は良くなる、というところは同じです。運動科学的な理論に則って行うことは言うまでもありません。 具体的には、現行ではアセスメント→トライアル→プログラムメニュー→エクセサイズという流れでした。 しかしこれを実際に行うとなるとなかなか分かりにくく実施が難しかったように思います。そこでここをもっと整理します。 まず現行のアセスメントはチェック方式でしたが、ここがちょっと難しいようでした。そこでリニューアルではフローチャートでアセスメントを行えるようにします。 特にこのフローチャートでは、まず最初に筋肉に力が入りすぎている声か、筋肉に力が足りない声か、そこから分かれていくようにします。 両者ではトレーニングのやり方が全く違うためで、まず初めにそこを分けるのが大切と考えられるからです。 トライアルも複雑で実施が難しいようでした。そこで現行のトライアルは無くす予定です。そのかわりにプログラムに第一選択、第二選択のように優先度合いをつけます。 この場合にはこれを第一選択とする、効果がない場合には第二選択に切り替える、というようにフローチャートで選べていくようにします。 プログラムにはより筋力増強効果を見込める「ロング負荷ブローイング」などのテクニックを新たに加えます。 エクセサイズ実施の具体がわからない、という面もかなりありました。そこでガイドラインとなるよう実施回数などのひな形を設定した「基本セット」を用意し呈示します。 全体に難しい判断を要することなく、流れに沿って行っていけば簡単にプログラムを選べて実施できるようにしたいと思います。 2)発声エクセサイズの名称について 現行の「発声フィジカル・エクセサイズ」という名称は、運動機能の促進に重点を置くこのエクセサイズの趣旨からして別に齟齬はありません。 しかしフィジカル・エクセサイズという用語そのものがさほど一般的でなく、何を指しているのか分かりにくいという指摘もあり、もっともと思われます。 そこで名称の変更を考えていますが、フィジカルを日本語にした「運動的発声エクセサイズ」ではどうでしょう。 本当は「エクセサイズ」という言葉には練習という意味だけでなく身体運動という意味も含まれているので、重複する面もあるのですが、強調して内容を表すためにはやむをえないでしょう。 「運動的発声トレーニング」でも良いのですが、この発声エクセサイズは声の治療法としての側面もあるので、トレーニングよりはエクセサイズが適切という気がしています。 ほかに「発声運動エクセサイズ」、「運動学的発声エクセサイズ」、「発声運動科学エクセサイズ」などの案もあります。 シンプルな方が良いかと思いますが、若干まだ決めかねています。サイトにアンケート機能をつけられればアンケートを取りたいところです。 3)サイトのリニューアルについて サイトも全体に構成をリニューアルしたいと考えています。 具体的には、現行では「一般の方向け(自主練習法)」「声の専門家の方向け(指導法)」「高度な指導法を知りたい方向け」と分かれていますが、これを再編します。 まず「一般の方向け」と「声の専門家の方向け」は統合します。つまり指導法の中に自主練習法が入る、とお考えください。ただし指導法の一部は分離します。 そして「高度な指導法を知りたい方向け」は結局今に至るも公開に至りませんでしたが、ここにこれまでの指導法のうち難易度の高いものを入れます。 ここには直接講習などを行わないと実施が難しいテクニックが入ります。これまでなかなか公開できなかったのはどう表現したら良いか迷っていたためです。 結局、これをサイトで表すのは難しいので簡単な紹介程度になるでしょう。直接講習などの道筋を整備していくことになると思います。 4)メルマガについて メルマガは、トピックス・解説・コラムの3本とQAほかを掲載してきましたが、そろそろ解説は終了にしようと思います。 トピックスとコラムはそのまま継続しますが、今後のメルマガは、どうすれば声がよくなるか、という点を全体テーマとしたコンテンツで構成していきたいと考えています。 具体的にはもう少し詰めてお知らせします。 リニューアルはこのような感じを予定しています。本当はこの一周年のタイミングでリニューアルを行いたかったのですが、とても間に合いませんでした。 というかまだ一文字もhtmlを書いていません。 できるだけ早めにリニューアルを行いたいと考えておりますが、今のところいつ頃とは申し上げられません。それまで皆様気長にもうしばらくお待ちください。 |
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2016 01,18 04:17 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.024 2015.01.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Comparison Between Vocal Function Exercises and Voice Amplification」 Letícia Caldas Teixeira, Mara Behlau Speech-Language Pathology and Audiology Department, Universidade Federal de São Paulo, Brazil Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p718-726 発声障害と診断された教師162名を発声機能エクセサイズ群(VFEs)と音声増幅器使用群(VA)、コントロール群に分け6週間の治療後、有効性を比較したという研究。 結果、VAでもVFEsでも改善はみられたが、VFEsで自己評価が高かったとのこと。仕事として考えると自己認識は重要と著者らは考察しています。 声の問題は機器で代償するよりも積極的にトレーニングした方が自覚が高まるということです。 再発予防のためには自分の声について常に注意を払うことが大切ですので、声を使う職業の人には積極的発声トレーニングがお薦めということになるでしょう。 |
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2016 01,18 04:14 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.024 2015.01.18号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「The Effect of Head Position and/or Stance on the Self-perception of Phonatory Effort 」 Marina Gilman, Michael M. Johns Speech-Language Pathology, The Emory Voice Center, Department of Otolaryngology, Emory University, Atlanta, Georgia Journal of Voice Vol 30, Issue 1, 2016 姿勢と発声の関係を明らかにするために、平均年齢27.5歳の健康な成人46名に頭の位置を6段階に前屈、膝を3段階に屈曲させて18の条件で発声させたという研究。 結果、膝や頭部が極端な位置にある場合には発声に努力を要したとのこと。姿勢は思ったよりも声の疲労に影響しているのではないか、と著者らは結んでいます。 膝や頭部が極端な位置にあれば当然体幹や喉頭にも力が入りますから発声に影響が及ぶのはわかります。 ただ中庸な位置でははっきりしなかったようで、発声トレーニングでは姿勢を細かくチェックしたがりますが、科学的な証明は難しいようです。 |
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2016 01,18 04:11 |
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◆発声のワンポイント解説◆ vol.024 2015.01.18号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ DAF(Delayed Auditory Feedback)/遅延聴覚フィードバックとは音響機器を用いて自分の声を一定時間遅らせて再び自分の耳に聞かせることを言います。 吃音者がこれを用いると吃音の軽減がみられることから、吃音の治療法として使われてきました。 ところが非吃音者がDAFを使用すると、発話速度が低下する、流暢性が損なわれる、声の高さが高くなるといった現象と共に、声の大きさが大きくなるという効果がみられます。 このDAF効果を利用すると声量を上げるトレーニングを無理なく行えます。 声が大きくなるということはそれだけ呼気筋または喉頭筋に力を入れ収縮させていることになります。 普段よりも余計に力を入れることにより筋力が鍛えられることになります。意図せずに筋力トレーニングを行なっているような効果を得られます。 DAFを実施するにはスマートフォンのアプリを利用するのが最も手っ取り早いでしょう。 現在「DAF assistant」というDAFができるアプリがリリースされています。iPhone・Androidいずれのバージョンもあります。 ヘッドセットを用意し、潜時は130ms程度、音量は大きめにして試してみましょう。文章を音読してもらうなどして声量が上がっていれば適応があります。 これを使っての音読や会話を一回10分程度、週3〜4回を3週間以上続けると効果が定着してきます。 DAFについて興味のある方はリンク先の文献をご参照ください。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/37/2/37_2_190/_pdf |
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2016 01,18 04:04 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.024 2015.01.18号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 大したことではないんですが、声変わりが気になっています。 声変わりは専門用語でいうと変声といいます。生後すぐから身体は成長していきますが、それに伴って声帯も成長して大きくなっていきます。 ピッコロ、フルート、オーボエと楽器が大きくなると低い音が出ますが、同じ原理で声帯や喉頭が成長すると声は低くなってきます。 音響的に言うと 生まれた直後の声の高さは400Hz前後、それから徐々に低くなり小学校高学年では男女とも200〜300Hzになります。 この声の変化は小学校高学年ごろまではおよそ身体の成長と相関して直線的なのですが、おおむね12歳~13歳ごろに顕著に変化します。 それが声変わりで、女子にも起こりますがあまり目立たず、男子の声変わりがとても顕著です。 声変わりが完成すると、声帯の長さが男性約2cm、女性1cm、高さの男女差は約1オクターブ、音響的には成人男性で80〜150Hz、成人女性で180〜250Hzになります。 これは第二次性後期の変化によるもので、この時期の男子は声帯の組織が増殖して甲状軟骨がせり出し、いわゆるのどぼとけが見られるようになります。 この声帯の拡大によって声は低く太く変化します。この期間を変声期と言いますが、大人の声として十分に安定するまでには3〜4年かかるとも言われています。 男子にだけ急激な声帯の成長が生じるのは進化過程でそれなりの生物学的必然性があってということなのでしょう。ここではおいていきます。気になるのは呼吸様式です。 一般に男性は腹式呼吸を用いることが多く、女性は胸式呼吸を用いることが多いと言われています。いつからこの違いが生じるのでしょう。 呼吸様式に男女差が生じる理由として、女性は腹筋群の筋力が弱いため胸式呼吸にならざるをえない、と説明されることが多いように思われます。 小児期から腹筋群の筋力に差が生じているとは思われません。小学校高学年まで男女に身体機能に差はあまりないといわれています。 では変声期に呼吸様式が変化するのでしょうか。つまり男子に腹筋群が強くなるというような変化が起こるのでしょうか。そもそも腹筋群が強くなると自然に腹式呼吸になるのでしょうか。 教え込まれて変化するならともかく、そんなに呼吸パターンが自然に変わるものなのでしょうか。 もちろんそういう説もありますが、それなら女子でも腹筋群を鍛えているようなスポーツをしていれば自然に腹式呼吸になるのでしょうか。いろいろ疑問が湧いてきます。 このあたりすでに明らかなのか、研究途上のものなのか勉強不足で現時点ではわかりません。とりあえず声変わりにまつわる呼吸が気になっています。 |
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2016 01,04 06:18 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.023 2015.01.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「Vocal Fold Adjustment Caused by Phonation Into a Tube: A Double-Case Study Using Computed Tomograph」 Vit Hampala, Anne-Maria Laukkanen, Marco A. Guzman, ほか Department of Biophysics, Faculty of Science, Voice Research Lab, Palacky University, Olomouc, Czech Republic ほか Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p733-742 健常者2名に、チューブ発声法で発声持続をさせた場合と、チューブ発声法での発声持続の前後に [a:] で音域と声量練習をさせた場合の声帯や声道のCT像を撮影し分析したという研究。 結果、両者に特に違いはみられなかったとのことです。 相変わらずメカニズムが謎なチューブ発声法です。ただの分かりやすい声の配置法である可能性もありますが、もう少し検討がなされれば明らかになってくるでしょう。 |
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2016 01,04 06:16 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.023 2015.01.04号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します☆ 「Selection of Voice Therapy Methods. Results of an Online Survey」 Iris Burg, Birte Meier, Katharina Nolte, ほか Faculty of Social Work and Health, HAWK University of Applied Sciences and Arts, Hildesheim/Holzminden/Göttingen, Hildesheim, Germany Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p776.e1-776.e6 ドイツ・オーストリア・スイスの434人のセラピストにどのように音声治療法を選択するか質問紙形式で調査したという研究。 結果、セラピストの大多数は特定の方法を適用しているわけではなく、個々のクライアントごとに方法を組み合わせて適用していました。 音声障害のタイプは方法の選択に重要ではなく、クライアントの通いやすさや、気分や状態、学習しやすさなどが主に考慮されていました。 どの領域でもそうですが、やはりひとつの方法を狂信的に信奉し押し付けるのではなく、是々非々でそれぞれの個人の事情に合った方法を柔軟に選択していくのが最も理にかなっているということですね。 大変腑に落ちる報告です。 |
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2016 01,04 06:13 |
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【解説第23回】 ◆発声のワンポイント解説◆ vol.023 2015.01.04号より
☆発声にまつわるわかりにくい用語・概念や発声エクセサイズのコツなど、 テーマを毎号ひとつ選んでワンポイント解説します☆ 胸郭とは、胸椎・肋骨・胸骨で構成される骨格、またはこの骨格で構成される体幹の部分のことです。 ここにある呼気筋・吸気筋の可動域と柔軟性を高め、呼気筋の筋力を向上させることにより、呼気量・呼気圧を増加させることができれば、声量アップや過緊張発声抑制に繋げることができます。 さて、効果的に呼吸筋の可動域と柔軟性を高め、呼気筋の筋力向上を図るために、充分なウォームアップを入れる必要があります。 そのウォームアップの第一選択として胸郭のスタティックストレッチが挙げられます。 スタティックストレッチ(静的ストレッチ)は、無理のない程度に筋肉を伸ばし、その状態を15~60秒程度保持する方法です。 ストレッチを持続して行うことにより筋紡錘をリセットし、筋伸張反射による運動開始時の筋収縮を減少させて筋をリラックスさせる効果があります。 ここで第一選択としてストレッチを行う部位(筋)は、呼吸主動筋である外・内肋間筋ですが、最大限の効果を狙うためにストレッチに適した部位をさらに細分化して探します。 分けられる部位は大きく分けて胸郭上部前面、胸郭下部前面、胸郭下部側面です。 安静呼吸時および発声時にこの3箇所を触診し、最もよく動いている部位を重点ポイントとして設定します。これはそれぞれの個人によって異なります。 胸郭上部前面について他者をストレッチする場合は、座位であれば背後から、臥位であれば頭部から胃の方向に押すようにストレッチしましょう。 自力でやる場合も方向は同じです。 胸郭下部前面について他者をストレッチする場合は、両手を動く部位にあて、絞るように胃の方向にストレッチしましょう。自力でやる場合も同じです。 胸郭下部側面について他者をストレッチする場合は、第7~10肋骨の部位ですので、横方向から反対側に押して筋のストレッチを図ります。 自力でやる場合も方向は同じです。 それぞれ20秒程度を目安としましょう。 このようにまずスタティックストレッチで筋緊張を軽減させつつ可動域を拡大して発声を試してみます。 これで効果が今ひとつのようであれば続いてダイナミックストレッチで可動域を拡大しつつ筋力増加を図る、という流れになります。 |
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2016 01,04 06:08 |
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◆気になるボイスコラム◆ vol.023 2015.01.04号より
☆声にこだわりを持つ筆者がこだわってお届けします☆ 紅白歌合戦が気になります。 別に紅白フリークとか、いつも歌番組を観ているというわけではないのですが、歌手の皆さんの発声法とか声の特徴は普段から習性で気になっています。 で、紅白だと一度に大勢の歌手の皆さんの声が聴けます。 色々批判はあるようですが、出演者はその年を曲がりなりにも代表したり話題になった方々ということですので、そのあたりの興味もあります。 それで今回は紅白を聴いて、声についての感想を書いてみたいと思います。もちろん全くの個人的な主観に基づくものですので、真実でもなんでもありません。 与太話として読み飛ばしていただれば幸いです。 ・郷ひろみさん。もう60歳を越えているのに声質は全く変わっていませんね。鍛えていらっしゃるのでしょう。 ただ後半からちょっと声量が落ちてしまいました。頑張っていましたが、あのお歳で踊りながらの発声では無理からぬところです。 ・大原櫻子さん。ファルセットを多用した歌い方ですね。 ファルセットは息が混じってしまうので地声部分との接続に違和感が出やすいのですが、大原さんは地声部分も気息声なので接続部がうまくカバーされていました。 ・徳永英明さん。懐かしい曲でした。しかしかなり気息声が強くなっていました。高音部でもクリアにならないというのはかなりの重症です。 徳永さんのように地声の高い発声の方はどうしても高音部の多い歌で聴かせようとするので声帯に負担がかかりがちなのだと思います。 往年のクリアな発声を知る者としては切ない心境です。 ・miwaさん。ちょっと声道を狭くして独特の響きをもたせていてそこが特徴ですね。比較的無理のない発声をされていますので、割と安心して聴けました。良い感じです。 ・いきものがかりさん。好きなアーティストなのですが、ちょっと無理な発声をしている感じがしました。 硬起声ではないのですが、声量を出すために声帯を絞って呼気圧を高める方法をとっているようにお見受けしました。声帯には負担がかかりますのでこのままだと心配です…。 ・superflyさん。最も安定した発声でした。安心して聴くことができました。 ・X Japanさん。一番高音のところの音は苦しそうでした。少し気息声ながら今のところは大丈夫なようですが、徳永英明さん同様声帯に負担がかかりがちな声です。 無理をなさらぬように…と思わざるをえません。 ・レベッカさん。懐かしいです。発声の持続力に余裕がなさそうで、ちょっと不安定でした。 息が続かないのを節約して乗り切っていたようにお見受けしましたが、これで活動休止とのことでちょうど潮時であったのかもしれません。 ・松田聖子さん。全盛期の80年代、声を酷使しすぎて気息性の起声になってしまいましたが、もうほぼ治癒して気息性起声は消失したようですね。良かったです。 ただ全体のキーが低くなって、あのアイドル然とした高音ももう聴かれませんでした。声帯にはその方が良いのですが、ちょっともの足りない気もしてしまいます。 ・演歌勢の方々はいつもと変わらず、藤あや子さんを除いて皆基本同じような、声帯を絞って咽頭腔を開ける発声法でした。 それが演歌といえばそれまでですが、演歌が誕生して50年ほど、一時期の隆盛から現在は低迷し復活の兆しはありません。 どの人も同じような歌い方ではただのコピー製品の再生産にすぎず、劣化は免れません。このままでは飽きられて歌舞伎や浄瑠璃のように文化財化していくしかないでしょう。 もしお飾りでなく主流に返り咲きたいのなら 、なんらかのイノベーションが必要です。 ・グループの方々は個々の発声がよくわからないので特に言うことはありません。声を売りにしていないビジュアル系の方々やコンセプト重視の方々にも特にコメントはなしです。 ・最後に細川たかしさん。一部高音は苦しそうでしたが、御歳65歳であの声門閉鎖と声量、高音部の安定性、そして発声持続力の維持は大したものと思いました。 あまり言われていませんが、実は天才的な発声能力をお持ちなのではないでしょうか。 というわけで。また来年が楽しみです。 |
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2015 12,21 06:05 |
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◆発声&運動トレーニングトピックス◆ vol.022 2015.12.21号より
☆発声や運動トレーニングに関する最新の知見や気になるトピックスをご紹介します 「The Effect of Traditional Singing Warm-Up Versus Semioccluded Vocal Tract Exercises on the Acoustic Parameters of Singing Voice」 Emily Duke, Laura W. Plexi, Mary J. Sandage, Matthew Hoch Language & Voice Experience, Rockville, Maryland Journal of Voice Vol 29, Issue 6, 2015, p727-732 30名の男性歌手にsemioccluded vocal tract exercisesと従来の発声ウォームアップ、ウォームアップなしの3条件で歌の声量と発声持続の違いを調べた研究。 結果、ウォームアップ全体で有意差は認められなかったとのことです。 semioccluded vocal tract exercisesとはブローイングとチューブ発声法をミックスしたような方法です。 こちらの動画をご参照ください。 https://www.youtube.com/watch?v=amK78bEVYvY ウォームアップはやった方がいいことは明らかですが、どの方法が優れている、ということは今のところわかっていません。このあたりの検討はまだ余地がありそうです。 |
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